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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯5 おとめの――
109/131

とっとと

たまきさん――やはりそうね、私、分かる?」


「――たしか、バイロンさん…」


 女性じょせい解放かいほう戦線せんせんあたらしい太陽たいよう』の一員いちいん。『バイロン』――私も組織そしきの人物とは面識めんしきれど、ハイネさん以外とはほとんかかわりが無く、よくは知らない人物だった。


 今の状況じょうきょうからして、彼女の登場とうじょうは私にとって迷惑めいわくでしかなく、とっととえてしいものだった。


いまいそがしいの、邪魔じゃまをしないで。面倒めんどうくさい――』


「――と言ったところかしら?」


 私は、思った事を口には出していなかった。


 言いそうになった言葉をまず、そのまま顔に出したのだ。


 そうとらえてもらってかまわない。


 いや、よく理解りかい出来できたとめたいくらいだった。


「『女性街じょせいがい』に何か御用ごよう?」


 沈黙ちんもくを続けた私だったが、この状況、彼女が女性街にることは自然しぜんだったが、それこそ私が居る事は不自然ふしぜんだった。


「そんなものをって、一体何をしているのかと聞いている。こたえろ、環――」


 面倒だったわ――女性街になど興味きょうみ関係かんけいも無い事だと言うのに。


 女性街で女性解放戦線に見つかるなんて。


「答えろ――」


 そう言うと彼女は、私にかって拳銃けんじゅうを向けて来たわ。勿論もちろん、その心当こころあたりもある。


 だから私は大人しく、持っていた小刀こがたなをその場にいたわ。


「――私の目的もくてきは『八乙女やおとめツクス』。貴女あなたがたとは無関係むかんけいです」


「関係が無くとも、そんなものを持っている女学生を『はい、そうですか』と行かせるわけないだろう。そんなもの如何どうする?」


「関係な――こと次第しだいによっては…」


「――よっては?」


ころします」


 私の言うことをしんじたのか信じてないのか、鵜吞うのみにはしないだろうが、おどろきもしなかった。


 ただじっと私の目を見つめ、それから何かを読み取ろうと――って、私が本気かどうかさぐっていたわ。視線しせんらさないかどうか。


 唯のカッコけよ――まぁそれでも、彼女は私に向けていた拳銃を下ろしたわ。。


「それはこまった――八乙女ツクスは、私達にも必要ひつよう存在そんざいだからな。殺されては困る」


「――『魔女まじょ』だから?」


「それもあるが、彼女にはやってもらいたい仕事がある。今の『新しい太陽』にとって、とても重要じゅうような――」


 そう言って向こうをのぞき見た彼女にられ、私も向こうを向くと、そこにはいまだに女性街の中をうらめしそうに覗きむおとめがた。


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