B-2
Aは結構めんどくさい奴だった。全く目が合わないし、会話も途切れるしでつまんなかった。アドレスを交換するとき、Aのケータイのストラップを見せてもらった。俺の好きなゲームのマスコットキャラクターだ。試しにその話題を振ってみると、もう盛り上がった。
そんな感じで話し続けていたら、Aも慣れてきたようで、会話が弾むようになったわけだ。
まあ、それは置いといて。
剣を突き付けられたのは初めてだ。というか剣なんてものを初めて見た。この世界に来てから驚くことがたくさん。
「えっと、Aです。」
「Bでーすっ!!」
「Cです。」
「…あ、Dです。」
とりあえず自己紹介したけど、またそっから沈黙。この空気耐えられない!
「何か手伝うことある?」
「しょくりょうがないんだよね。」
「わかった!探してくる!」
そんなわけでAを連れて、剣を何本か作って飛び出した。
豚と出会ったので、剣を振ってみると、豚肉に変わった。死ぬんじゃなくて、精肉みたいに。拾ってバッグに入れる。そのままでいいよね?後から洗えばいいし。でも生じゃ食べれないよな。
さて、十分集まったしそろそろ帰ろう、と歩き出したのはいいけど。
「ここどこ!」
「ほらぁー適当に歩くからー!」
「だってさー!」
迷ってしまった。海辺につけばいつかは戻れるけど、時間かかっちゃうかな。
がんばって歩いていると、周りが暗くなってきた。同時に変な緑の生物が俺達の前に現れた。何だこいつ。
ヴァーって言いながらこっちに寄って来る。近くに来た瞬間攻撃してきた。痛い痛い!やめろよ!
「何こいつ!」
「いいから逃げるよ!」
慌てて走りだす。Aは俺より遅いから、合わせてやる。
逃げてる間にも、前から変な奴が現れた。全部スルー。だって死んじゃうかもしれないし。
とにかく今は逃げることに集中しよう!!
息を切らしながら見た四角い月は綺麗だった。