インターミッション 本作の世界観12 ー 現行犯編 ー
中世の「現行犯」handhaftとは、犯行中に捕まった者、あるいは犯行後逃走中に捕まった者です。手で逮捕された者というのが直訳ですね。ザクセン語というのは英語とドイツ語の中間っぽいです。
被害者や親族の叫び声が、告発の原点です。平和破壊をやめさせ加害者を取り押さえるのは、平和を愛する自由人の義務ですね。駆け付けられる場所にいるならば、ですが。堤防が決壊する!という叫びを聞いた善良な市民が負う義務と性格が同じです。
加害者は法廷に突き出され、被害者(死んでおれば実質その親族など)に訴えられます。法廷は被告の権利を尊重しますから、現行犯でない者を犯人と立証することは仲々難しく、法廷での決闘、あるいは法廷外での血讐という事態になることが多かったようです。
これに対し、現行犯は圧倒的に死刑判決が出る可能性が高く、良くても手の切断刑。ですから被告の生き残る道は、如何に「現行犯」であることを否定するか、に懸かって来ます。現行犯の要件には7人の証人が必要で、1人は原告自身ですから、残り6人のうち一人でも証人として不適格であると立証できれば、被告は勝てます。
殺人の場合に限れば「正当防衛」あるいは「仇討ちであること」を立証する道もあります。婦人の貞操は大変尊重されますから、肉親の貞操の危機は正当防衛で人を殺す理由になります。美人局殺人者とか、いたかも知れませんね。
逆に、被害者側の立場で考えてみましょう。
6人も客観的な目撃者がいるような場所で、一体誰があなたを襲ってくるでしょうか? あなたは安全です。逆に、密室に監禁されたり夜道で襲われたりという状況は、もう終わりです。
異端審問官コンラート・フォン・マグデブルクは1233年に一行どもども路上で殺害されます。皆殺しだと証人がいません。
本編でも密室で危機一髪シーンが登場しますが、司法の出る幕がありません。自力救済での決着となりますが、よく見ていただけますか? 主人公側、過剰防衛してます。道化師さん不当に巻き込まれてますでしょ?




