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笑顔の意味
窮屈だった。
人と笑うのは、ひどく窮屈だった。
楽しく無いのに、何で笑わなきゃいけないんだろう?
何で私は、笑っているのだろう。
いくら自分に問いかけたって、答えは出ないまま。
気がつくと、私は白い靄の中に立っていた。
手を握ったり開いたりして、体の感触を確かめる。少しふわふわと、浮遊感がある。
周りを見渡しても、何もない。
だだっ広い世界に、たった一人。でも不思議と寂しいとは感じなかった。
そういえば、小さい頃から一人でいるのは好きだ。一人で考えごとをするとき、私は空に舞い上がって、何処にだって行ける。その時だけは、私は自由だった。
「慈…」
弟のようだった。親友のようだった。恋人の、ようだった。
大事な大事な名前。ちか。生まれてからこのかた、何度と無く紡いだおと。
私は慈のために笑ったんだ。泣いてる慈は苦手だから、笑って欲しくて、笑ったんだ。
大丈夫だよ、と伝えるために。
そうすれば、慈は、泣いたまま思い切り不細工な顔をして、笑おうとするから。
だから、私は、最期だって―――――――――、




