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宇宙人襲来!!  作者: Minoru
0章 準備編
25/66

#25 最難関試練 襲来!! ②

 ま、魔法使い3人。こりゃ凄い構築が来たな……色んな意味で。


 RPG歴15000時間の自分から見ても、谷口さんの構築には驚愕せずにはいられなかった。何故なら、谷口さんがやっているRPGで『魔法使い』は最弱職だからだ。


 全てのゲームには『バランス』という概念があり、『強い要素』と『弱い要素』が必ず存在する。谷口さんがやってるRPGの場合、『強い役職』と『弱い役職』が存在する。


 最近のゲームは『アップデート』と言う概念で、ゲーム運営は『強すぎる要素』を弱くしたり、『弱すぎる要素』を強くする『バランス調整』を施すことが可能だが、それは、あくまでも最近のゲーム(・・・・・)での話。


 谷口さんがやってるような古い作品の場合は、そもそも『アップデート』と言う概念自体がまだ開発されてない為、『強すぎる役職』と『弱すぎる役職』が浮き彫りになっている。


 谷口さんがやっているRPGはとにかく、『魔法攻撃』より『物理攻撃』がとにかく強い。


 火力は勿論、消費MP量、汎用性、強化方法等、ほぼ全ての要素において『魔法攻撃』より優れている。更に終盤は『属性攻撃耐性』が豊富な敵が多かったり、『魔法反射』のバフを掛けられて、滅茶苦茶魔法対策される。一方で、『物理攻撃』の強技は基本、無属性攻撃で殆ど対策もされない為、何も考えずに殴るだけでダメージ源になる。


 更に、物理型は魔法型よりも耐久力が高い。前衛職だから当たり前だよね。


 つまり、『攻撃魔法職』は攻撃面も耐久面も『物理攻撃職』の劣化版という可哀想な役職なのだ。


 ちなみにネタバレすると、相手がラスボスの場合、1番勝率の高い組み合わせは以下の組み合わせである。


 ・勇者、武道家、武道家、治癒師


 『治癒師』が入っているのは回復する為だけではない。『武道家』や『勇者』を強化する為に採用している。『治癒師』は味方全体の攻撃力を2倍にするぶっ壊れ魔法を覚えるからだ。『武道家』や『勇者』の攻撃力を2倍に引き上げて、物理で殴り続ける。これが、現実的に考えられる最大のダメージ効率だ。


 また、攻撃魔法は『知力』の増加によって、ダメージが強化される。『魔法使い』にも『知力』を底上げする魔法を覚えるが、何故か『攻撃力増加魔法』とは違って、『知力増加魔法』は全体に1.5倍にしか増えない。2回同じ魔法を重ねがければ、2倍になるが、『攻撃力増加魔法』とは違い、何故か同じ魔法を2回掛けなければならない。ここでも魔法使いは不遇されている。


 ここまで説明して、如何(いか)に魔法使いが不遇なのかがよく分かっただろう。だが、彼女は魔法使いを3人連れてきた。


 正直に言って、馬鹿の構築にしか見えない。こんなパーティーで勝てる要素が……ん、待てよ?


 もしかして、『あれ』をやるつもりなのか? いやいや、『あれ』を成功させるには『2割』を引くのが前提だぞ? というか、そもそも2割引いたってラスボスの攻撃に耐えれる気がしないのだが……まさかコイツ、やるつもりかっ!?


 自分が戦慄の形相を谷口さんに向けると、彼女は不敵な笑みを(こぼ)した。


 この顔っ!? コイツ、やるつもりだ!?


 勇者彩香は、不安そうな顔をしている魔法使い3人連れて、ラスボスと面合わせをした。


 ラスボスは天地を覆い隠す竜、ヴリドラ。コイツの姿を見る度に吐き気を訴えたプレイヤーは数知れず。


 遂に戦いが始まった。谷口さんは1ターン目のコマンド指示をする。


 勇者彩香は『全体完全回復魔法』、魔法使いAは『知力増加魔法』、魔法使いBは『知力増加魔法』、そして魔法使いCは……


 『神々のルーレット』をコマンド選択した。


 や、やっぱり!?


 『神々のルーレット』。魔法使いのレベルが最大になると覚えるスキル。使用すると、以下の5種類からランダムで1つ発生する。


ーーーーーーーーーーーーーーー

・味方全体のHPが1になる。

・味方全体のMPが1になる。

・敵味方の全てを耐性無視で眠らせる。

・味方全体の攻撃力が2倍になる。

・味方全体の知力が2倍になる。

ーーーーーーーーーーーーーーー


 乱数を調整する手段は無い。つまり、完全にランダムでどれかが発生する。


 谷口さんが狙おうとしているもの、それは味方全体の知力の2倍だ。つまり、知力増加魔法の2倍と組み合わせて、知力は4倍になる。


 通常、ステータス上昇系の魔法は、2倍が最大上昇値でこれ以上増える事はない。


ーーーーーーーーーーーーーーー

 知力:100

   ↓ 知力増加魔法(1回目)

 知力:100 × 1.5

   ↓ 知力増加魔法(2回目)

 知力:100 × 2.0

   ↓ 知力増加魔法(3回目)

 知力:100 × 2.0(2倍以上増えない)

 ーーーーーーーーーーーーーーー


 しかし、『神々のルーレット』で増加する部分はバフ(・・)の倍率ではなく、元のステータス(・・・・・・・)である。


ーーーーーーーーーーーーーーー

 知力:100 × 2.0

   ↓ 『神々のルーレット』で知力2倍

 知力:200(・・・) × 2.0(元のステータスが2倍)

ーーーーーーーーーーーーーーー


 つまり、最大上昇値は2倍だが、『神々のルーレット』を使用すれば、最大4倍にまで引き上げる事が出来るのだ。


 だが、『神々のルーレット』の実用性は殆ど無い。運要素が強すぎるからだ。


 『知力2倍』を引くには5分の1、つまり20%を引かないといけない。引けなかったら、HPやMPが1になって詰み。


 そう、彼女は普通にやっても勝てない事を最初から理解してたのだ。ならば、100%倒せるやり方は捨てようと。


 彼女は彼女なりに、ラスボスを初見で倒せる『可能性』を考え考え抜いた結果、魔法使いで埋めつくされたパーティーになったのだ。


 そして、その僅かな可能性を信じ続けることで、初めて奇跡が舞踊ってくるのだ。


 『神々のルーレットを回した! 味方全体の知力が2倍になった!』


 ウッソだろ、おい!w


 ガチで2割を引きやがった。でも、いくら2倍になった所でラスボスの攻撃を耐えれる要素など何処にも無い。


 ヴリドラは躊躇いなく、最強の全体炎魔法を解き放つ。炎魔法は全体に500程のダメージを与える、ヴリドラ専用のぶっ壊れ魔法。魔法使いのHPは380程しか無い為、勇者以外はこれで壊滅する。


 と思いきや、目の前に信じられない光景が映し出される。何故か魔法使いは350程のダメージに抑え耐えたのだ。


 そうか、知力4倍の効果かっ!?


 『知力』は攻撃魔法の威力が上がるだけでは無い。攻撃魔法のダメージも軽減する効果も持っている。


 しかし、知力によるダメージ軽減は、実感するのが難しいくらいに少ない。これ程までに軽減出来てるのは、それほどまでに知力が上昇している事を意味する。


 最後に勇者彩香が動いて、『全体完全回復魔法』で全回復する。行動順は敏捷性より『魔法使い』→『ヴリドラ』→『勇者』の順番。ヴリドラで大ダメージを喰らうことを読んで、予め回復魔法を指示したのだ。


 1ターン目、まさかの全員生存。


 2ターン目、勇者は回復、残りの魔法使い3人は最大火力の攻撃魔法を指示する。


 『魔法使いBの上級攻撃魔法! ヴリドラに1542ダメージ!』


 『魔法使いCの上級攻撃魔法! ヴリドラに1566ダメージ!』


 『魔法使いAの上級攻撃魔法! ヴリドラに1555ダメージ!』


 嘘だろ……攻撃力を2倍にした武道家よりも火力出てるんだけど。


 武道家の1ターンに出せる火力は1000ダメージ前後。『神々のルーレット』で攻撃力を2倍にすれば、2000ダメージ前後を叩き出せるが、『神々のルーレット』は魔法使いしか覚えないし、『攻撃力増加魔法』は治癒師しか覚えない為、2000ダメージを出せる武道家は1人しか入れられない。


 じゃあ、1ターンに4500ダメージ出せる魔法使いめっちゃつえーじゃん! と見えるけど、『神々のルーレット』で知力が4倍になってるから強そうに見えるだけで、実際は普通に1ターンでパーティーが壊滅しちゃうからね、ほら。


 『ヴリドラは大きな頭で押し潰した! 魔法使いAに1022ダメージ! 魔法使いAは死んでしまった!』


 知力がいくら伸びたとはいえ、物理守備力がザルだという事実は変わらない。ヴリドラが物理攻撃してきたら、パーティーは壊滅する。


 3ターン目、4んでしまった魔法使いAを蘇生薬で復活させるかどうか。


 いや、蘇生薬無しで3人で突っ込むみたいだ。短期決戦に持ち込むつもりなのだろう。ヴリドラのHPは20000、果たして削り切れるかどうか。


 魔法使いは見たことの無い桁数のダメージを叩きだし続け、勇者はひたすらに回復する。だが、ヴリドラの攻撃が激しく、徐々にパーティーが崩れていく。


 『勇者彩香は825ダメージ! 勇者彩香は死んでしまった!』


 あ、終わったかこれ。

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