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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯5 おとめの――
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違和感

 違和感いわかん原因げんいんは、今日一日(たまき)を見つけられなかった事とはまったくの無関係むかんけいとはいえないだろう。


 何故なぜなら私は、彼女のそんな姿すがたを見た事が無かったからだ。


 入学にゅうがく当初とうしょから袴姿はかますがたしか見た事の無かった環は、セーラー服をていた。


「セーラー服か、どうりで見つからないはずだ」


「違うわ。いまたの――おとめ、ここなら誰も来ないでしょう」


 見慣みなれないセーラー服姿に、似合にあう似合わないはさておき、見つからなかった理由りゆうわか納得なっとくした私は、違和感の正体しょうたい冷静れいせいになった事で気が付いた。


「環、いて。万千まちの事だけど、あれは誤解ごかいで――あれを見せられたら、どうする事も出来なかったのよ。それに私は無関係よ!何もしてないの!」


「あの日、破談はだんを聞かされた日。私は貴女きじょころしに行ったのよ――」


 そう言うと、環はっていたそれをさやからき出し私にけた。


 そのさきにぶひかり、私をうつした。


小刀こがたな――環は真剣しんけんを私に向けたのだ。


 環の性格せいかくからして、そのあじ保証ほしょうされているだろう。


 冗談じょうだんじゃない。冗談ではない。


「!?――何でその時殺さなかったの?」


「私も人の子という事よ。それにいつでも――春休みの事よ、その時貴女は『女性街じょせいがい』にた」


 ――――。


 あの日、私は大郷司だいごうじからの連絡れんらくで破談を知った。


 形はどうあれ、婚約こんやくが決まっていたのよ。地獄じごくとされた気分だった。


 私はいそいで大郷司家へ向かったわ。


 しかし、門前払もんぜんばらいよ。相手にもされなかった。


 途方とほうれた私は、その時、あの日の事を思い出した。


 行儀ぎょうぎ見習みならいの日、彼女と貴女がクルマにって行ってしまったあの時の事を。


 何故なぜこんな事に、原因げんいんは何か。貴女が、八乙女やおとめツクスがそれを知っているのではないか――。


 えぇ、分かっていましたわ。貴女の所為せいだと。


 それでも私は貴女をしんじた。『親友』ですもの。ほかに原因が有ると、それを貴女が知っているのではないかと。


 貴女をさがし、貴女の家、学校、街を探したわ。


 探すと見つからないものね。それでもやっと貴女を見つけた。貴女は『女性街』に居た。


 貴女も『オズ』について調しらべるためだったのでしょうね。


 でも誰も見当たらなかった。私には好都合こうつごうだったわ。貴女と二人きりになれ、いただす為には。


 貴女はさくの前で侵入しんにゅうしようかしまいかなやみ、立ちつくしていた。


 優柔ゆうじゅう不断ふだんじつに貴女らしいけど、私はてもっても居られなかったわ。


 貴女をっちめようと、かくれていた物陰ものかげから出かけた時、ある人物にめられた。


 貴女ではなく私が――。


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