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第九話  兄は偉大

 神様に馬鹿にされイライラしながら家に帰ると、俺はバックを放り投げてため息を吐いた。

 馬鹿にされるのは慣れていたつもりだった、けど何故かあの場では馬鹿にされるのが悔しかった。

 なんか昔からずっとからかわれている様な感覚だったけど、神様の存在を知ったのは最近の事だし。

 なんなのか自分でも良く分からない。


 「また考え事してると良い事無いし、まず飯でも食べますかっ。」



 ダイニングまで降りてくるとお袋しか居なかった。兄貴はまだ学校から帰って来てないみたいで、親父は残業らしいのでお袋と二人で飯を食うことにした。


 「今日ご飯食べたら勇吾来るから。」

 「今日もでしょ?あんた毎日来てくれてるのに何で追い返してんの?」

 「いや、それは深い訳があってだね。」

 「喧嘩でもした?もしかして毎日謝りに来てたんじゃないの?」

 「違うってば!勉強教えに来てくれてたの。」


 勉強してない事がお袋にばれるのが恐くて濁したかったけど、話が変な方向に行きかけたから喋ってしまった。

 俺は恐る恐るお袋の顔を見たが意外と普通だった。


 「そうなの?勇吾君程じゃないけど、あんたも出来る方じゃないの?」

 「は?えっ!?」

 「あんた馬鹿だけど頭は良いからねぇ、なんとかは紙一重って言うし。」


 最後のは引っ掛かるけどやっぱり女の子の歩はそこそこ良い成績みたいだ、けど今の俺じゃそうはいかない。

 折角少しでも頭を良くしてもらったんだから頑張らないと、高校落ちたらお袋悲しむだろうな…。


 「ご馳走さま、じゃあ勇吾が来たらあまり部屋に入って来ないでよ。」

 「分かってます、ただ勉強って言って変な事しないようにね。」

 「な、何言ってんだよ、心配しなくても絶対有り得ませんから!」

 「なんだ残念。あんた私に似て可愛いんだから、その年で何も無いなんて周りの男達は見る目が無いのねぇ。」

 「残念で結構です、しかも遠回しに自分が可愛いとか言っちゃってるし。あ~恥ずかしっ。」


 全く何なんだよ、普通は娘の男関係は厳しくするもんだろ。

 俺に娘が出来たら絶対男は近づけないな、それが父親ってもんだ!でも俺父親になれんのか?そもそも結婚なんて…、いや今は考えるのは止めよう。

 


 俺は勇吾が来たら直ぐに勉強出来るよう準備をする為部屋に戻った、ドアを開けたら部屋にはお決まりの絵理ねぇが待っていた。


 「さっ、勉強始めましょうか!」

 「いつも当然の様に居るよね、もう突っ込まないからね。」

 「当たり前でしょ、私は常に歩ちゃんの傍らに居る存在なんだから。今日は寝かさないからな!」

 「絵理ねぇのセリフおっさんみたいだよ。」


 絵理ねぇは欲望に満ちた悪い顔になっていた、口の端からは涎が垂れていて、俺の体を舐め回すように見ていた。


 「今日の私は本気だからね。勉強教えてくれるなら全然構わないけど、邪魔するようだったら遠慮無くおばさんに通報するからね!」

 「わ、分かりました。気を付けます。」


 余程おばさんが恐いんだな、この前連行された時も一切の抵抗も無く投降してったもんな。

 結局どこの家もお母さんは恐い存在なんだな。



 『コンコン』

 「あっ、勇吾だ。」

 「ちっ、もう来たのか。あいつこそ邪魔者だ。」

 「はいはい、仲良くしてね。」


 兄弟揃って窓から入ってくるなんて、昨日まで玄関から訪ねて来たのになんなんだこの人達は。

 

 「なんで窓から来るんだよ、お袋には勇吾が来るって言ってあるからな。」

 「喋ったのか?おばさん怒ってなかったか?」

 「怒ってないよ。それ所か…、なんでもない。」 「なんだよ気になるじゃねーか。」

 「あんたは邪魔だから早く帰れって言ってたよ。」


 絵理ねぇは俺の陰に隠れて、あたかも俺が喋ったように見せかけた。もちろん俺に全く似てないけど。


 「姉貴やっぱりここに居たか。」

 「何?私が居たら都合でも悪いの?」

 「別にそんな事はないけど、姉貴も勉強教えに来たのか?」

 「当たり前でしょ、歩ちゃんは今が大事な時期なんだからね。男女仲良くイチャイチャしてる暇は無いの。」


 絵理ねぇがまともな事を言っている、遠回しに勇吾を邪魔者扱いしてるけど。

 不安要素はあるもののこの兄弟が勉強を教えてくれるのであれば、これ以上の家庭教師は居ない筈だ。


 「まずは国語から始めるか、漢文の問題集があるから解いてみろ。」

 「なんであんたが仕切ってんの?こんなの歩ちゃんには簡単過ぎるでしょ、ねっ?」

 「は、し、春眠、ふ、不覚に?の?、読めない…。」

 「マジ!?まだ5分も経ってないのに頭から煙が出そうになってるよ!」


 ヤバい、なんて書いてあるのかさっぱり分からない。これは昔の人が作った古代魔術の呪文じゃないのか?

 だとしたら無理に読まない方がいい、素人が手を出すと良くない事が起こるんだ!


 「ここまでとはな、でも教え甲斐があるな。」

 「勇吾止めろ、これは素人が手を出すととんでもない災いが降りかかるぞ。」

 「歩ちゃん何ソレ?面白いよ。」

 「二人とも真面目にやれよ。この漢文に歩の想像する効果は無い!」


 俺は至って真面目だったが勇吾に一喝されてしまった。

 そもそもなんで昔の人はこんな面倒臭い書き方するんだ?なんかの暗号か?スパイごっことかしてたんじゃないのか?


 「歩、また余計な事考えてないか?」

 「ま、まさか今はこの暗号を解くのに必死なんだから。」

 「あ、暗号…、歩ちゃんお熱有るんじゃないのかな?ちょっとお姉ちゃんが計ってあげようか?」

 「ちょ、どこから手入れようとしてんの?や、やめてぇ!」


 上着の裾から侵入してきた、絵理ねぇの手から逃れる為に暴れてると勇吾は頭を抱えてため息を吐いていた。

 俺が悪い訳じゃないだろ?まずこの変態を止めてくれ!


 『コンコン』


 ヤバい、お袋だ!騒いでるから駆けつけて来た。


 「歩、俺だ。誰か来てたのか?」

 「なんだ兄貴か、入ってきていいよ。」


 お袋が怒鳴り込みに来たかと思ったら、帰ってきた兄貴だった。


 「賑やかだと思ったら絵梨と勇吾が来てたのか、玄関に靴が無かったから変だと思ったんだよな。」

 「窓からお邪魔してました。騒いじゃってすいません。」

 「そんな気遣わなくていいから、もしかして勉強中か?」

 「そうなんだけど、中々捗らなくてさ。」

 「どれ、見せてみな。」


 兄貴に問題集を見せるとサラサラと何かを書き出した。

 答えを書いたら勉強にならないと思ったらそうでは無かった。


 「ポイントを書き込んでおいたからこれで少しは分かり易くなってないか?」

 「ふむふむ…、これがこうで、あれがそうで…、出来た!どうだ勇吾?」

 「合ってる、武志君凄いな!」

 「解いたの俺、、私だから。」


 兄貴の書き込みのお陰でなんとなく解く事が出来た、流石大学受験生は違うな。

 絵理ねぇは少しは悔しそうにしてたけど、あんた何もしてないよね?


 「あのさ兄貴も一緒に教えてくれないかな?」

 「なっ!?歩ちゃん、あの人は大学受験で忙しいんだよ、邪魔しちゃ悪いよ。そうだよねっ?」

 「俺は全然構わないよ、朝約束したからね。」

 「武志君の教え方上手いから俺も教わる側に回ろうかな。」

 「じゃあご飯食べてくるから続きやっててくれ。



 今まで勉強ではなくゲームばかり付き合ってもらってたから、俺は改めて兄の偉大さを思い知った。

 こんな事ならもっと前から勉強教えてもらえば良かった。


 「ちっ、邪魔者がまた一人増えちゃったよ。」


 小声でボソッと呟いた絵理ねぇは少しは不貞腐れていた。

 勇吾はしょうがないとして、兄貴は兄弟なんだから物の数に入れないで欲しいな。


 「絵理ねぇ何か言った?」

 「な、何も言って無いよ。」

 「ならいいけど。そう言えば今日優花から聞いたんだけど、この前優花何しようとしたの?」

 「な、何もしてないけど。」

 「何だその話?」


 この前と同じく目が泳いでいる、明らかに動揺しているみたいで落ち着きがない。

 

 「絵理ねぇ、証拠は上がってるんだよ。素直に吐いたら楽になるよ。」

 「いや、違うの!あれは私が悪い訳じゃないの、あの優花って子が誘って来たの。」

 「そんな訳ないでしょ!終始変な目で見られてたって言ってたよ。」

 「まさか姉貴、うちのクラスの奴に手出したのか?」

 「未遂よ、未遂!何もして無いから私は悪くないの!」


 動揺から一転、今度は開き直りやがった。また被害者が出てしまう前に俺は畳み掛ける事にした。


 「じゃあこの前は私に嘘ついたの?全部優花から聞いてるからね!」

 「嘘じゃないけど、あのね、あの子が可愛いからつい。」

 「つい、じゃないでしょ?この間は花屋の美月に手出して。」

 「手は出してないよ、何て言うか…、お礼を体全体で表したって言うか。」

 「それはお礼とは言いません!」


 俺の問い詰めからなんとか逃げようと苦しい言い訳をする絵理ねぇ、決定的な一打が欲しい所だ。


 「ぷっ、なんか端から見てると浮気を責めてる彼女みたいだな。」


 なに能天気な事言ってんだよコイツは!実の姉が犯罪者になってもいいのかよ、放って置いたらそこら辺被害者だらけになるぞ!女性による女性被害者が!

 しかも俺を彼女側に例えんなよ!


 待てよ、浮気?これは使えるかも!


 「我が弟よ私達はそんな良関係に見えるのか?歩ちゃんが私の彼女に見えるなら、お前の目は確かなようだな!」

 「おっ、久々に弟扱いしたな。でも弟として姉に彼女が出来るのは認められないけどな。」

 「なんだと?折角私が血縁を認めてやったのに、やはり愚弟だな。お前に歩ちゃんは釣り合わないぞ!」

 「俺はそんなつもり無いっての、ただ女同士で付き合うのは世間的に見てもだな。」


 なんでこの人達俺の部屋で兄弟喧嘩始めてんの?纏めて追い出したろかっ!


 「もういいよ。絵理ねぇは私の事飽きちゃったみたいだし、他に気になる人が出来たんだね。」

 「いや、そんな事は無いから。私は歩ちゃん一筋なんだよ。」

 「もう無理して私に気を遣わなくてもいいよ。私も最近態度悪かったみたいだし、ゴメンね。」

 「そんな、私が悪いのに、歩ちゃんに謝らせてしまった…。私はなんて最低な人間なんだ。」


 おっ、自分の非を認めたな、もうちょい押せば大人しくなってくれるかな。

 

 「姉貴の行動は歩を傷付けてたんだぞ、このままでいいのか?」


 絵理ねぇの肩をそっと叩き優しく諭す勇吾。

 流石打ち合わせて無くとも長年行動を共にした親友、ナイスな連携プレーだ。

 これで改心してくれれば言う事は無い、被害者は俺だけで充分だ。


 「もうダメだ、歩ちゃんに嫌われてしまった。もうこの世の終わりだ、世紀末だぁぁ!」


 小刻みに震え泣いていたかと思ったら突然叫びだした絵理ねぇ、その目は焦点が合っておらず薬が切れた中毒者の様に今にも暴れだしそうだった。

 薬が切れた中毒者なんて見た事無いけどな!


 「姉貴落ち着け、歩ん家に迷惑がかかるだろ!」

 「うっせ、バーカバーカ!お前には諭されたく無かったんじゃボケ!チクショー!」


 絵理ねぇは勇吾に暴言を吐くと部屋から飛び出して階段を下りて行った。

 やり過ぎたと思いすぐ絵理ねぇを追いかけようとした。

 でもちょっと待てよ、あの人窓から入って来たよな?裸足で帰るのか?


 「あのさ、絵理ねぇ窓から来たんだよな?」

 「多分な、俺の部屋の窓全開だったからな。じゃあ直ぐ戻ってくるな。」

 「でもちょっとやり過ぎたかな?」

 「姉貴にはあれ位で丁度いいんだよ、あんまり悪さされたら俺が学校行けなくなっちまうよ。」

 「でも人って追い詰められるとあんな感じになるだな。目が怖くて夢に出てきそうだ。」


 勇吾と話をしてる間に追いかけるのを忘れて、思い出した様に部屋を出ようとすると入り口に絵理ねぇが立っていた。


 「た、ただいま。靴無かったから戻って来ちゃった。」

 「やっぱりな。」

 「絵理ねぇおかえり。」

 「今度は窓から出て行くから追いかけて来てね?」


 窓に足を掛け出ていこうとする姿を見て俺達二人は深いため息を吐いた。

 この人の精神タフ過ぎるな。





 「これ分かんねぇよ。」

 「そこはこっちが先に来るからこうなるんだ。」

 「成程、じゃあこっちは?」

 「ここ見落としてないか?まずこの意味をだな。」


 「あのさ、ごめんね。」


 「そうか、俺そもそもの意味が分かってなかったんだな。」


 「二人とも聞いてる?ごめんねって言ったんけど。」


 「「聞いてる聞いてる。」」

 「これでどうだ?」

 「おぉ出来てるぞ、この調子で行くか。」


 「二人でハモらないでよ……。歩ちゃんごめんなさいってばぁ。」


 勉強を続けているとボソボソと独り言を言う絵理ねぇ、無視とまで行かないが相手をせずに居ると突然俺の腰の辺りに抱き付いて来た。


 「うわっ、ちょっと、くすぐったいから。」

 「もうしませんから許してぇ、無視しないでぇ、ごめんなさぁいぃぃ!」

 「ホントに?嘘つかない?」

 「ホントにホント!」


 絵理ねぇは許しを請うように半泣きで謝ったきたので俺は手を止めてちゃんと相手をした。

 ちょっと勉強が順調に進んでたので最早どうでも良くなってたとは言わず、俺は絵理ねぇと軽はずみな行動はしない事を約束をした。




 『コンコン』

 「はぁい。」

 「あ、俺だけど。」

 「兄貴か、どうぞ。てか一々ノックしなくていいから。」

 「まぁ一応な。」


 勝手に部屋に入ってくる他人と、部屋に入るのに一々確認を取る身内。

 なんなんだろうね俺の周りの人達は。




 「待たせたね、じゃあ始めようか。」

 「お願いします。」

 「しま~す。てか見て見て、結構出来る様になってきたよ。」

 「うんうん、勇吾の教え方が良かったんだな。」

 「なんで誰もこっちを褒めてくれないの?」

 「大丈夫歩ちゃん、私は分かってるから。」


 男達は互いに褒め合ってるけど、解いてるのは俺なんだけど…、この二人お互い気があるんじゃないの?

 女同士なら端から見る分にはいいかもしれないけど、男同士は見るのもキツイな。


 男同士褒め合う……、男同士ホモ合う。


 「ぷっ、なんだそりゃ、あははは。」

 「なんだいきなり、勉強し過ぎたか?」

 「いやいや何でも無いから。勉強の続き、やらないか?ぷぷっ。」

 「歩ちゃん変なとこで切らないの!私そっち系は無理だからね。」

 「今度はなんだ?そっち系ってなんだ?分かるか勇吾?」

 「俺も分からないっすね。」


 君達は知らなくていいんだよ、聞かれた所で素直に教えたらどうなるか分かったもんじゃないからな。




 兄貴が加わりそれから一時間程勉強して今日の勉強会は終了した。

 兄貴と勇吾にそれぞれ教わり俺は大分『国語』というものを習得したと思う、多分、恐らく。

 絵理ねぇはずっと隣に居るだけで何もせず俺の匂いを嗅いでいた。

 この人次もこの調子だったらもう出禁確定だ!





 「さてと今日は疲れたしもう寝ようかな。」


 さっきまで賑やかだった部屋は俺一人になった事で静かになり、淋しさで独り言が出てしまった。

 電気を消しかけた時に、ふと勇吾の部屋の明かりがまだ点いている事に気付いた。



 「お~い、勇吾。起きてたか?」

 「起きてたぞ、どうした?」

 「何してんの?」

 「ゲームしてた、歩はもう寝るのか?」

 「嘘だろ、勉強してただろ?」


 あからさまな嘘に突っ込みを入れると軽く笑っていた、やっぱり勉強してたみたいだ。

 こっちで勉強を教えた後に自分の勉強するなんて、兄貴も今頃頑張ってんだろうな。

 俺ってみんなに迷惑かけてる…。


 「今度は黙ってどうしたんだよ?」

 「ううん、何でも、、なく、無いかな。ただ…。」

 「ただ?」

 「んと、今日はありがとう。俺頑張るから!」

 「おう!俺と武志君がついてるからな、明日も厳しく行くぞ。」

 「絵理ねぇも居るから。じゃあ明日もお願いします。」


 勇吾から見ても絵理ねぇは当てにしてないようだ、この会話を聞かれでもしたらまた兄弟喧嘩が勃発しそうだが流石に絵理ねぇは現れなかった。


 「そう言えば武志君の事『兄貴』で通すのか?」

 「う~ん、兄貴はそれでも良いって言ってくれたんだけどね。やっぱり変かな?」

 「本人が良いって言うならいいかもしれないけど、歩と話す時あまり顔見てないよな?」

 「それは俺も気付いてた。兄貴気にしてるのかな?」

 「かもしれないぞ、可愛い妹に『兄貴』なんて呼ばれたら複雑じゃないのか?」

 「可愛いは余計だろ!」


 やっぱりそうなのか?世のお兄ちゃん達は妹からの呼ばれ方を気にするのかな?

 小学校迄はお兄ちゃんって呼んでたけど、中学入る頃には周りが兄貴って言ってたからそれに合わせてたもんな。


 「まぁ他人が余り口出す事じゃないから何とも言えないけどな。」

 「そこまで言っておいて最後はそれかよ。」

 「でも歩達は仲良くて良いよな。」

 「勇吾も女の子になれば仲良くなるかもしれないぞ。」

 「……、おっともうこんな時間だ!良い子は寝る時間だぞ。」

 「誰が良い子じゃい、俺ももう少し勉強するからまだ寝ないよ。」


 着けてもいない腕時計を見るなんて何の漫才だよ。

 前から思ってたけど勇吾は何に対して動揺するのか俺には分からない、実は絵理ねぇとはそんなに仲が悪い訳ではないのか?

 異性の兄弟と仲が良い=カッコ悪いとか思ってたり…。

 いや勇吾は『カッコ悪いと思う事がカッコ悪い』ってちょっとややこしい考えの持ち主だからな。


 「勉強の邪魔して悪かったな。」

 「気にすんな、勉強の合間に息抜きも必要だからな。」

 「じゃあ先にお休み言っておく。」

 「おう、お休み。机で寝るなよ。」

 「はいはい。お休み。」



 よしっ!ここで寝てしまったらみんなに申し訳無いな、今日覚えた事をもう一度復習しよう、なんなら予習だってやっちゃうよ!










 結局机に向かったまま寝てしまい、目が覚めたら朝だった。

 ノートを見てみると1ページの半分も埋まっていなくて自分に呆れてしまった。

 みんなゴメン、今日は頑張るから…。

 


 

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