57話目 市場巡り
と言う事で、やって参りました。
青果市場!
1番の目玉の米は無かった!
無かったよ!
何だよもう!
ディニク、アティラ神国方面からアルベール領に来るには、マーメイドさん達の暮らす島辺りの海流が複雑で、海路は使われて無いんだって。大回りすれば行けなくは無いが、沖には海獣が出て危険だし、時間も掛かるってんで陸路による交易のみだとか。穀物は周辺の平野で採れるからわざわざ運んで来ないとの事でした。残念。
ただ、西側の山を挟んだお隣の国との貿易は盛んで、ディニクや王都では見なかった香辛料が幾つかあった。
中でも嬉しかったのはニンニクと唐辛子!
大人買いしましたよ。
アルベールの市場からニンニクが消えましたよ。
ニンニクってほっといても芽が出てくるよね?きっと栽培も出来る筈だ。
唐辛子も大量購入。アルベール領でも栽培されているらしく、苗も買ってきた。これで料理の幅が広がるぜ!
そして大豆!
これで醤油と味噌が作れる!これも大量購入しました。
他にもオレンジ色に先っちょが赤黒いトゲトゲが付いているんだけど、中はクリーム状のパヤンって果物!
リレーで使うのバトンサイズの毛虫で、絶対毒有るだろって見た目なのに果物だって!
こんなんが木にいっぱい成ってたら毛虫の大繁殖って思うわ!
って言ったら、他の動物に食べられない為に、実際にいる猛毒の毛虫に擬態した実を付けるんだって。自然て凄いね!
でも、これがすごい美味しかった。
えぐみや青臭さは全く無く、甘い匂いのドリアンって感じ。ただ、これはそこまで在庫も無く、2箱のみの購入に留まった。ヘルムートさんに預けて美味い事調理して貰おう。
青果市場でテンション上がったのはこんなトコかな?もちろん他にも様々な野菜や果物も買い込んだ。
バーベキュー用に葉物野菜やナス、カボチャも発見、購入した。
続いて魚介市場!
こっちは結構普通なラインナップ。
まぁ変わった魚は居たけどね。
真っ黒な魚体に鋭い赤い牙を生やした魚とか。アカモンガラじゃないよ?なんかタチウオの牙を4倍にして真っ黒にした様な見た目で、ヒレが無駄に長いヤツとか、でっかいオタマジャクシ見たいなヤツとか。
しかし…こうして考えると日本人は食に対してアグレッシブだったんだなぁ。
辛うじて二枚貝と海老、蟹は有りました。
イカ?タコ?アワビ?サザエ?
有りません!
ホヤ?ウニ?ナマコ?クラゲ?
もちろん有りません!
下の4種はホントに、最初食べようとした人勇者だと思うよ。
魚介市場は期待外れで冷やかすだけになってしまった。もっと早い時間なら違ったかも知れないので、暇が有ったらまた来よう。
次はお酒の卸し業者。
「すいませ〜ん。誰かいませんか〜!」
入口近くには人の気配が無いので、大声で呼びかけてみる。
奥から物音はするが、こちらに気付いているのだろうか?
再度呼び掛けようと息を吸った所で、上から声を掛けられた。
「なんじゃ坊主、見ない顔じゃな?」
「始めまして、リョータ サワダと申します。こちらでお酒の販売をしていると、宿の女将さんに聞いて伺いました。お店の方ですよね?」
「おう!宿の女将?どこの宿だ?」
「女神の歌声亭に宿泊しております。」
「あぁ、メリンダの所か……勘違いしてる奴が多いから教えとくが、"女神の歌声亭"の"女神"ってのは人魚さんの事じゃ無えんだよ。ありゃぁ若き日のメリンダの事を言ってんだぜ。今の旦那がメリンダを口説くために店の名前を変えたのさ。今となっちゃぁ勘違いのお陰で繁盛してるみたいだがな。
…ただな、坊主、メリンダの歌声は酷えもんだった。間違ってもアイツに歌わせるなよ?」
「肝に銘じておきます。」
「よし、そっち行くからちょっとまってろ!」
「んで、酒が欲しいって事だったな?悪いがウチは小売りはやってねぇ。エールは大樽のみ、ワインは中樽、他は小樽で、少し瓶での扱いもあるな。マジックバックは持ってるな?」
「はい、ワインを中樽8つとエールを3つ、他にはどんな物が置いてあるのか聞かせて下さい。」
ふんふん…ワインは赤だけじゃ無くて白も有るのか。他は様々なフルーツを発酵させたお酒、シードルや、その別バージョンって感じだな。後はミードってトコか。まだ蒸留酒は無いのかな?ディニクで飲んだのも度数は低かったし、きっと醸造酒なんだろうな。
大樽は200リットルは入るだろうドラム缶サイズ、中樽で70リットル、小樽だとペール缶を一回り大きくした位で30リットルほどかな?瓶は歪な濁った瓶で、大きさも500ml程度。それでも瓶入りはかなり高価だった。
島の果物でお酒作ったらどうなるだろう。甜菜の搾りかすでもお酒が出来た筈だし、酒造りもいつか島でやって見たいな。
気になるお酒を何種類か購入。
酒屋を出た頃には既に日は傾き初めていた。少し早いが魚市場近くの屋台巡りだ。ただ…ほぼ塩焼き。貝焼きの1部で魚醤が使われているかな?炭火で焼かれる20センチ位の魚が、脂乗りも良くとても旨そうに見えたので購入したが、他は余り代わり映えがしなかったので、広場近くの屋台でも買い足した。
テラスのテーブルに料理を広げ、ワイン…は中樽から注ぐのが無理だったため、瓶入りのシードルを注いで飲む。シュワシュワさっぱりで美味しい。
焼き魚も皮はパリッと、身はふっくら柔らかく脂が凄い。これは白ワインがほしくなるな。
これは何の肉だろう?ちょっと硬いが味が濃い。とり肉かな?トマトソースに負けないくらい旨味が強いぞ。屋台飯だし、そんなに高価な食材は使ってない筈だ。これは要チェックや!
アルベールの街は、海風か山からの吹き下ろしの風になる為夕方の時間は過ごしやすい。
風を感じながらテラスで優雅に夕食を取っていたが、今日はマーメイドさんは欠席のご様子。まぁ仕方ない。
明日は牧場に行く事になっているが、何時までもここで遊んでいる訳にも行かない。アルベール辺境伯に遊びに来たよ!って先触れを出しておこうかな?
出来ればマーメイドさんの様子を見てからにしたかったけど、街の様子を見るにはいい関係を築けてるみたいだし。
なんてったって"人魚様"だしね。
先触れでお手紙だけ渡しておこう。宿泊先を伝えておけばお返事くるでしょ。
明日は1の鐘(午前6時)に待ち合わせだ。早めの朝食を女将さんにお願いしたら、ちょっと早いが今日はもう休もう。




