さらばノレイエ島 七
(それに俺が弾けなくても弾ける誰かを仲間にすりゃ良いんだしな)
アイドルグループを運営するには当然アイドルの娘たちだけではなくスタッフも多数必要になるだろう。この島を出て大陸へ行き多くの仲間を集めたいと十三は切望していた。
(あとは運営スタッフとは別だけど、腕の良い鍛冶屋も欲しいな)
それも十三が持ち込んだ地球の機械のメンテナンスや複製を出来るような腕利きを欲していた。
(クルマとか現物あれば作り理解して作れないかな?)
もしそれが可能ならばこの世界に車社会の到来を迎えられるかも知れない。そしてその燃料供給は十三が握るのだ。正に石油王に相応しい資産を得られるだろう。
そこまで大それた話じゃなくても、クルマや様々な機械はやはり便利な物である。有ったにこしたことは無かろう。
(やっぱ剣と魔法のファンタジーってなら、その手の人材はドワーフだろうな)
まだ見ぬ腕利きの職人を夢想する。
(それから料理人も欲しいなー。農業に詳しい人も欲しい。何とかして米作って食いたい)
十三の夢想は続く。
(医療も心配だ。回復魔法の使い手とかいたら採用しよう)
この無人島にやって来て約一週間。十三は人恋しかった。このまま誰にも会わずに死んでいく未来が頭を過る夜もある。だから余計にアイドルグループを運営する未来を夢想するのだ。
最早「この島から何を持ち出すか?」という議題とは関係ない夢想に耽っているうちに今日も十三は寝落ちていた。
十三が目を覚ました時はまだ暗かった。
オイルランプの灯油が切れてたからだ。暗がりの中手探りでバーナーを探し火を着ける。あとはその明かりを頼りにオイルランプに順次補給して再び洞窟を光で満たす。
(いつものことだけど、いつの間にか寝落ちていたな)
どれだけ寝ていたか時間はわからないが、ぐっすり眠れたので眠気は全くない。
「さてと、今日も頑張りますか!」
敢えて声に出すことで仕事モードに切り替える。
作業過程でアンキトーストを何枚か出す予定なので今は食事しない。
(まずはイカダで運べる物から拠点に移動するか)
ギターやインスタントラーメン、それにニューイカダの材料となる水タンクなどをイカダに積み上げ一度拠点へ運ぶ。
(夜明け前か)
外は夜の帳が上がりつつある時間帯のようだ。水平線から徐々に黒から青へと空の色が変わってゆく。
(綺麗だな)
十三はその景色に素直に感心する。日本に居た頃はこの時間帯はほぼ夢の中で見る機会もなかった。
(こっちに来て健康的な生活になったってことかな?)
昇りゆく朝陽を見ながらふと思う。だがしかし十三は栄養面で確実に不健康になっていることは見落としていた。




