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level22



「…」「…」「…」「…」



余りの事に全員が声を失う。


確かにセシリアの動きは大したものだ。無駄も無く、正確で、そして力強い。

恐らく今まで一度足りとも同年代で自分の動きに着いてこれる人間と出会った事も無いのだろう。

そんなセシリアの動きに反応してみせたのである。


驚愕も無理はあるまい。



俺は落とした木剣を拾って再び構え、こう切り出す。



「…どうした?そんなモノか…?」



「…ッく!!」



そう言うとセシリアは剣を振るう。

しかし、さっきとは打って変わって感情的で読みやすい剣筋である。


右手、左手、胴、袈裟。


俺が読みきっている箇所に次々と剣を繰り出し、吸い込まれる様に俺の体へと打ち付ける。

俺はその動きを見ながら右手を上げ、高らかに「参りました!降参です!!」と繰り返すが、それでもセシリアは止まらない。

大した奴だ…“残心”を忘れないのは基本だが、セシリアのそれは残心を越えて、“追い打ち”か“死体蹴り”の領域へと至っているだろう。


もう、体はボッコボコ。


しかし大丈夫。

そんな時でも俺は超絶冷静なのだ。

超絶クールな超絶イケメンとは正に俺の事。

こんな状況を回避する手段は用意してある。

































「ごめんなさぁぁい!!許して!!堪忍して!!堪忍してぇぇぇぇぇ!!悪気は無かったんです!!靴でも舐めます!!許してぇぇぇぇぇ!!許してぇぇぇぇぇ!!家で病気の兄弟と両親と祖父母と犬と犬に住んでるノミとバクテリアがランバダ躍りながら待ってるんですぅぅぅぅうぅ!!!」






―“命乞い”―



これは昔、友達のケンちゃん家でTVを壊してしまった時に学んだ、48の恋愛テクニックの一つである。


あの時は仮面ライ○ーWゴッコにはまっており、俺のジョーカーエクストリームがTVをジョーカーエクストリームしてしまったのだ。


親を呼ばれた時は正に命懸けの修羅場。


しかし、そんな俺を救ってくれたのがこの“命乞い”

命乞いする様さえ超絶イケメンの俺に、人々は声を失うのだ…。




「…………~~ッ!!」




本当に失ってるやんけ。流石は超絶イケメンの俺。




「…貴方!!恥ずかしく無いのですか!?

かのタナスアート=ラファガの一番弟子ネルが、こんな娘に負けて、あまつさえ命乞いをするなんて!!

恥を知りなさい!!」



セシリアはそう言った。

まぁ、気持ちは分からないでも無いが、全力を尽くして負けて、命乞いしか選択肢が無かったのだ。


そもそも、()()()()()()()()()



セシリアは気付いて無いみたいだが。



セシリアは俺に対する苛立ちを消化出来ないのか、師匠に食ってかかる様に続けた。



「さぁ、タナス様!見ての通り私が勝ちました!

この情けない男を破門し、私を弟子に迎えて下さいますね!?」



なんて奴だ…俺の破門まで追加するなんて…。



しかし―



「そうじゃな。試合はセシリアの勝ちじゃろう。

…しかし、弟子にはせん。」



「な!?タナス様は確かにこの男と試合えとおっしゃったではありませんか!?

私を騙したのですか!?」



困惑と怒りの声を上げるセシリアだが、師匠はさして気にしないかの如く、髭を弄りながら飄々と答えた。



「人聞きの悪い事を言うのぅ…。

ワシが一度でも、“ユーリに勝てば弟子にする”と言うたか?」



「なっ!?」



驚愕に目を見開くセシリア。

ここに来てやっと気づいた様だ。


そう、師匠は一度もこの試合を弟子入りの条件とは言って居ない。

この試合は、初めからただ“試合するだけ”でしかなかったのだ。



「……ッ!!」



セシリアは悔しいのか、両手を握りしめ、唇を噛んでいる。

師匠はそんなセシリアの頭にそっと手を置いて話し掛けた。



「セシリアよ、ワシはお前さんに意地悪がしたくて弟子入りを拒んでおる訳では無い…。

ただ、お前さんの資質と、ワシのラファガ流術式戦闘術(ソーサリーアーツ)の相性が極めて悪いから拒んでおるんじゃ。」



「…やってみなくては分からないではありませんか…。」



「やも知れぬな。しかし、ユーリと試合ってどうじゃった?

お前さんが今まで培った努力と経験は無意味じゃったか?」



「…。」



…やるなジジイ…。



「負けたとは言え、ユーリはお主の剣速に着いて来て、その上で剣を沿わせる事までやってのけた。

こやつは確かな腕前じゃったろう?

それをこうも容易く破ったのは、セシリアが今までルイスに師事し、たゆまぬ努力をしてきたからじゃ。」



「…」



「セシリアよ、お主はまだまだ父上から学ぶべき事がある。

それを全て学び終えて、その上でワシに弟子入りをしたいと言うのであれば、ワシは受け入れよう。

じゃが、それは今では無い。

…分かってくれるか?」



そう言って師匠はセシリアの顔を覗き込む様に身を屈める。



「…分かりました…今は…。」



セシリアはなんとか納得した様だ。

…しかし、我が師匠ながら随分な人たらしである。



「さて、ワシはルイスと半日程出掛けて来ねばならん。お前達は暫く二人で待っておれ。」



…へ?なんて…?



一瞬呆気に取られた俺とセシリアだったが、正気に戻ったのかセシリアが叫ぶ様にこう言った。



「なっ!?嫌です!!私も連れてって下さい!!」



しかし、ルイス氏は首を振りながら応える。



「セシリア…。連れてくる前にも言ったろう?

お前は連れて行けないのだ。

ここでユーリ殿と待ってなさい。」



「なっ…!しかし…!!」



「セシリア…。」



ルイス氏はそう言って、セシリアを見つめる。



「…分かりました…。」



どうにかセシリアは納得した様だが、残念。俺は聞いて無い。



「師匠、俺は聞いて「では行って来る。セシリアよ、ユーリをイジメんでやってくれよ?」。



「…お約束致しかねます…。」



「致しかねるの?じゃあ俺はちょっと「分かった。死なない程度にしてやるんじゃぞ?では行って来る。」



「俺の話聞いてる?」



そのまま師匠とルイス氏はグリフォンに股がり飛んで行った…。



「…」「…」



「…死なない程度…か…。」



セシリアが此方を見ている。仲間にしますか?



はい



いいえ←




















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