大郷司家
環「『魔女』が居たのよ!そんな事分からないじゃない」
おとめ「隠していたのに、まさかこんな事になるなんて…」
環「私は貴女が羨ましい。狂おしい程――この灰色の世界で、貴女は魔法が使える。にも拘らず何もせず退屈を楽しんで…。これ程おかしいことは無いわ」
おとめ「………」
環「正直、『オズ』へ行くことが出来れば戦争なんてどうでもよかった。それはそこに魔女が居るからであって、別に『オズ』でなくてもいい。竜宮城でも鬼ヶ島でも…。そもそも、私の願望にハイネさんは関係ない。貴女さえ居れば。貴女は私に何を見せてくれるのかしら。或いは私を――」
おとめ「環が見たがっている様なことは絶対にしないわ。魔法も、もう使わない」
環「今となっては、もうどうでもいいわ――唯、貴女は何も分かっていない。私ではない、世間が、彼女達がそうはさせない」
おとめ「………」
環「魔女を守る法律は、貴女を守ってくれるかしら――それじゃ、近いうちにまた会いましょう」
―――。
夜音「――どうやら極刑だけは免れたらしいな」
おとめ「夜音!どうしてここに?」
夜音「大郷司を待ってたんだろ?残念だがここには来ない――あいつ結婚するってよ」
おとめ「はぁ!?な、何て?――」
夜音「昨日の今日で手を打たれた訳だ。にしては早すぎるが――あいつに許嫁でもいたのか?」
おとめ「まさか、万千に限って…。一体どこのもの好きが――それに、手を打たれたって?」
夜音「大郷司家だ――一人娘だからな、女性解放になんて取られる訳にはいかないだろ。あいつ等には色々世話になってるし」
おとめ「どういう事?」
夜音「大郷司の親父は、女性解放運動を、『雷鳥』を目の敵にしている。そんな奴等に娘を取られたら――そうなる前に手を打った。あいつにはもう会えないかもな」
おとめ「結婚したからといって何か変わるもの?それだけでは阻止したとは言えないわ」
夜音「『女は家庭に入るべき』。入ったら最後、気安く外出も出来んだろう」
おとめ「まさか、そんな…」
夜音「大郷司家は、あの男はそういう男だ――」




