表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/31

第21話 第一峰・サーガラ

レゾナントとの邂逅から一時間後、一行はサーガラ峰に到達した。


 


 高い。


 


 三角形の北北西に位置する、最も高い峰。頂点に近い岩場に立つと——下に台地が広がり、三角形の内


 側全体が見渡せた。




 「高い……」エラが足元を見た。


 「ここが第一峰だ」ウィークは言った。


 「地脈が最も濃く集まる場所だ。地属性の守護龍が宿る」




 「地脈が……感じる」ラベルは足元に意識を向けた。


 「下から——重い、温かい、古いものの気配が来てる」




 「三百メートル以上の深さに、地脈の精霊が住んでいる」ウィークは言った。




 「通常の精霊とは格が違う。その精霊が認めた場所に、守護龍が降りてくる」




 「俺が——地脈の精霊に届けるんだな」ラベルは言った。




 「そうだ。深いところにいる精霊に、この峰が適切な場所であることを伝える。技術ではなく——深さ


 で届ける音楽を」




 「深さで届ける……」ラベルは目を閉じた。


 (地脈の精霊——どんな旋律が届く?)


 (土の重さ。岩の固さ。大陸の根幹を流れる、大地の血流——)




 ラベルはノエルの最も低い弦を、ゆっくりと、力を込めて鳴らした。


    


   ブォォン——


 


  音が、地面に吸い込まれていくような感覚。


  弦の光が、深い緑から——土の茶色に変わっていった。


  (地の深さに——届け)


  (ただ、届けるだけでいい)




  深呼吸した。




 旋律を——もっと深く。地面の下へ。地脈の流れに沿って。




 カルテットが声を重ねた。ロクの低音が、特に力強く大地に響いた。




 地面が——震えた。




 「来る」ウィークは言った。




 岩盤が振動した。ドノヴァンが踏ん張った。カイが体勢を整えた。




 地面から——光が出た。


  深い茶色と、緑が混じった光。峰の岩盤を通じて表面に滲み出てきた。


 そして——形が現れた。




 龍だった。


  岩と土で形作られたような、重厚な龍。その目が——ゆっくりと開いた。




 「……長い間、待っていた」




  声が、大地の振動として届いた。




 「待っていた?」ラベルは問い返した。




 「この峰に、結界を張るべき者が来るのを。大陸が生まれてから——ずっと、この場所を守ってきた。 


 しかし結界を完成させるには、音楽が必要だった」




 「ソナーレの音楽が——必要だったのか」




 「大陸の始まりの音楽が。お前の血が持つ音楽が」




 「わかった」ラベルは頷いた。


 「一緒に——この峰を守ってくれるか」




 「それが、私の使命だ」




 ウィークが前に出た。




 破邪白眉斎の外装に刻まれた龍の紋様が——輝いた。




 「守護龍よ」ウィークは言った。


 「一つだけ、伝えたい」




 「なんだ?」




 「あなたを縛るつもりはない。縛らなければ——最終召喚の時に、あなたの本当の力が出る。それが、


 私の龍使いとしての誓いだ」




 「……龍使いが、そんなことを言うのか」




 「それが、私の龍使いとしての在り方だ」




 「面白い誓いだ。では——共に在ることを、私も選ぼう」




 「サーガラ——結界展開」




  守護龍が頷いた。




  峰全体から光が上がった。地属性の結界が——岩と土と地脈を縫いながら、峰の表面に刻まれていっ


  た。




  サーガラ結界——完成。




 「第一峰、完了だ」ウィークは書物に記した。




 「龍が——縛らない誓いを受け入れてくれた」ラベルは言った。




 「信頼から生まれる力の方が大きい、ということを——守護龍たちは知っている」


  ウィークは静かに言った。「だから縛られることを、最も嫌う」




 「フレイムと同じだ」カイが言った。




 「そうだ。全ての竜に通じる真理だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ