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第30話 さらばシャルロット! また会う日まで……ええ!? 待って、最終回なんですか? 私に関する伏線は……え、ほぼ回収した? もう私の活躍する話があまりない!? そんなぁ……

本当は十二時に予約投稿したつもりだったんですが、ミスりました

もうこのままでいきます

 さて、それから様々なことが起こった。


 まず私がロラン伯父様を教会に連れて行き、さらに人体錬成のことをイルハム枢機卿に報告、同時に出資者名簿も提出した。


 イルハム枢機卿は血相を変えて、即座に動いた。

 ガリア王国に駐屯していた、教会の常備軍である神殿騎士団、さらにガリア王国中の武装神官がモンモランシ伯領に出動し、証拠の確保に向かった。


 途中、証拠隠滅を図ろうとした国王軍と一悶着あったようだが、国王軍はあっという間にボコボコにされてしまったようだ。


 それからイルハム枢機卿はロラン伯父様への尋問を行った。

 ロラン伯父様は死なば諸共精神で何もかも吐いたらしく、結果国王を含め研究に関与したガリア王国の有力者の全てに出頭命令が下った。


 また事態を重く見た教会本部より、武装神官を引き連れた大司教格の司教枢機卿が最高責任者として派遣された。


 国王を含め、一部の貴族は抵抗したようだが……

 抵抗虚しく、全員が捕まったようだ。


 またこの時、アルレリア派の隙をついてアルビオン王国、つまりアンディーク伯爵とその愉快な仲間たちがアルレリア派貴族や国王領に進軍した。

 とはいえ、これは和平協定違反である。


 和平を仲介したのは教会だったこともあり、これには教皇もブチ切れて、あわやアルビオン王が破門されかける事態に発展した。

 とはいえ、さすがのアルビオン王=アンディーク伯もビビったらしくすぐに軍を引いたが。


 もっともちゃっかり略奪していったみたいだけどね。


 夏休みの終わりごろにはロラン伯父様の判決が降りた。

 ギリギリ死刑は回避し、教会の牢で一生懺悔し、魔法薬をひたすら生産する刑に処されたらしい。


 死刑でもおかしくなかったが……

 司法取引、というやつだろう。


 早い段階で何もかも正直に言ったのが、印象を良くした、というのもあるみたい。


 まあもともと宗教裁判は死刑判決だけは出にくいからね。

 割と「本来なら死刑なんだけど反省してるっぽいし、終身刑にしてやろう」みたいな判決がよく出る。

 もともとイブラヒム教は贖罪思想の宗教で、「罪を許す」ことが重要とされているのだ。

 例え教会を批判した異端者でも、「考えを改めて主張を撤回します」と言えば許してもらえたりする。

 この辺は割と甘い。


 もっとも、その代わり「戻り異端」とかには厳しい。

 二度目は問答無用で火炙りになる。

 

 何はともあれ、運の良い人だ。

 まあアレでも私の親戚なわけで、死刑を回避できたのは良かったんじゃないかな?


 今度、煽るついでにお菓子でも持って行ってやろう。

  

 現在は国王を筆頭に、貴族たちへの宗教裁判が行われている。

 もっとも実際に関与したのではなく、あくまで資金の出資だ。


 そこまで重い罪にはならないだろう。

 もっとも、国王を含めて全ての貴族が「反省を示すために職を辞す」ことにはなるだろうけどね。


 ここ一年で王家・貴族家で当主交代が発生することだろう。

 もしかしたら本家・分家での相続権争いが発生するかもしれない。

 またアンディーク家がこのまま指を咥えて黙って見ているはずもない。何かしらの政治的なアクションを取る……というか取っているだろうね。

 戦争はダメと言われたが、政治工作は禁じられていないし。


 しばらくはガリア王国の政界は荒れに荒れるだろう。





 さていつものようにイルハム枢機卿のお屋敷でブーメランと遊んでいたところ……

 イルハム枢機卿に合わせたい人がいるから、ルテティア大聖堂にまで来てくれと言われた。

 メイド服で行こうとしたのだが……

 マルグリットに捕まり、黒いドレスに着替えさせられ、化粧を施されてしまった。


 大聖堂に着くと、助祭級の武装神官と思われる人物がいた。

 ぱっと見、私と同い年、十三歳か十四歳程度の少女に見える。


 髪は美しい銀髪で、瞳の色は本物の紫水晶が嵌め込まれているようだ。

 目鼻のバランスは整っており、何よりもその唇がとても美しく、蠱惑的で、官能的に見える。


 ただ唯一欠点を上げるのであれば、目が死んでいることだった。

 まるで魚市場に並んでいる魚みたいだ……いや魚の方がもしかしたら生き生きしているかもしれない。


 少女は私に気付くとゆっくりと近づき、礼をした。


 「……モンモランシ選教侯、本日はお越しいただきありがとうございます。ご案内致しますので、どうかついて来てください」


 その声はまるで、天使がかき鳴らす楽器の音色のような、美しい声だった。

 ……表情筋が機能していないことが本当に残念だ。


 少女は私が何か、言うよりも早く、スタスタと歩き始めてしまう。

 私は慌ててその後を追った。


 大聖堂の奥、応接間のような場所に通される。

 そこにはイルハム枢機卿と、もう一人、服装から枢機卿と思われる人物がいた。


 年齢は五十代前半ほどで、非常に厳格な顔立ちをしている。


 「モンモランシ選教侯、初めまして。聖都より派遣された、本件の責任者、カリクストゥスと申します。階位は司教枢機卿です」 

 「シャルロット・カリーヌ・ド・モンモランシ・ド・ラ・アリエです。シャルロットとお呼びください」

 「では、シャルロット卿」


 カリクストゥス枢機卿は私にソファーを勧めた。

 私が腰を下ろすのと同時に、少女が紅茶を持ってきた。


 ……六十点かな?

 茶葉は高級だけど、淹れ方はあまり上手とは言えない。

 まあさすがに親しくもない聖職者に文句をつけるほどの度胸はないけど。


 「まずはお礼を……例の事件、一早く通報して下さりありがとうございます」

 「いえいえ、敬虔な信徒として当然のことをしたまでです」


 印象を良くしたいので、取り敢えず謙遜しておく。

 カリクストゥス枢機卿は目を細めた。


 「お若いのにしっかりとしている。……もし宜しければご年齢を教えて頂いても宜しいでしょうか?」


 ふむ。

 まあ私はまだ年齢を聞かれて失礼だと思われるような年でもない。


 「十三歳ですね。あと一月と三日で十四歳になります」

 「なるほど。セレナ、君とは約一年違いになるな。学年は同じだが」

 「そうですね」


 ほう……つまりこの子は早生まれということか。

 遅生まれの私とは真逆だ。


 私はこっそりと、少女の胸部装甲を確認する。

 ……っく、負けた。

 約一年の差があるのに!!


 君、発育良過ぎでしょ。

 身長も私より高いし。


 「そちらの方のお名前を聞いても宜しいですか?」

 「はい。……セレナ・フォン・ブライフェスブルクと申します。階位は助祭です」


 やっぱり助祭かぁ。

 ということはあの激ムズ試験を十二歳で突破したということになる。


 それにしても……

 フォン・ブライフェスブルクね。


 「もしかしてゲルマニアの?」

 「はい。父はブライフェスブルク選教侯です」


 セレナ様は誇らしげに言った。

 まあお父さんのお仕事が『選教侯』なら自慢したくなるよね。

 ブライフェスブルク選教侯と言えば、ゲルマニア神聖連邦の大貴族だ。

 財力・軍事力はガリア王よりも上だろう。


 でも……

 なーんか、引っかかるんだよなぁ。

 喉に小骨がつっかえたような、違和感がある。


 「あー、セレナ。そういうのはだね……」


 先程まで黙っていたイルハム枢機卿が口を挟んだ。

 イルハム枢機卿は、何というか……困ったような表情を浮かべている。


 「どうか致しましたか? 猊下」

 

 セレナ様はそう言ってイルハム枢機卿を睨んだ。

 イルハム枢機卿は肩を竦める。


 「まあ、良いでしょう。さてシャルロット……」

 「イルハム枢機卿!! 仮にもモンモランシ選教侯を呼び捨てにするのは……」

 「カリクストゥス枢機卿、あなたは堅過ぎますって。私とシャルロットは一つ屋根の下……というと少々語弊がありますが、友人同士と言っても良いくらいですからね」

 「公私を混同するのはあなたの悪い癖だ!」


 唐突に言い争いを始める二人の枢機卿。

 険悪……というよりは喧嘩友達のように見える。


 年は随分、離れているけれど。


 「はぁー……」

 

 セレナ様が大きな溜息を吐いた。

 なんか、苦労してそうだ。


 「大変ですね」 

 「……まあこれも修行です」


 死んだような目でセレナ様は答えた。

 うん、苦労してる。


 「あの、私のことはシャルちゃんでもロッテちゃんでも、どのような呼び方でも構わないので本題の方に入って頂いても?」

 「これは失礼致しました……シャルロット卿。ほら、あなたも」

 「おっと、すまないね。シャルロット」

 

 カリクストゥス枢機卿はまだ何かをイルハム枢機卿に言いたげだったが……

 グッと堪えたのか、睨みつけるだけだった。


 「さてシャルロット。実はジョゼフ・ド・ザラントユ伯爵が君への性的暴行未遂について、自白した。またアナベラ嬢が一年前まで、君が日常的に暴力を受けていたことを証言している。これらの証言は事実、ということで宜しいかな?」

 「うーん、まあ事実ですけど……どうして改めて確認を?」

 「ちゃんと公式な場で記録を取らないと、裁判の証拠として機能しないのだよ」


 なるほどね。

 というか、ジョゼフ様は何で白状したんだろうか?

 私に救われて改心したとか?

 そんな玉じゃないと思うけどな。


 それを聞いてみると……


 「研究資金の出資について尋問された時に、自分は脅されて書かされたのだと証言したんだよ。それで何を脅されたのか調べたら……」

 「私への強姦未遂が発覚しちゃったと」


 私がそう言うとイルハム枢機卿は頷いた。


 「それを知ったアナベラ嬢がそれはもう、怒ってね。カンカンにね。今までのことを洗いざらい全て言ったのさ。彼女も随分と変わったものだね。要するに自分もシャルロットをイジメていたと白状するようなものだ」


 へぇー……

 アナベラお嬢様も随分とお変わりになられたものだ。

 「おーっほほほ!」とか言ってた時とはまるで別人だ。


 少し見直した。


 「それで罪は軽くなったんですか?」

 「とんでもありません、シャルロット卿。人体錬成の出資金であることを知って、サインをした事実はありませんからな……印象は最悪です。暴行未遂罪・児童虐待罪を含め、相応の罰を受けることになるでしょう」


 ありゃりゃ、墓穴を掘ったってことね。


 「というか人体錬成をしていると、知って出資したのですか? モンモランシ伯とザラントユ伯は仲が悪い、というのは子供の私でも耳にしたことがありますよ?」


 元々錬金術師として、利権を争う仲である。

 加えて私の、ラ・アリエ公爵の財産管理権も争っていた仲だ。

 ロラン伯父様が信用もできないジョゼフ様に人体錬成云々を話すとは思えないし、ジョゼフ様も人体錬成はさすがにヤバいと思うのではないだろうか?


 「少なくともモンモランシ伯は知っていたと主張しています。ザラントユ伯は知らなかったと主張しておりますが……我々教会は知っていたと判断して、裁判を進めております」


 うーん、ロラン伯父様の嘘かな?

 あの二人の仲の悪さを考えると、ロラン伯父様がジョゼフ様に人体錬成について話していたとするのは無理がある。

 大嫌いな奴を少しでも巻き添えにしてやろうと考えているのだろう。

 教会は多分そのことも分かっているが……判断できない。

 「疑わしきは被告人の利益に」ということをすると、関わった容疑者全員が「知らなかった」と主張し、裁判が難航する。

 一括して「全員知っていたのだろう」と判断して裁判を進めるつもりなのだろう。


 あー、怖い怖い。


 こういうところはいかにも中世って感じだ。

 まあ日本の裁判も割とこういうところあるし、人様のことをとやかく言えないが。

 

 「ところでアナベラお嬢様も罪に問われたりしますかね?」


 私が聞くと……


 「はい。モンモランシ選教侯が彼女を訴えれば罪に問われます。子供とはいえ、暴行罪は暴行罪です。もっとも……彼女の場合は未成年刑法が適応されます。実刑を受けることはないでしょう。ですが何らかの金銭的な賠償を請求することは可能です」


 セレナ様が答えてくれた。

 さすが小さいながらの聖職者、法律にはお詳しい。


 「訴えるのかね?」


 イルハム枢機卿は笑みを浮かべて聞いてきた。

 答えは分かっているくせに……


 「まさか! もう一年以上前の話ですよ? バカらしいことです」


 さすがにそれは今更だろう。

 

 「彼女とはもう、友達……と言えるかどうかは分かりませんが、そこそこ仲の良い関係ですからね。それに見てて面白い。関係を壊すほどのメリットはありませんね」


 まあ法的手続きを取るのが面倒くさい、というのもあるけどね。


 「シャルロット卿、もしよろしかったら……証人として裁判に出て頂けませんか?」


 カリクストゥス枢機卿が私に言った。

 まあ多分、今日の本題はこれだろう。


 「私が出ると、どうなるんですか?」

 「ジョゼフとディアーヌへの刑罰が重くなります」


 はぇー

 あれか、私が涙ながらに「馬小屋で暮らせと言われて……寒い中、半袖で洗濯をされたり、全裸にされ水を掛けられて雪が降り積もる中、外に追い出されることもありました。掃除を確かめるためだと無理矢理便器を舐めさせられて……ぐす、本当に辛かったです……」と語ると、弁護人、刑事、裁判官、そして傍聴席の野次馬たちが一斉に涙し、より二人の罪が重くなる的な感じか。


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 「お断りします。見世物になる趣味はないので。まあどうしても協力して欲しいというのであれば、吝かではありませんが」

 「いえ、我々も無理にお願いはしません。そのように取り計らいましょう……それにアナベラ嬢も張り切っておられますからね。シャルロット卿の分も彼女が活躍してくれるでしょう」


 ……大丈夫なんだろうか? アナベラお嬢様。

 私は彼女たちの家族関係の崩壊の方が心配だ。


 仲直りできるのかね?


 まあ死に別れよりはマシかな?

 

 「よろしいのですか?」


 美しい声が耳に届く。

 言ったのはセレナ様だった。


 「……モンモランシ選教侯を虐待した者たちです。証言によると、かなり酷いことをされたとか……。それにアナベラ嬢もです。イジメ、と言えば軽く聞こえますが暴行罪であることは変わりません。……それに調査によるとモンモランシ選教侯をイジメた人は大勢いると聞いています。彼ら・彼女らを訴えたいと思わないのですか?」


 ふむ、まあ確かにルイーズ姫殿下とかにはいろいろとやられたね。

 半年以上前の話だけど。


 「私、面倒くさがり屋なんですよ。それに彼ら・彼女らが不幸になった分、私が幸せになるわけでもありません。嫌なことは忘れちゃって、楽しい事した方が人生幸せになれると思いません?」


 あくまで私の持論だが。  

 復讐したい人はすれば良いんじゃないかな?


 世の中には人の不幸は蜜の味という人もいるし、「あいつが幸せに暮らしていると考えると俺は幸せになれないんだ!!」と思う人もいらっしゃるだろう。


 復讐は何も生まないとか、臭いことを言うつもりは毛頭ない。

 価値観は人それぞれ。

 多様性社会、万歳だ。


 ただ……

 私は興味がない。


 興味がない私に、そういうことを押し付けないで欲しい。


 まあセレナ様は親切心で言ったと思うし、あくまで確認に過ぎないと思うから、そこまで不愉快でもないけどね。

 もしこれ以上食い下がるようなら、私はちょっと嫌だなぁ……


 「そうですか……お強いのですね」


 セレナ様は眉を少し上げた。

 どうやら感心しているようだ。


 「……私もモンモランシ選教侯を見習いたい」


 そんなことを言いだした。

 いや、別に私なんて大した人間でもないので無理に見習う必要はないと思うけどな。

 私は人のお手本になれるような人間ではない。


 割とサイコパス気質のマッドなメイドだと思っている。

 万能メイドのキャラとしてはカッコよくてありだけど。


 ただこの年になって中二病が治ってないのは致命的だけどね。

 

 「ああ、それとイルハム猊下! 実は私からもお願いしたいことがありまして」

 「お願い? 何かね」


 君の頼みならば聞ける範囲で聞いてあげよう。

 と、言うイルハム枢機卿。

 さすがイケメン枢機卿だ。


 「私をメイドとして雇ってください」

 「……」

 「……は?」

 「……!?」


 イルハム枢機卿は言うと思ったと黙りこみ、カリクストゥス枢機卿は思わず聞き返してしまい、セレナ様はただただ混乱しているようだった。

 

 ただし、私は大真面目だ。


 「ジョゼフ様とディアーヌ奥様は私の後見人、クビになったじゃないですか。それで新しい後見人、財産管理人が必要なんです。それにイルハム枢機卿になって頂きたいなと」


 ちなみにアナベラお嬢様はしばらくの間、教会の修道院預かりになるようだ。

 学園にはちゃんと通えるのでご心配なく。


 「後見人になる分は構わないが、メイドになって働く意味が分からない」

 「だってほら、タダで泊まり込むのも申し訳ないので。それにブーメランの食費とかもこれから掛かることを考えるとですね、私は働かなきゃいけないんですよ」


 私はあまりお金を持っていない。

 所謂貧乏貴族というやつだ。


 ……まあラ・アリエ公爵領からの収入があるから実は全然切羽詰まってないけど。

 それは秘密だ。


 「しかし私の面子が……」

 「けじめをつけるのは大事だと思うんです。いくら親しい間柄とはいえ、養ってもらうのは良くない! そう思いませんか? イルハム猊下は私の両親ではありませんからね。親しき仲にも礼儀ありとも言います!」


 とにかく捲し立てる。

 こういうのは勢いが大切だ。


 「だ、だが……」

 「第一啓典 四章 六節!」

 「い、いや、それは……」

 「第三啓典 二章 七節! 三章 十節!」

 「た、確かに……」

 「第五啓典 一章 五節! 二章 三節! 七章 八節!」

 「ぐぬぬぬぬ……」


 どうだ!!

 啓典を引用されては否定できまい?


 「イルハム枢機卿、良いではありませんか! はは、面白いお嬢さんだ」

 「モンモランシ選教侯は勤勉なのですね。素晴らしいことです……私は支持します」


 思わぬところから援護射撃が来た。

 二人とも、困り顔のイルハム枢機卿を見て楽しんでいるようだ。


 「良いだろう……分かった。但しマルグリットは君が説得したまえ」

 「無論です!」


 最近、マルグリットは私のやることに文句を言わなくなった。

 何か、心境の変化があったみたいだ。

 まあ最悪、冒険者として働くのとメイドとして働くの、どっちが良い?

 と聞けば良い。


 マルグリットは後者を選ぶだろう。


 「では、これからよろしくお願いします」


 私はそう言ってからジャンプした。

 そして空中で一回転しつつ、魔術を使い、体を謎の光と煙で覆い隠す。


 着地と同時に光と煙が晴れる。

 着地の時点で、衣服はドレスからメイド服へと変化していた。

 

 「ご主人様、誠心誠意御仕えさせて頂きますね」


 私はメイド服のスカートの裾を摘み、一礼した。

 決まった!!


 「……凄いですね」

 「これはまた、器用な」

 「何たる才能の無駄遣い!」


 セレナ様、カリクストゥス枢機卿、イルハム枢機卿は三者三様な反応を示した。

 まあでも他人なんてどうでもいい。


 今日!

 この日!

 私はついにお給料で雇われる正式なメイドになったのだ。


 

 万能メイドに私はなった!! 


 

というわけで予告通り三十話で終わりです

まあ、もしこの小説の続きを書くことがあったら、その時はおそらくシャルロットの視点ではないでしょう

私の作品をどれくらい読んでいる人がいるかは分かりませんが、一応過去に投稿した某短編と同一世界観ということになっています


一先ず、今回はこれで

また、新しく作品を投稿したらその時はよろしくお願いします

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[良い点] シャルたんぺろぺろ セレナたんぺろぺろ
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