感覚
「……魔法って、どうやったら使えるんですか?」
俺の問いに、マリーは少しだけ驚いたように目を瞬かせた。
「急ね」
「気になって」
正直に言う。
マリーは少し考えてから、椅子に腰を下ろした。
「魔法はね、“魔力”を感じて、それを操作することで発動するの」
「魔力……」
聞き慣れない言葉。
「体の中にあるエネルギーみたいなものよ。人によって量も質も違う」
「それって、誰でも使えるんですか?」
「理論上はね。でも、感覚的な部分が大きいから、できない人は一生できない」
(感覚……)
一番厄介なやつだ。
「じゃあ、どうやって最初は覚えるんですか?」
「教わるか、感覚を掴むまで繰り返すか……」
曖昧だ。
あまりにも。
(それじゃダメだ)
その瞬間、視界の端に浮かぶ。
【生成AI質問】
(……使うか)
まだ頼る。
今はそれでいい。
目を閉じ、思考を整理する。
魔法とは何か。
エネルギー。操作。発動。
現実の概念に落とし込め。
そして、“問い”を組み立てる。
「人間が体内エネルギーを制御し、外部に放出・操作するための最も効率的な訓練方法は?」
暗転。
数秒。
【回答】
・呼吸と意識を同期させる
・エネルギーの流れをイメージで可視化する
・微弱な出力から段階的に制御する
・繰り返しによって神経系に定着させる
戻る。
ゆっくりと目を開ける。
(……いける)
完全に“分からない”状態じゃない。
やるべきことが、はっきりした。
「マリー」
名前を呼ぶ。
「……ちょっと、試してもいいですか」
「え? ええ、別にいいけど……」
不思議そうな顔。
当然だ。
いきなりできるようになるわけがない。
普通なら。
ベッドの上で姿勢を整える。
深く息を吸って、吐く。
(呼吸と意識を同期……)
目を閉じる。
体の内側に、意識を向ける。
心臓の鼓動。
血の流れ。
その奥に――
(……これか?)
わずかに、違和感のある“流れ”。
気のせいかもしれない。
でも、そこに意識を集中する。
(エネルギーの流れをイメージ……)
その“何か”が、体の中心から手の先へ流れていくイメージ。
繰り返す。
何度も。
何度も。
「……ちょっと」
マリーの声が、遠くで聞こえる。
「それ、まさか……」
集中する。
微弱でいい。
ほんの少しでいい。
(外に……出す)
指先に、意識を集める。
その瞬間。
――ぱちっ。
小さな音がした。
目を開ける。
指先に、わずかな光。
ほんの一瞬。
だが、確かに“何か”が発生した。
「……え」
マリーの声が、震える。
「今の……あなた、今……魔力、流した?」
自分の手を見る。
何も起きていない。
でも、さっき確かに――
(出た……)
初めての“魔法”。
いや、正確には“魔力の発現”。
だが、それで十分だった。
「……今の、感覚分かる?」
マリーが身を乗り出してくる。
「はい……なんとなく」
「なんとなくでできるものじゃないのよ、それ!」
珍しく、声を荒げるマリー。
その反応で理解する。
(普通じゃないんだな、これ)
でも、その理由は分かっている。
(質問したからだ)
現実の理論に落とし込んで、最短ルートを引いた。
それだけだ。
「もう一回、やってみて」
マリーが真剣な目で言う。
頷く。
もう一度、呼吸を整える。
さっきの感覚をなぞる。
(再現……)
集中。
指先へ。
そして――
――ぱちっ。
さっきより、少しだけ強い光。
「……っ!」
マリーが息を呑む。
「信じられない……」
その言葉を聞きながら、静かに確信する。
(いける)
剣も、魔法も。
この世界の力は――
(“理解”すれば、扱える)
視界の端に浮かぶスキル。
【生成AI質問】
それはやっぱり、異質だった。
だが――
「最短で、いく」
小さく呟く。
遠回りはしない。
できる限り、効率よく。
最速で強くなる。
そのために――
「使い倒す」




