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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯5 おとめの――
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祖母

「――女性じょせい解放かいほう戦線せんせんとはあれ以来いらい会ってない。『女性街じょせいがい』にも行ったけど誰もなかったし。私はもっと魔女まじょ魔法まほうについて知りたいのに」


しんじる以前いぜん理解りかい出来ないですわね。貴女きじょが魔女だという事より、ご自身じしんで魔女であるなどと信じんでいることに――その事、ご家族はごぞんじでして?貴女が魔女というのなら、まさかご家族もそうだと?」


「母はそうらしいけど、私もくわしくは――」


「そう言えば貴女、お婆様ばあさまとお姉様ねえさまの三人でらして――でしたらお二人も?」


祖母そぼ父方ちちかただから違うし、『ネイサン』は――ネイサンといっても血がつながっているわけじゃなくて。彼女、家に丁稚奉公でっちぼうこうに来ているの」


「そうでしたの。丁稚奉公に――でしたら貴女の事、魔女の事は、お婆様や丁稚奉公に来ているお姉様は知っていて?」


「知っているし、信じてくれている――お婆ちゃんには、その『ちから』の意味いみを教えてもらった」


 お婆ちゃん――母の事は話したがらないけど、何かをかくしているようにも思えない。


 魔法の事、魔女の事もそう。知ってはいるものの、詳しくは知らないと言う。


 それでも、私だけではなく、ネイサンも本当の子供の様に可愛かわいがってくれるやさしい人。


 私が魔女という事より、魔法の所為せいで私に危険きけんおよぶ事を心配しんぱいする様な人。


 私は、そんなお婆ちゃんにこれ以上母の事や魔女の事は聞けなかった。


「ところで、丁稚奉公は一体どのような経緯けいいで?それに、丁稚奉公とは一体何をなさるの?――まさか、貴女のお姉様が丁稚奉公で来ていたとは。丁稚奉公ねぇ」


「アンタ、丁稚奉公って言いたいだけでしょ?――」


 などと万千まちと話していた所為で、始業式しぎょうしきの時間が来てしまった。


 私はたまきさがしそびれてしまった。


 それでも、一目ひとめだけでもと始業式中も探したが見つからず、休み時間なども探したが見つからず、結局けっきょく放課後ほうかごになってしまっていた。


 環は何処どこにもなかった。


 組が違うとこんなにも会えないものなのか?それとも休みだったのか?まさか環のに何か――。


 心配しながら帰路きろにつく私は、時間がもどこわれずにんだ自転車をしていると、跡形あとかたも無くけた建物たてもの通称つうしょう紅館くれないやかた』だった所の前に来ていた。


 この建物が無くなったおかげで、今日もあったであろう勤労きんろう動員どういん免除めんじょとなっている。


 何なら補習ほしゅうまでやらされそうだったのだから、そう考えるとあの事件じけんけっして無駄むだではないだろう。


 女性じょせい解放かいほう運動うんどう、もとい女性じょせい解放かいほう戦線せんせんなど仕業しわざなんて誰も知らないが。


 犯行はんこう声明せいめいや、うわさくらいあってもいいのだが――。


みなっているのよ、口には出さないだけで。心ではよろこんで、応援おうえんまでしているはず。その存在そんざい言動げんどうを――」


「環!来ていたのね――探したのよ。全然ぜんぜん見つけられなくて」


「口に出すだけの度胸どきょうもなく、保身ほしんは『誰かが――』と思っている――まぁ、どうでもいい事だけれども」


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