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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯5 おとめの――
123/131

その箱で――

「この事について『二代目にだいめ』は知っていて?」


「いや、まだ。きっと二代目と夜音よね一緒いっしょるだろうと――」


「それならさが必要ひつようも無いわね――かく部屋べやればの話だけれど」


「ハイネ。貴女きじょ何時いつ――最後さいごに二代目にったのは何時だ?」


「そういえばひさしく会って無いわね――」


『う~ん…』


 私とたまきは彼女達の話を聞いているだけであったが、別にその話に興味きょうみが無いわけではない。


 私にいたってはその事について考えるのに必死ひっしであった。


『あっ!――』


 隠し部屋――。もしそんなものが在るとすると、それはそこしかなかった。


 今の今までわすれていたが思い出した。


 ゲーテさんから聞かされていたその存在そんざいを。


 あれは夜音がサーカス団につかまり、女性街じょせいがいへ助けをもとめ、ゲーテさんに会い、サーカスへかう車内。


 何故なぜそこに居たのか、何をしていたのかわからず仕舞じまいだったが、彼女は好奇心こうきしんからその地下ちかりた。


 五十年。今となっては本当かうそか、彼女はその部屋で五十年をごし、魔女まじょりかけた。


 隠し部屋の地下室ちかしつ


 そこには魔女について書かれた日記にっきがり、ゲーテさんからはその内容ないようけず、今となってはそのも解らず――しかしぱくさんいわく、ゲーテさんはその在り処を私なら分かると。


 こんなにも都合つごうよく物事ものごとすすむだろうか。


 ただ、夜音も日記も在るとすればそこにしかない。


 その地下室に――。


「私解かるわ――隠し部屋の場所」


 その瞬間しゅんかん、その場に居た私以外の全員が、私をおどろいた顔でにらけた。


 正確せいかくにはその場所は解らなかったが、その存在を知っているのだから知っているも同然どうぜんだろう。


 きっとぐ見つかるはず


「おとめ!?本当なの?何故貴女が――」


「何故だ?魔女だからか?何処どこだ?」


流石さすがだわ、八乙女やおとめさん。やはり貴女あなたは――」


 その反応はんのう当然とうぜんというか、しかしそれにしても大袈裟おおげさではないか――興奮こうふんしたバイロンさんは私の胸倉むなぐらつかみ、環まで私にり、仕舞いにハイネさんはおどり出していた。


 あまりの出来事できごとに私の方がおどろいてしまった。


「ちっ、地下に隠し部屋が――この建物たてもの六鳴館ろくめいかん』の地下に」


「地下――地下室か!?それは盲点もうてんだった」


「隠し部屋なのでしょう?探しても見つからない訳ね――そんなの見つかりっこないわ」


「ラ~ララ~。さぁ、その地下室へまいりましょう」


 ――そして彼女達は我先われさきに一階へ降りて行った。


 私を部屋に一人(のこ)して。


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