滅びの願い
「あ、すっかり忘れていたわ。神殺しはね、神の力との相性が……こちらからするとね。最悪なの。神を殺せるんだから当然ね」
攻撃どころか防御すらままならない。
「それって、あなたが役にたたないってことよね?」
「渚なんてバターみたいに切られると思うわよ」
「それはぞっとするのぅ」
それに対抗する手段は現時点において持ち合わせてはいない。
「ただし、私がいなければ待つのをやめて私を追ってくるでしょうね」
ふと、思い当たり白を呼ぶ。
「街人を逃がしなさい。ここら一帯は廃墟になるわよ。……未来にはこの都市の廃墟が遺産になっている日が来るのかもしれないわね」
「はてさてどうじゃろうな……そのころには星がないかもしれんぞ?」
「それは笑えないわよ」
とは言ったものの。
このままだと十中八九、星ごと滅ぶだろう。
「この都市一個で済めば安いもの……ってことかしら?」
「田畑がなくなったとしても都市がなくなったとしても、人がいればまた作り直すことができるでしょう。生き延びてからですよ」
実際、もう南の国はその機能を停止しているといえるだろう。
「古きものは滅び、新しく来る者のに道を譲ることになる。どのような、世界でもそれは当然のことでしょう」
しかし、しかしだ。
「こんな世界にしてしまうあなたには私は絶対に譲らない!」
渚を振って先にある王の座への扉を吹き飛ばす。
「……待たせたわね」
「ここで終わりか?」
「……」
無言の千花は唇を先ほどからずっと噛んでいるのだ。
気づいていしまったのだろう。
ドオオオオオオォォォォーン!!!
派手な効果音を携え、現れたのは
「待たせたな」
龍炎であった。