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44 初めての共同作業!!

お気に入りが150人になりました~

今回もハル回、タイトルは間違いではありません。

 溶岩はゆっくりとこちらへも流れて来てやがる。


 くそ、このままだと、なんとか『念力』で止めないと。


 ゴーレムを巻き込みながらこちらの方へと流れてくる溶岩に意識を向けるが、なんでだよほとんど思い通り動かない、こうなったら。


「キャ、おやめなさい何を」


 両手をハルの体に回してその小さな体を胸元へと抱き上げる。コントロールが利きにくいなかでも多少は『念力』の効果が有るのか、こっちに流れてくる量は少しだ。『闘気術』で肉体の強度を上げればなんとか。


「ぐううう」


 高熱の前にズボンは一瞬で燃え上がり足の肉が一気に熱せられる。こ、これ今までで一番痛いんじゃ、『闘気術』で強化したって言っても焼け石に水じゃねえか。


 幸い、足の肉が燃え尽きた端から『超再生』が発動して、火傷が回復して元に戻り、また燃え尽きるを繰り返してるから、俺が我慢してればハルが焼かれることは無いだろうけど。


(おい、俺の魔法防御力は高いはずだろう)


(いくら高くともこれほどの熱量を生身で防ぎきれるわけが有るまい、せめて多少でも対魔法効果のある衣類を纏っていればかなり違ったじゃろうが)


 くそこのまま熱が無くなるまで耐えるしかないか、いや下手をすると熱でハルがやられるか。


 ん、なんだ、急に溶岩が制御しやすくなった、これなら熱を他に移せるはず。


「すぐにこの熱を取り除きますわ『水流幕』」


 うわ、ばか、こんな高温状態の溶岩にいきなり水をかけたりしたら、水蒸気爆発が、クソ、マンガなんかでたまにあるけどこんな狭いところで爆発とかシャレにならないぞ。


 ハルを抱きかかえたまま、体を捻って小さな体を壁に押し付け、その全身を包み込むように覆いかぶさる、同時に『念力』で足元の溶岩を操作して周囲にまとわせる、これが防壁の代わりになってくれれば。


 轟音と同時に背後から熱風と破砕された溶岩の欠片が背中を襲う、なんか最近こんなパターン多くねえか。


 けっほ、粉塵がすげえな、ゴーレムは吹き飛ばされて砕けてやがるよ、ラッキー、まあ大砲の口に片手突っ込んでたようなもんだもんな。


「ハル大丈夫か」


「え、ええ、わたくしなどよりも、あなたは大丈夫ですの」


 お、珍しくハルが俺の事を心配してくれてるよ。


「この程度ならすぐに回復する、ゴーレムも今の爆発で一体倒せたみたいだしな」


(その点じゃがの……)


「それでしたら安心ですわね、ところであなた先ほどのあれはどういう事ですの、あれほどの『魔法制御力』があって、あんな失敗をなさるなんて」


 う、やっぱりそこは言われるよね。


「俺にも解らんが、上手く制御が利かなかったんだが、途中から急に制御しやすくなったが」


「途中からですの、ひょっとしましたら、少し試してみましょうか」


(その様な暇はの……)


 ハルが朝の時と同じように掌の上に小さな火を生み出す、これで何を試すって言うんだろ。


「わたくしに触れずに制御してくださらないかしら」


「ああ、わかったが」


(ええい、儂の話を聞かぬか)


 多少集中が必要だったけど、しっかりと火の動きを制御できたな。


「やはり、自然の火と魔法の火では少し勝手が違うようですわね、これならどうですの」


 うわ急に火を大きくしたな、これはちょっと制御しにくいな。


「朝のようにわたくしの手に触ったのならどうかしら、いえ指先だけにして下さらないかしら」


 指先ねえ、なにがしたいんだろ。


 昔の映画の宇宙人みたいに、ハルの人差し指に俺の人差し指を合わせる、あれ簡単に制御できた。


(のう、儂の声は聞こえておるのじゃろう)


「触っている方が制御しやすいみたいですわね、でしたら」


 更に火を大きくしやがった、ちょっと熱いけど、また制御しにくくなってきたな。


「もう少ししっかりとわたくしの手を取っているならどうかしら」


(無視するでない、儂を無視するでないぞ)


 差し出されたハルの掌を下から支えるように俺の手を添えると、あれあっさり制御出来ちゃった、これはもしかすると。


「予想通りですわね、あなたが他人の魔力を制御する力は、相手にどれだけ触れているかに関係して、直接素肌に触れている方がより効果が高いみたいですわね」


 なにそのエロゲッぽい展開は、素肌に触れあわないとダメってなんかなー


(もう、儂など、どうせ儂の事など)


 あれなんか首飾りさんがすねてる、ハルの実験の方が面白そうで無視してたからな~


「あら、そういえば先ほど一体倒せたと仰ってましたけれど、もう一体はどうしたのかしら」


 あ、そういえば。


(じゃから儂が、先ほどより警告しておったではないか、儂の言う事を聞かずに女子と睦合うておるからじゃ、どうせ首飾りなんぞより見目麗しい奴隷娘の方が重要なんじゃろう)


 まだすねてるのかよ、しかし相変わらず古臭い言い回しだな、睦合うとか別に俺とハルはいちゃついてたわけじゃないぞ。


 あれ、なんか外から物音が……


 振り向いた先には両足と片手を失ったゴーレムが残った右腕だけで這いながら入り口まで来ている、クソもう少し早く気付いてれば横をすり抜けて逃げれたのに。


(儂は気付いておったからの、悪いのは儂の言葉を無視し続けた誰かのせいじゃからな)


 この首飾りさんまだすねてやがる、しかしどうするか別な魔法で試すか、それとも。


「仕方ありませんわね」


 なんだ、ハルが胸元や肩のボタンを幾つか弄り出したな、どうしたんだろ。


「このような姿だからといって、変な事をいたしましたら、許しませんわよ」


 俺に背を向けてから、ボタンが外された布地をハルが勢いよく後ろに跳ね上げると、三枚の布地が落ちて行って肩と背中がむき出しになる、なるほどあんな大きな羽があるのにどうやって服を着ているのか気になってたけど、二枚の羽の間と外側からそれぞれ布を回して前で止めてたのね、なるほどなるほど。


 じゃない、そうじゃなくて、ハルの背中がむき出しって、しかも、前の方も布が落ちちゃってるから今のハルの上半身は胸を覆う白の下着だけ……


 と、取りあえず後ろを向かなきゃ、ハルは何のつもりでこんな事、まさかもう諦めて俺と最後のひと時を……


(そうでは無かろうに、なぜお主はこういう時に、毎度毎度呆けるのじゃ)


「何をしてらっしゃるの、早く、わたくしを抱きしめなさい」


 え、どういうことだ。やっぱり……


「もう一度『溶岩密封』を使いますわよ、制御のためにはどれだけ触れ合えばいいのか解らないのですから、あなたが上着を脱いでわたくしを抱きしめれば、かなりの面積が触れ合うでしょう」


 そう言う事か、だけど、この状態でハルを抱きしめるっていうのはさ、色々とね、ほら俺の自制心の問題もあるしさ……


「ま、まだですの」


(急がぬか、溶岩の熱と先ほどの爆発で入り口の壁もだいぶ崩れておる、このままではゴーレムが中に入ってくるのだぞ)


 げ、マジだ、ゆっくり這いながら近づいてきてるよ、あの位置なら手を伸ばせば届くんじゃね、てっ伸ばそうとしてやがるよ。


 ええいもう仕方ない、両手を首元に当てて一気に上着を破り捨て、露出した胸板をハルの背中に押し付けるように後ろから抱きしめる。


「行きますわよ『溶岩密封』」


 ハルの生み出した溶岩は俺の制御通りに、ゴーレムの真下から吹き出しその巨体を覆っていく。


 目標を溶岩で包み込みその熱を強制的に移して、相手を焼くと同時に熱を失い固まった岩で閉じ込める。名前通り溶岩で相手を密封する魔法だ、これならゴーレムは溶けて岩の一部になっただろう。


 ふう、無事に終わったな、これでサミュー達と合流できるか。


「上手く行きましたけれど、ひとついいかしら」


 ん、なんだろハルの声に喜んでる感じがあんまりない、どちらかというと怒ってるような……


「いつまで掴んでいるつもりなのかしら」


 あれ、なんだろこのセリフ、何回かアニメなんかで聞いた事が有るような、この場合掴んでいるものって大抵一つしかないよね。


 恐る恐るハルの肩越しに前に回された手元を確認すると、ハルの体格にしてはかなりボリュームのあるそれを包み込むように……


「ぶ、無礼者ーーー」


 ああ、このパターンはビンタだよな、まあ仕方ないよね年頃の女の子の胸を下着の上から鷲掴みにしちゃったんだもん……


 ……あれ、まだかな。


 少し目を開けて前方を確認すると、ビンタを張ろうとした姿勢で固まったハルが真っ赤な顔をしてこっちを見ている、どうしたんだろ一体。


(お主の今の姿をよーく確認してみるがよい)


 俺の今の姿、ラクナに言われて下を見下ろすと、ほぼ裸だった……


 上着はさっきの爆発でかなりボロボロになってたうえに、無理やり破り捨てたもんな、ズボンも溶岩で殆ど燃えてたんだっけ……


「こ、こ、こ、こ」


 あ、ニワトリみたいじゃなくて、こういう時の反応はーーー


「この変質者ーー」


『三往復ビンタ』だとスキルでもないのに何でこんなに痛いんだー




 

 残ってた布地を無理やりつなぎ合わせて腰に巻いた俺と、しっかりと服を直したハルは、サミュー達の待つ小屋のすぐ近くまで来ていた。


「ご主人様、ご無事でしたか、心配しました」

「リャー、大丈夫だったの」

「リョー様、ハル様、け、怪我とか無いですか」


 俺を見つけて駆け寄ってきたサミュー達の足が止まり俺に集中する。


「ああ、この格好か、戦闘の最中に服がダメになってしまってな、それとミーシア、ハルが怪我をしている、先に小屋に行って治療してくれ」


 いくら庇ったと言っても爆風や破片は完全に防ぎきれなかったし、溶岩の輻射熱のせいで小さな火傷もいくつかある、俺自身はビンタのモミジも含めて全快してるけどね。


「あ、ハル様大丈夫ですか、こっちに」


「ちょっとミーシア、そこまで重傷じゃありませんわ、下ろしなさい、いいえ取りあえずリョーに話が有るので一度止まりなさい」


 慌てたようにハルを抱き上げて小屋まで運ぼうとしたミーシアをいったん止めて、ハルはこちらに向き直る。あれミーシアが驚いた顔してる、サミューもだ、どうしたんだろ。


「リョ、リョー、先ほどはわたくしのせいで怪我をさせてしまって、まだ謝っていませんでしたわ、ごめんなさい、それと庇ってくださった事と、わたくしの仮説を信じて付き合って下さったことのお礼を言いますわ、ありがとう、リョーのおかげでわたくしは無事でいますし、『溶岩密封』のコツもつかめましたわ、多分これからはわたくし一人でも成功できると思いますわ」


 おお、それはかなりの戦力アップじゃね。あの魔法が確実に使えるならボス戦なんかでもいけるだろうし、いやそれよりもハルが俺の事を名前で呼ぶのってひょっとしてこれが初めてなんじゃ、今までずっと『あなた』だったし。


「さっ、いきますわよミーシア」


「は、はい」


 少しだけ頬を染めたハルがミーシアに抱きかかえられて小屋へと消えて行くと、いつの間にか隣に来ていたサミューが耳元でささやく。


「ハルさんとずいぶん仲良くなったみたいですけど、何が有ったんですか」


「いや特に何もなかったな、ハルが魔法でゴーレムを倒すのを手伝っただけだ」


 うんそれだけだよな、てかサミュー近い近い。


「それだけですか、まあご主人様がそう言われるのでしたらそうなのでしょう、ですが……」


 ん、ですが、ちょっと嫌な予感がするなー


「傷は大丈夫でしょうけれど、だいぶ汚れていますので一度全身を拭かれた方が良いでしょう、手の届かないところもあるでしょうから、わたしが隅から隅まで余す所なく丁寧にふき取りますね」


 エロメイド、目つきが怪しいぞーー


「いや、自分でふき取れるから濡れたタオルを渡してくれればそれでいい、それと着替えをアラのアイテムボックスから用意しててくれ」


「そんな訳にはいきません、後ろの方などは、きちんと拭き取るのが難しいでしょうし」


 マズイ、このままでは拭き取りを名目にいろいろセクハラをされそうな気がする……


「大丈夫だ一人で出来る」


 俺の方に伸ばされたサミューの手を避けようと身をよじった直後、サミューの指が俺の腰に巻かれた布に引っかかる。


「あ……」


 再確認しよう、俺は上着もズボンも下着すらボロボロで余った布を使って何とか腰回りを覆っていた訳で、それにサミューの指がかかって、布が落ちるとそこに残るのは……


「サミュ、なにも見えないよ」


 素っ裸になった俺の前には、ギリギリでアラの目を塞ぐのに間に合ったサミューの顔が、ある意味ちょうどいい位置に……


「あらこれは……ふふっ」


 わ、笑われた、サミューに見られて笑われた……


 仕方ないじゃん日本人だもん平均サイズだもん、白人さんばっかのこの世界のサイズと比べればさ……


 なんだろう、これが今日一番痛いダメージな気がする……


ハル回なのに、最後はしっかり持って行くサミューさん……


最近更新ペースが遅くて済みません、スランプ気味というのもそうですが、ちょっとサミューさんがらみで仕込んでる事がありまして……


H26年11月9日 句読点、三点リーダー、一部語尾訂正しました。

H27年2月20日 誤字修正しました。

H27年4月5日 誤字修正しました。

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