後編2
学園内の密偵からヒロインの挙動不審な行動の報告が次々とあがってきます。これは王子が言っていた『ヒロインが転生者でビッチだった場合』という事でしょうか?
騎士団団長子息と魔術師子息を探しているようです。彼等はここにはいないんですけどね。
騎士団団長子息は氷結の鬼軍曹と呼ばれる有名な教官がいる騎士訓練校に行きました。
どんな時も表情が変わらない女性教官で、めっちゃドSらしいです。魔術師子息はガチ勢が山ほどいる魔術師養成所に進学しました。
公爵家兄はレース編み技術がなければ興味は持たれないでしょう。今の所は教師と商人の子息の攻略をしています。
「王子が言っていた攻略対象ではない上級貴族の子息にも手を出していますがよろしいので?」
「俺の派閥の者には予め忠告してある。それでもあの毒婦を好むというなら好きにすればいい」
ですよねー。
王子は自分に害が無ければ他人には興味を持ちませんけど、利用できる駒だから先手を打ったんですよねー。
ヒロインは一応、王子を攻略しようとしてるみたいですけど、王子ったら護衛に追い払わせてるので上手く行ってないようです。
そもそも上級貴族の子息は親の意向に逆らえばお先真っ暗というのは理解しているはずなんですけど、ヒロインに夢中になって婚約者を蔑ろにすればヤベー事になるのは分かってるはずですもんねー。
「ディアーナからもあの羽虫の言動に苦情がきてる。そろそろ駆除すべきかもな」
ヒロインさん生命の危機ですね!
この学園は表向きは『学問は身分を問わず。学園内においては身分の上下はあらず』となっていますけど、身分を持ち出されると面倒臭い事になるからガタガタいってんじゃねーぞ!身分云々は学園外でやれや!という方針です。
つまり何やら問題が起きたら学園は介入しないので親がどうにかしてね☆という事です。
ヒロインが王子を諦めて教師と商人の息子の攻略に専念すればいいのに執念深く王子に接近しようと周囲をウロチョロしています。
「ディアーナ様から嫌がらせをされてます!色んな虐めをされている私が可哀想なので王子が庇って下さい!」と言うような事を王子に突撃しつつ訴えています。
そして王子がどうしたかといいますと、学園長に「身分を偽って潜入したとしか思えない娼婦が王族や上級貴族に枕営業しようとしているが、これはお前の指示か?」と問い詰めました。
学園長は真っ青になって王子に謝罪しました。学園に入学許可をする際は精査して許可が出た者のはずなのにヒロインを入学させてしまった事は学園長の汚点です。