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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯5 おとめの――
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感触

 私もいそいで一階いっかいりると、だだっぴろ階段かいだんくらいしかない広間ひろまを、彼女達は何かにかれたようさがしていた。


 知っていると言った私をいて。


 とは言え、私もその場所は知らない。地下へとつづかく部屋べやなど。


「ちょっとおとめ、全然ぜんぜん見当みあたらないじゃない。隠し部屋は何処どこなの?」


「そりゃあ、隠し部屋だもの。そう簡単かんたんには見つからないわ」


「だから、その場所を――」


「――魔女まじょちからを使わないと見つからないのか?」


「まぁ、魔法まほうを見せてもらえるの?」


 彼女達三人にられ、私は入り口の場所を知らないとは言えぬ雰囲気ふんいきであった。


「…さぁ、何処でしょう?――入り口さえ見つければ入れるのだけれど」


 ――落胆らくたんした彼女達は、余所よそ余所しく私からはなれて行き、二階へ帰ろうとまでしていた。


って!地下室は本当だから――」


 それから私をふくむ四人は、何かしら部屋への手掛てがかりがないか、一階をくまなく探した。


 しかし、やはりというか隠してあるものを見つけるのはむずかしく、見つける事は出来なかった。


 流石さすがにこれほど見つけられないとあきらめの雰囲気がただよい、私も探せば見つかるだろう位の気持ちでいただけに、少々()まずかった。


 このままでは私がうそをついたみたいな――しかし私が言うのもあれだが、その根拠こんきょも聞かず私の言う事をしんじたものだ。


 はなから隠し部屋位あるだろうと、そう思っていたとしてもまるでうたがわない。それだけにもうわけない。


 ――今更いまさらだが、ゲーテさんの話を思い出してみよう。彼女は一体何と言っていたか。


 たしか、『探しても見つけられない様な、まるで隠していたかの様なとびら』と。まるで頓知とんちである。


 探しても見つけられないのなら、探さなければ良いのか。そして、隠していた様な――今は隠していないのか?


「――少しやすもう。二階で一服いっぷくしよう」


「えぇ、そうね。もうくたくただわ」


「行きましょう、おとめ――貴女きじょ所為せいではないわ」


 私の所為と言わんばかりか――しかし、やはりたまきは変わった。


 いつもなら『貴女の所為で時間を無駄むだにしたわ――』位言いそうで、きぬせぬ物言ものいだが、えずは思ったであろうぎゃくの事を口に出している。


 いや、そもそもそんな事を考えていないのか――。


 そんな事を考えながら、二階へ上がろうとした所為か、中腰ちゅうごし姿勢しせいを長く続けた所為でつかれたのか、足元あしもとがふらつき、私は階段の一段目をはずしてしまった。


 ころんでしまいそうになった私は、その拍子ひょうしで階段に手をいた。


 そして、その時にある違和感いわかんおぼえた。


 私のさわったその場所は、まわりの石で出来たそれとはことなり、何か別物べつものの様な感触かんしょくであったのだった。


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