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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯4 今までも、これからもおとめ
103/131

移行

おもした。何もかも――』


「――もしかして、ゲーテさんなの?」


「うぅ、かえしてはくれないのね。私の五十年は――しかし、これで…」


魔法まほうけた――いや、違う。私にうつった…」


「うぅ…、大郷司だいごうじ万千まちと、たまき涼風すずかぜ結婚けっこんだなんて…。彼女のつくる世界、一体どのようなものになるのか見てみたいわ――それにしても皮肉ひにくね、あれだけ死を渇望かつぼうしていたのに、今になって未来が見たい。私は後、どれくらい生きられるのかしら」


 おどろいたことに彼女は、実際じっさい年齢ねんれいの体に戻ったらしく、その体は年齢と同様どうよういていた。


 それはすなわち、彼女にかかっていた魔法が、魔女まじょの血が私に移ったことになる。


 もしかすると私は、このままとしを取らず、これ以上成長(せいちょう)もしないのかもしれない。


 しかし、たしかめようにも、私の体に変化へんかは見られない。今のところは――。


不老ふろう不死ふしの魔女とはうらやましい――寿命じゅみょうも来ないだろうな」


「寿命?魔女にも寿命があるの?」


「当たり前だろ。魔女の血に寿命をばされ、止められ、それにえられないやつがみずから命をつんだ――百年から何百年。うまくやれば百年ちょっとでつとめは終わる」


「――私は、どうなるの?」


「話が本当なら、歳を取らなくなる。すなわち、寿命も無くなっただろう――普通には死ねない」


「そんな…」


「――なんなら、お友達に全てをけるか?魔法も、魔女の血も。今ならそれが出来る。彼女が死にかけている今なら」


 私はそんな事はしない。


 しかし、この状況じょうきょう一体どうすればいいのか。


 こうなってしまった以上、ゲーテさんを助けようとは思えないし。


 ならば、夜音よねだけでも無事ぶじにこの場からげられたなら――。


 それには私が、元通もとどおりの魔女にもどりさえすれば――走馬灯そうまとう、それがかぎなら、それを見れれば。


 しかし、もし彼女の言う通り、夜音に全てが移ってしまったら…。


 魔法が使える今、戦うしかないのか。


 呪文じゅもんも一つしか知らない圧倒的あっとうてき不利ふり状況じょうきょうでも。


 それなら、夜音だけでも――。


「夜音を、夜音だけは助けて。私はどうなってもかまわない。私が、私は魔女なのだから――」


「それが貴女きじょの答えか?また魔法が使えなくなるぞ、いいのか?こいつがなくなれば、全て元通りになる――」


「お願い――夜音を助けて」


「本当にいいのか?何なら、わりに私がやってやろうか?」


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