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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯5 おとめの――
110/131

むかつく

嵐山あらしやま夜音よねわれ々『あたらしい太陽たいよう』は彼女をさがしている――まったく、監視かんしやくのゲーテまでえたのだから手にえない」


 彼女、バイロンはっていた拳銃けんじゅうで、おとめにねらいをさだ素振そぶりをし、それを仕舞しまった。


 その素振りは、けっして撃たないと解っていても、私は苛立いらだちをかんじた。


 なんなら、今直いますぐにでもおとめをころさんとばかりにしていたのに、おかしなものね。


「彼女、八乙女やおとめツクスには、嵐山夜音を探し出し、女性街じょせいがいれて来てもらいたい。勿論もちろん彼女自身にも用が――」


「そんな事、おとめでなくとも――」


「我々では三代目さんだいめは言う事を聞いてくれないのだよ。何故なぜだか知らないが、八乙女ツクスとはしたしそうで、彼女の言う事なら聞いてくれそうだからさ」


「どうしてそこまで――」


舞踏会ぶとうかい失敗しっぱいわり、後援者こうえんしゃたちはなれ、三代目という新たな象徴しょうちょう不在ふざいの今、組織そしきとして出端でばなられたわけだ――このままだと組織としてたない。そうなっては『OZ』にたよらざるえない事もる。そうなってはこまるからさ」


 『オズ』――今となっては、私には無関係むかんけいでしかない。それに協力きょうりょくする義理ぎりも無い。


 ただ、人を殺すなんて事は、してやおとめを殺すなんて一朝いっちょう一夕いっせきで出来る訳が無い。


 あの日、一体何があったのか、何が原因げんいん破談はだんになったのか、それをき止めてからでもおそくはないだろう。


「――分かったわ、今は手を引く」


「助かるわ――それともう一つ。もし夜音を見つけられなかったら、八乙女さんを『自由じゆう文化ぶんか学園がくえん』へ連れて行って欲しい」


「そんな事、ご自身でなさればいいじゃない――それに、何故なぜおとめが三代目(さま)を探していると?」


「分かるさ。彼女にはそれしか無い。夜音しか――それと、彼女の邪魔じゃまだけはしないでね」


「もし、したら?」


「私はいそがしいんだ。面倒めんどうをかけさせないでくれ。唯でさえゲーテの失踪しっそう関係かんけいがあるかも知れないサーカス団を調しらべなくてはいけないのだから――」


「――新学期しんがっきって、それまで」


上等じょうとう約束やくそくね――それじゃ、学園のけんよろしく」


 ――――。


「という訳で、一緒いっしょに『自由文化学園』へ来てもらうわ、おとめ」


 たまきには何もかもお見通みとおしという訳か。


 私が夜音を見つけられず、女性街にも入れていない事を――私の事を探していたと聞いたが、もしかして春休み中、ずっと見張みはられていたのか?私は。


 という事はつまり、夜音を女性街へ連れて行けばいいのか?


 彼女がそう簡単かんたんに女性街へ行くとは思えないが…。連れて行けば、私も女性街へ入れる。


 しかしねがったりである。私は『自由文化学園』の場所を知らず、このままでは環に殺されそうだったのだから。


 早く誤解ごかいかなくては――。


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