目覚めの――
それしかない――だが、彼女は何故『オズ』を探しているのだろう?
目的は?彼女が魔女なら探す理由は一体?
「私も『オズ』へ行きたい。その為なら何でも協力する――だけど、貴女は何故『オズ』を探しているの?一体何が目的?」
「私はね、『OZ』へ行き、魔法で世界を平和にしたいの――」
「!――本当?」
素晴らしい。この人なら信じられるかもしれない――この人なら魔女を、魔法を利用して悪事を働く事もないだろう。
「――唯、日記の在り処も、『ゲーテ』の居場所も分からない。それに日記が見つかったとしても読むことが出来ない。『魔法文字』は、読む為に『ある魔法』が必要なの」
「それって、もしかして――」
ゲーテさんから移った魔法。もしかして、それが――。
「騙されるな、おとめ!――そいつはハイネの仲間だ!」
その声は、私が抱きかかえていた夜音のものだった。
すっかり忘れていたが、どうやら目を覚ましたらしい。
「夜音!――無事なの?」
「あら、目が覚めたの?」
「おとめ!そいつは敵だ!」
敵?ハイネさんの仲間?それって――彼女も『オズ』を利用して戦争を?
「――失礼ね。彼女と仲間だからといって、思想までも一緒とは限らないわ」
「人の事を誘拐しておいてよく言う――って、なんだここは!?」
慌てふためく夜音に事情を説明し、なだめた。
彼女は夜音を誘拐していたのか――それはそうか、そう彼女も言っていたし、きっと魔法で誘拐したのだろう。
しかしそう考えると、やはり夜音の言う通り敵、ではないにしろ余りいい人ではないのかもしれない。
「彼女も起きた事だし、そろそろここを出よう――話はそれからだ」
「よく言う。自分が連れて来たくせに」
「そうね、出ましょう――お願いします、アキコさん。魔法を使って。魔法で出られるのでしょう?」
「さぁ?私、魔女じゃないし、魔法なんて使えないわ」
――彼女曰く、本当に唯の人間らしく、それは夜音と近い所が有り、その魔法が日記にあるという。
しかし、もしそれが本当なら、今その魔法は私に在るのかもしれない。
唯それは確かめようが無く、それこそ彼女に知られる訳にはいかない。
まだ彼女がどういう人間か解っていないのだから。
――この隠し部屋、基異空間から出る為には一体どうすればいいのか?
ゲーテさんから聞かされていた様なものは見当たらず、それを見つける為には走馬灯が必要なのだろうか。
それに出られるまで五十年かかったと言っており、出る為にそれが必要となったら――。
私は気が狂いそうであった。