「俺たちの冒険はこれからだ!」
「「これは!?」」
十三がアポートした船を見てクラとゲンが驚く。しかし、同じように驚いてはいるがその声は多少異なり、クラは歓喜の声でゲンは呆れ声だ。
「またえらくデカいのを引っ張ってきたな」
「十三、これは空母ではないか?」
今彼らの眼下に沈む船は予想以上に大きい物であった。
「空母は運用が手間だからパスとか言ってなかったか?」
呆れたようなゲンの指摘に十三は「いやぁ」と苦笑する。
「第二次世界大戦の頃の空母を今更運用しようとは思ってなかったんだけど、戦後造られた空母がまさか沈んでるとは思わなくてね。チヌークの運用を考えたらそれなりの大きさが必要だし、だったらいっそってね」
「うむ!その考えは間違いではあるまい。さあ、すぐリセットするのだ」
やけにクラのテンションが高い。
「神力はまだ余裕あるのか?」
「ああ、これだけ大きくても四〇〇千点も使ってないからな。まだ六〇〇千点も残ってる。後回しにしていた細々とした物やあとから思いついた不足品も充分アポート出来るさ」
心配そうなゲンにそう笑い十三は空母にリセットをかける。
「デカいなー」
リセットという神の力を受けて、竣工時の姿を取り戻した空母はやはり大きかった。
「さっそく乗り込もう」
「いや、ここからじゃ無理だろう。一旦チヌークに乗って上から乗り込もう」
さすがに海面に浮かんでいる今の状態から乗り込むのは難しそうだった。
幸い錨を下ろした状態にリセット出来ていたので、チヌークで着艦しても大きく揺れるようなことにはなるまい。
ということで早速十三たちは港に戻り、チヌークの準備をする。
クラが発進の準備をしている間に、十三とゲンは軽トラと九龍玄女像を機内に積み込んだ。神力が潤沢にあるとは言えそれは九龍玄女像に蓄えられているのだ。今後空母を拠点にするので、玄女像を積み込むこと必須なのだ。
「よし、出してくれ」
クラにそう合図する。
「この九龍玄女さまブリッジに入るかな?」
「かと言って格納庫に置いとくわけにもいくまい」
クラがチヌークを空母へ向け飛ばしている間、機内でゲンと相談する。
「フィギュアヘッドにするってのも考えたんだけどね」
「神力を使うために触れる必要があるから、それは良いアイデアではないな」
「だよねー」
「どっちにしろ空母に着いてからだな」
「それもそうだな」
そんな雑談をしている内にチヌークは空母に着艦した。
「ところで、この空母はなんて名前なんだ?」
広い飛行甲板に降り立ったところで、クラが十三に聞いた。
「元々の名前はアメリカ。でもそのままだと借り物っぽいし、新しく名前付けようかと思ってる」
「そうだな。たしかに儂らが乗る船がアメリカだとなんかしっくり来ないな」
「ふむ、それならティターンはどうだ?この巨大さにピッタリだろう?」
クラが早速提案する。
「なんか違うよなぁ」
「では、女性っぽくティターニアに変化させたら?」
「ティターンとティターニアだと巨人と妖精で別モンじゃね?ってか、ティターニアはなんか沈みそう」
十三には不評なようだ。
「九龍玄女さまにあやかってドラゴンを入れるのはどうだ?」
「それも安直過ぎないか?」
ゲンの提案も十三の好みではないようだ。
ふと気付けば陽もだいぶ傾いて来ている。
十三が何気なく視線をノレイエ島に向ければ、火山の向こうに沈みゆく夕陽が見える。
そして、その夕陽に照らされたガソリンスタンドの姿も。
「そうだ!コズミックってのはどうだろう?」
「コズミックか。悪くないな」
「ああ、お主にしては良い名前だ」
クラもゲンも同意する。ところでゲンは自分たちの名前に思うところがあるのだろうか?
「名前も決まったところで、早速中に入ろうぜ」
「ああ、これから忙しくなりそうだ」
「まぁ今日のところは船のことを理解することと九龍玄女さまの像を安置することぐらいだろうがな」
夕陽を浴びて一人と二体は空母「コズミック」の艦内へと向かう。
「ゲンさんの言う通り、今日はその程度だろうけど、明日からは本格的に忙しくなるさ。
だって俺たちはようやく漕ぎ出したばかりだからな。
この果てしなく広い男海をよ…」
ー 完 ー
ご愛読ありがとうございました。
ユダ氏の活躍は近日公開予定の「チーム一〇八のキセキ」にご期待下さい。
…そういや「予定は未定、決定に非ず」とも言いますね。




