表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯5 おとめの――
128/131

中身

「――貴女あなたは誰!?何故なぜこんな所に!?」


 見える。暗闇くらやみの中、たしかに女性がる。


 着物きもの姿すがた何処どこにでも居そうなわかくもなく、いてもいない女性――私はついにおかしくなってしまったのか。


 おどろきのあまり、自分がかれている状況じょうきょうを忘れてしまっていた。


 いや、理解りかい出来できない。


 見知みしらぬ女性がやみの中から突如とつじょあらわれた。現れたのか?それとも私の身に何かが起こったのか?そもそもここは部屋なのか?


 まさか、それもこれも彼女が?――。


「私は――『AKIKO』。そうばれている…」


 『アキコ』――。彼女はおどろほど冷静れいせいにそう名乗《なのt》った。


 私にいたっては目を見開みひらき、その存在そんざいまぼろしではないか目をぱちくりさせた。


 その名前におぼえは無いし、初対面しょたいめんである。


 しかしここに居るという事は、もしかして『女性じょせい解放かいほう戦線せんせん』の一員いちいんか。それとも、まさかゲーテさんの様にここにめられて――。


 言葉が見つからず、言葉にならない。『貴女きじょは一体誰?』か――あやうく同じ質問をげかけそうになった。


 しかし、それしか聞きようがない。言葉が無い。


「――何も理解出来ないってつらだね?ここも何処だか分かってない」


「こ、っここは何処なの?」


「どこでもない――『女性街じょせいがい』、『六鳴館ろくめいかん地下ちかかくし部屋」


「そんな事は――」


ただし、いかがわしい魔法まほうみだれている――この異空間いくうかんはその所為せいだろう」


 異空間!?魔法?――言われてみればそれしか考えられない。しかし、それがどれだけ異常いじょうか、この見た目からひしひしと伝わってくる。


 いかがわしい?おぞましい。


「魔法――まさか貴女は魔女まじょなの?どうしてここに?」


「うるさいねぇ。こっちは日記にっきが無くてはらっているんだよ」


「日記って、あの魔女について書かれている?――」


「そうだよ。貴女を使ってここまで案内あんないさせたのに――あのばあさんがはこ中身なかみえやがった」


 『乙女おとめ画報がほう』――。そう言って彼女は、読んでいたそれを私の前にてた。


 偶然ぐうぜんひらかれた一面いちめんには『キミ、シニタマフコトナカレ――』そう書かれていた。


「私を使って?――どういうこと?」


「私は日記を、この隠し部屋をずっとさがしていた――そんな時、あの『デモクラシーばあさん』がかえってきた。そして唯一ゆいいつ接触せっしょくした人物が魔女だと分かればあと簡単かんたんさ」


 私が魔女だと知っている?――。


「私をけていたの?」


「気が付かなかったか?――まぁ、お膳立ぜんだてていたし、上手くやったもんだ、あの癇癪かんしゃく姫様ひめさま


 一体どこから手を付ければ良いのか。『日記』?彼女の?おばあさん?姫様?彼女は一体何を言っているのだろう。


 そして彼女は、魔女なのだろうか――いや、この状況じょうきょう、そうとしか考えられない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ