第三十九話 狂おしい添い寝。
……えーと。
俺のそばに、脱力した二人の美少女。二人とも顔が上気して、色っぽい顔になっている。
「おにいちゃん……ありがとぉ……」
シェリーがとろんとした顔で言った。
「カイ様ぁ……」
サヤが甘えるように俺の腕を取った。
「シェライア……、もぉ、平気……?」
俺に体重を預けるように密着させて、それでもサヤはシェリーを心配していた。
「私は……だいじょぶ……だ……。サヤ……」
シェリーはふわふわした表情で答えた。それでもその口調かい。
「とりあえず、もうあいつは来ないだろう。今夜はもう休もう」
俺は二人に声をかけた。実は、すでにもう俺の戦闘民族がヤバい状態なのだ。化け物騒ぎで一旦は落ち着いていたわけだが、それが落ち着いて今のこの状況。どうにかならない方がおかしいだろ。
だが、二人は俺から離れようとはせず、俺の顔を切なげな目で見つめていた。
「カイ様ぁ……」
「おにいちゃん……」
二人が同時に声を出した。
「今夜は、一緒に寝て下さい……」
「今夜は、一緒に寝て……?」
これまた二人同時の提案。いや、ちょっと待て、それはヤバい。やばすぎるだろ。
「またさっきみたいな事があったら……」
シェリーが上目遣いに俺を見上げて言った。そ、それはずるいぞ。シェリー。
「怖くて、一人でなんて眠れません……」
サヤが目をうるうるさせて言った。サヤ、その顔は反則だぞ。
二人にこんな風に言われて断れるやつがこの世にいるのか? でも、こんな風だからこそ、ますます断らなきゃまずい状況になっているのも事実だ。
俺の戦闘民族は、完全に臨戦態勢。俺の頭の中の【理性くん】はすでにフルボッコにされたポケットティッシュのようにしょんぼりしている。
「いや、でもほら、ベッドそんなに大きくないし、サヤとシェリーの二人で……」
二人の目が、うるうるしていた。
――三分後、俺たち三人は、シングルベッドに三人並んで、くっついて寝ていた。
どうしてこうなった。
いや、いいんだけど。うれしいんだけど。
俺の左にはサヤ、右にシェリー。両側から抱きつかれ、もう頭おかしくなりそう。
二人とも心の鍵を開けた影響で立てない状態だったから、二人をそれぞれお姫様抱っこでベッドまで運んだのだ。
あれね、女子はテンション上がるらしいんだけど、男子としてもね、結構クルものがあるわけですよ。しかもね、二人ともちょっと触れただけで……いや、これ以上は言うまい。年齢制限が必要になってしまう。
とにかく、二人を左右からベッドに寝かせ、俺はその間に入ることになったわけだ。
二人とも、よほど怖かったのだろう。俺が間に入った途端、ぎゅっと抱きついてきた。
ここでみんな、もう一度思い出してほしい。サヤはビキニ、シェリーはスク水姿なのだ。サヤの素肌が、そして柔らかく押しつぶされる胸の感触が左から襲い掛かってくる。右からは俺の脚に触れるシェリーのすべすべの脚。
やばいぞこの生殺し感。戦闘民族が大変な事になっているのにどうすることもできない。気付かれないようにそーっと……とも考えたが、そもそも抱きつかれた腕を気づかれずに動かすなんて不可能だ。それに、不用意に手を動かすと、やばいところに触れてしまいそうで、俺は完全に動きを封じられている状態になっていた。
もう気が狂いそうだ。もうどうにでもなれ。R18上等だ!
俺が破れかぶれにそう思った時、布団を透過する勢いで、ポケットのスマホから光があふれた。
生命とは、一体なんなのだろう。
俺はふと思った。
あの化け物も、亡霊か何かだとしたら、もともとは生きていた者のはずだ。あのような姿になって肉体は滅びかけていてもなお生き続けている。その想いが、生命をつないでいるのか。
生きるとは、一体なんなのだ。
そう、俺はまた【賢者タイム】に突入していた。
両側から抱きついている二人の寝顔を見て俺は微笑んだ。二人とも、安心しきった顔で眠っている。
俺は、色々ありすぎた今日一日の疲れを心地よく感じながら、眠りについた。
転生して四日目の朝。
目を覚ますと、ベッドには俺一人だった。
二人は起きていて、もう朝食の支度をしているらしい。
キッチンに出ると、水着の上にエプロン姿の二人が、仲良さそうに料理を作っていた。
「あ、カイ様おはようございますっ!」
サヤがいち早く俺に気づいて、ぱっと輝く笑顔を見せてくれた。
「あ……、おにいちゃん、おはよぉ……」
シェリーは少しうつむいて顔を赤らめた。な、なんだなんだ、幼女の見た目でそのリアクションは……!
良い!!!
昨夜のような何かに憑依されている雰囲気は完全に消え去っていた。
はにかんだ幼女という尊すぎる風景にテンションの上昇を感じながら、俺は一旦自室に戻った。やはりね、昨日からの懸案を何とかしないとね。
思った通り、スマホは完全に充電されていた。まぁ、あれだけ刺激されまくって膨れ上がった欲望を吸い込んだのだから、当たり前だ。過充電されててもいいくらいだ。
俺は【R-DL】で真っ白のTシャツを二枚出した。せめてこれ着てもらわないと理性がもたん。
続いて地図アプリを出して、現在地を見た。
うん。海だね。
周り一帯が、海。
海の一点に、ピンが立っていた。いや、これじゃ現在位置全くわからんし。
俺は地図アプリを諦めて、ミュウを呼び出した。
「いちゃいちゃ終わった? ……って、もう日が変わってんじゃん! てゆーかここどこ?」
出て来るなりうるさいなぁこいつは。
「よくわかんねーんだよ。飛ばされて来たんだけど、たぶん、水の領域なんじゃないか?」
「そっかー。水の領域かぁ」
明らかにテンションが落ちていた。ビーチとかそういう所は好きそうなもんだが。あーそうか。羽が濡れると飛べなくなるんだっけ。
滝のそばでテンション上がって飛べなくなったから、さすがに学習したという事か。まぁミュウもAIの一種なんだろうから、学習機能はあっておかしくない。いやあるべきだろう。
「あ、マスター、ちょっと待って!」
ミュウはそう言うとスマホに戻った。ん? なんだなんだ?
俺がスマホの画面をのぞくと、待ち受け画面がブラックアウトし、中央部に【お着換え中】の文字が。別に隠すようなもんでも……あるか。
前にも書いた通り、ミュウは黙ってさえいればかなりの美妖精で、スタイル抜群なのだ。そのお着換え中は、まぁさすがに待ち受けレベルで表示させるわけにはいくまい。ちぇっ。
着替えを終えたミュウは、なんだかんだ言っても結構テンションが上がっているようだった。さすがに水着ではなかったが、思い切ったローライズのデニムショートパンツにへそ上丈のチビT。こいつ、自分の色気を最大限に引き出す術を心得てやがる。
「ふふーん。似合う?」
気取ってポーズを決めるミュウ。俺はわざとスルーして、話を進めた。
「そんな事はどうでもいい。この、水の領域ってのは、どういう所なんだ?」
「ぶー、少しはリアクションしなさいよーもー」
ミュウが腰に手を当ててふくれっ面になった時、キッチンからサヤの声が聞こえた。
「カイ様っ! ご飯できましたよぉ!」
次回予告!
やっほー!ミュウだよ!
恐怖の一夜が明けて、太陽サンサン!
そうなれば当然!ビーチビーチ!
水辺ではしゃぐエロマスター達!
だがその時……!
次回、Take It All! 第四十話
「あこがれのシチュ!!」
読まなかったら鼻に飛び蹴りだからねっ!
ええ~~!!まさかの衝撃展開!
これってマジ超ヤバいんじゃない?




