表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯5 おとめの――
116/131

やりかねない

「――あれ、八乙女やおとめさん?」


ぱくさん!?――」


 ――洞窟どうくつから出て来たのは朴さんだった。


 裁判さいばん以来いらいおどろきはしたが、彼女も自由じゆう文化ぶんか学園がくえん生徒せいとなのだから、その近くのこの場所にてもおかしくはなかった。が、何故なぜこんな所に?


 いや、今はそれどころではない。何故自由文化学園が軍需ぐんじゅ工場こうじょうなどってしまったのか、それを聞くことが先決せんけつである。


「見たのね?学園を――」


「――何故あんな事に?夜音よね雷鳥らいちょう先生は一体…」


「……」


 彼女の沈黙ちんもくふくみを持ち、何か言いづらそうにしていた。


 その時間は不吉ふきつで、良からぬ想像そうぞうき立てた。


 まさか、死――。


「――舞踏会ぶとうかいのあった日を覚えている?あの日、夜音は学園の事で二代目にだいめに会いに行ったらしいの」


 二代目とは、夜音のお母さんの事――あの日会いに行った事は知っていたが、学園のためで会いに行ったとは知らなかった。


 しかし、今の学園は――女性じょせい解放かいほう戦線せんせんでもどうにもならなかったのだろうか?


「それからほどくして学園はぐん支配しはいされた。そして軍需工場に――しかし、それをのぞんだのはほかならぬ夜音だった」


「えっ!?――何故?」


 何故夜音がそんな事を――夜音はお母さんと一体何を話したのか。それに、いくら夜音がそれを望んだとしても、彼女にそんなちからは無い。


 ならば女性解放戦線が、二代目雷鳥が自由文化学園を軍需工場にしたというのか。

 

 何の為に――。


「それからか、夜音が消息しょうそく不明ふめいになったのは――」


「ちょっ、ちょっと待って!話が見えないわ――夜音とはついこの間に会ったし、夜音はそんな事を望むはずが無い!」


「――これは雷鳥先生に聞いた事。ただ、私も彼女の真意しんいは解らない。それに夜音が消えたのは、きっと貴女あなたと別れた後の事」


「……雷鳥先生は無事ぶじなの?」


「えぇ。居場所いばしょも知っている」


 夜音――貴女は一体(いま)何処どこでで何をしているの?


 あの時私は貴女きじょの為ならと、お母さんに会う為ならと…。それがこんな事の為だったなんて。


「これから学園はどうなるの?雷鳥先生は?『しん婦人ふじん協会きょうかい』は?」


「――こうなってしまったらどうする事も出来ないわ。雷鳥先生も真・婦人協会も、もう力は無い。あったのなら、こうは成っていなかった」


「朴さん。夜音が――」


「えぇ、分かっている。彼女が何も無しにこんな事は望まない。貴女だって知っているのでしょう?」


「――えぇ」


 しかし、あの性格ならあるいは――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ