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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯5 おとめの――
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もてなし

おそかったですね――ちくたびれましたよ」


「何でアンタが出迎でむかえてくれるんだ?」


「ハイネさん――」


 私達を出迎えてくれたのは、裁判さいばんでの有罪ゆうざい判決はんけつけ、幽閉ゆうへいされていたであろうハイネであった。


 その出迎えは私にとって複雑ふくざつで、彼女は私を、『魔女まじょ』を『オズ』を利用りようしようとしており、そのためなら女性じょせい解放かいほう戦線せんせんあたらしい太陽たいよう』や『二代目にだいめ雷鳥らいちょう』まで利用しようとしていた人物である。


 そんな人物が何故なぜ今も『女性街じょせいがい』にるのか、居られるのか――かりっている。彼女の存在そんざい必要ひつようで、彼女自身『オズ』の為だろう。


 それは私にとっても重要じゅうようで、彼女のそれがどんな理由であろうと、そこだけは協力したいし、してもらいたいのである。


 しかし、彼女の目的もくてき戦争せんそうへの参加さんか――それだけは阻止そししたい。


 ――待ちくたびれた所為せいであろうか、ハイネさんは機嫌きげんわるようだった。


 しかしその格好かっこうときたらどこぞの貴族きぞくかと見紛みまごうほど着飾きかざり、幽閉とは程遠ほどとおらしを連想れんそうさせた。


 まさか今日も舞踏会ぶとうかいではないだろうな――。


「ばっちり着込きこんで社交界しゃこうかいにでも行くのかい?」


「そんなところですわ――ばなしもなんですし、中へ」


 女性街中枢(ちゅうすう)六鳴館ろくめいかん』。入るのは初めてではないが、おくとおされたのは初めてだった。


 中には誰もらず、その所為かやたら広く感じ、装飾そうしょくや作りなど全貌ぜんぼうをまじまじと見る事が出来た。


 どこも作りがってあり、歴史れきしくわしくない私でも歴史的れきしてき建造物けんぞうぶつと思うくらい立派りっぱで、何故なぜこんなものがこんな所にと、ますます不思議ふしぎであった。


 そして当然とうぜんだが、初めて二階へ上がり客間きゃくまへ通された。


 中は豪華ごうか絢爛けんらんで、つい見入みいって仕舞しまい、自分がここへ何しに来たのかを忘れてしまう程だった。


「で、今日は一体どうかしまして?――」


 フカフカな椅子いす紅茶こうちゃまで出され、その言葉は意外いがいだった。


「――『女性街』の何処どこかに夜音よねが居るらしい」


「まさか、ここなら一番初めに、それもくまなくさがしたじゃない」


「その通りだが――街中まちじゅう探させたが居なかったらしい。それに、考えられるとすればここしか無い」


貴女あなたも探したでしょう?もう、探していない場所なんてないわ。るとすればかく部屋べや位なものよ」


「『女性街』にはオレ、私達が知らない事が多い。あるいはそんな場所が――」


 隠し部屋。そんな都合つごうよく――。


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