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45 置き土産

総合評価が500を超えました~、評価してくださった方も20人超え~、PVの累計も十万行きました~、ありがとうございます、ホント嬉しいです。

 さてとやっと『迷宮』から出られたけど、ヤッカが万能薬の濃縮を終わらせるまでの空いた時間で、小遣い稼ぎ代わりに依頼をうけたつもりだったのに、いろいろ面倒なことになっちゃったなー


 サミューは変な貴族のクソガキに目をつけられちゃうし、アラはいきなり大きくなって強くなっちゃったし、俺は俺で魔力制御のエロい特性に気付いたのと、ハルとサミューに裸見られて笑われちゃうし……


 ああ、思い出しちまった、トラウマになりそう。良いんだもん男の価値は大きさで決まるんじゃないもん。


 まあ取りあえず飯だ飯、もうすぐ近くの村に着くからそこで定食屋に入ろう、久々に皆にお腹いっぱい食べさせられるもんな。『迷宮』じゃ魔物肉の他は保存食だし日数を考えて量も限られるし、ミーシアなんて焚き木が足りないから変身して生の魔物肉ばっかりだったからね。


 とっもう着いたか、さてと飯にするかな、ミーシアなんて空腹なのか元気なさそうだもんね。


 村に入ってすぐ目についた食堂兼宿屋の看板の前に馬車を止めて、御者台から飛び降りてから、アラを抱き上げて荷台から降ろす。他の皆はその間に自分で降りれるから、後は店で注文するだけだ……


 だけどなんだろ、周りの視線がちょっと、どうしたんだろ他の冒険者がトラブッたりして警戒されてるとかかな、あり得そうだなー


 ユニコーン騒ぎでこの辺りに来る冒険者が急に増えたんだろうし、『寒暑の岩山』で会った連中はあんまりタチが良さそうな感じじゃなかったもんな。


 ちゃっちゃと飯を食べて、次の街に向かった方が良いかも。


「五人分頼む、俺はサラダと『巡礼向け』のチーズが有ればそれを、後はバターをたっぷり塗ったパンを二つに豆のスープとホットミルク、みんなも好きな物を頼め」


「ありがとうございます。それではわたしは卵とハムのサンドイッチとサラダ、後はお茶にします」


「アラはね、スパゲッティとリンゴにするの」


「わたくしは、川魚の煮物とパンにいたしますわ、ああ後は干しブドウも頂きますわね」


「わ、わたしは、焼き肉定食大盛りを二つお願いします」


 うん、みんな遠慮しなくなったな、喜ぶべきか財布を嘆くべきか……


 まあ取りあえず、明後日にはカミヤさんのとこに着けるか、さすがにこれだけ経てば薬も出来てるだろうし、問題はその薬の正体が予想通りヤッカのアレかどうかだよな。


 いやいや飯時に考える事じゃないよな、うん、今悩んでも仕方ない事は明日考えよう。


「お待ちどおさん、注文はこれでそろったかい」


「ああ、ありがとう」


 なんだろう、この親父やけにぶっきらぼうだな。


「それを食べたら早いとこ村から出て行ってくんな」


 あら、この反応は、やっぱり予想通りかなー


「冒険者と何か揉めたのか」


「わかるかい」


「昨日まで近くの『迷宮』に入ってたんだが、そこで結構な数の同業者に会ったからな、荒くれ者が集まれば問題も起こるだろう」


 特に今『寒暑の岩山』に来る連中なんて、人攫いと大差ないだろうからな。あんまり問題あるような相手なら情報を聞いておいて警戒した方が良いか。


 前払いしておいた代金とは別に数枚の銀貨をテーブルに置くと、その意味を察した親父が話し出した。


「二日前の事だ、数十人の冒険者がこの村に泊まっていった。人数はかなり多いが、冒険者が来るのはたまにある事だ、宿だけじゃ足んなかったんで、いくつかの家に分けて泊まらせ、何人かの娘をあてがった」


 おい、なんか最後のほう変じゃなかった。


「何を驚いてるんだ、あんただって冒険者なら村娘を買ったことぐらいあるだろ、こんな辺鄙で貧乏な村だ、金さえ貰えれば娘を一晩貸し出す家なんていくらでもある。下手に冒険者と揉めれば、数人の自警団なんざあっという間に殺されて、村中が好きに略奪されるだけだしな」


 まあ、戦闘慣れしてる冒険者と村人Aじゃ勝負になるはずないしな。しかし、数十人のパーティーか、一番考えられるのはマイラスとかいうクソガキのとこか。


「十四人の村娘で、数十人の冒険者の相手だ、一晩でボロボロにされるのは解っていたが、本人たちも村のためだと覚悟していた」


 うーん、嫌な予感しかしないな、この場所で聞いたのは失敗だったかも、とりあえずは。


「サミュー、俺達がここに長居すると店の迷惑になりそうだ、皆と料理を馬車に運んで先に食べていろ」


 お子様の情操教育にはよく無さそうだもんな、それにサミューやハルにも聴かせないほうが良さそうだし。


「わかりました、さ、アラちゃん馬車に戻りましょう」


 みんなが、店から出て行くのを見送ってから、親父が口を開く。


「続きを話してもいいかい」


「ああ、頼む」


「朝になって、予想通り大半の娘達が一晩中犯されてボロボロになって帰ってきた、何十発も殴られた娘もいるし、気がふれちまった娘も、寝込んだままで目を覚まさない娘もいる」


 やっぱり、皆を馬車に戻して正解だったな、しかしなんかエロゲーのテンプレな感じもするけど、現実の事なんだよな。


「そこまでは俺達も予想してたんだけどよ、帰ってこなかった娘が二人いた」


 帰ってこなかった……いやな予感がするな。


「一人は、地方貴族の若様に口答えしたせいで無礼討ちにあったらしい、目の前で放たれた攻撃呪文に焼かれて、もう誰なのか解らないくらいに黒焦げだった」


 冗談だろう、何を言われたか知らないけど、そんな事で何の抵抗も出来ない相手に攻撃魔法使ったってのか、本当にマイラス達なら、あの中にいた魔法職、しかも地方貴族って言ったら……


(ガル・シルマじゃろうな、あのレベルの魔術師ならば、魔法防御力の無い小娘を一瞬で焼き尽くすなど事も無かろう)


 やっぱりそうだよな、これはハルには聞かせられないな。


「もう一人の娘も、無礼討ちにあったのか、『迷宮』でそれらしいパーティーと会ったが、貴族は何人かいたはずだ」


「無礼討ちなんかで、あんな死に方するもんか、なぶり殺しにされたんだ。奴らが出発してから、貴族の泊まった部屋の中で死体が見つかったが、大の男が部屋に入っただけで吐いちまうし、実の親ですら一目見ただけで宿に近寄ろうとすらしねえ、医者も墓守もビビっちまって、家畜を潰す屠殺屋がバラバラの破片を集めて棺桶に詰めたって話だ」


 そんなにか、イメージしたくないな。


「領主に連絡はしたのか、それだけの事をすれば伯爵が罰してくれるのではないか」


 カミヤさんならこんな事を許しておくはずがないだろう。


「相手は貴族様だ、言うだけ無駄さ。第一向こうは兵隊を連れてるんだ、下手に怒らせて焼打ちにでもあったらどうするんだ」


 これがこの世界の感覚なのか、貴族相手は泣き寝入りってどこの世界の話だよ。


「そんなんで今この村の者達は、冒険者を歓迎するような気にはなれないんだ、悪いが」


「ああ、すぐに馬車を出して、食事は村の外で取ろう、食器ごと買い取らせてもらうがいいか」


 多少出費になるけど、長居して下手に揉めるよりはましだよね。


「すまないが、そうしてもらうと助かる」




 支払いを終えて、外に出ると、馬車に押しかけようとしてる武装した村人たちが……


 やばいなこれは、気持ちはわかるけどさ俺達は関係ないよね、てかスコップや鍬、木槌で武装って、どこの百姓一揆だよ。


「鳥女をこっちによこせ、ぶち殺してやる」


「気をつけろ、あの鳥野郎みたいに魔法を使うかもしれねえ」


 狙いはハルか、まあ下手人の実の妹だもんな、間違ってもここじゃそんなこと言えないけど。


 てかマズイって、絶対に負けっこないけど、下手に反撃したら一方的な虐殺になっちゃうよ。御尋ね者になってカミヤさんの領軍たちに追いかけられるのはぞっとしないな。


「何をしている、その馬車も奴隷も俺のだぞ」


「冒険者が、その中にいる鳥人をよこせ、妹の敵だぶち殺してやる」


 ガタイのいい村人が、叫んでるけど、先に鎌をくくり付けた棒なんて振り回しちゃ危ないよ。


「話は聞いたが、俺達は無関係だろう、もう村を出ていくつもりだ、そこを通してくれ」


「しらばっくれるな、黒髪黒目、羽まで真っ黒な鳥人がそうそう居るってのか、ああ」


 うーん、負ける気はしないけど、武装した集団に迫られるってのはやっぱり怖いものが有るなー、そんな睨まないでビビるから怖いから。


「知るか、第一、貴族だっていうその男とただの奴隷がどう関係するって言うんだ」


「奴らと同じ冒険者ってだけで、理由なんざ十分だろ」


 これは、説得無理だろうなー、もう俺らをリンチして憂さ晴らしするくらいの狙いしかなさそうだし、まあ女の子ばっかだし、俺は武装してないし、見た目で一番威圧感がありそうなのはミーシアだけど、顔がもう自信なさそうだからな。


 そりゃ舐められるよね、下手すればパーティーみんなが襲われるんじゃねえか。


「サミュー手綱を取れ、ミーシアは馬車を先導して突破、アラは馬車の後ろを警戒しろ、ハルは中で待機だ」


「ご主人様は、どうするんですか」

「リャーはー」


「俺はすぐに行くから、先に行け、命令だ」


 ああ、なんか最近『命令』を使う頻度が高くなってきたな、でもこの状態じゃ仕方ないよな。


「わ、わかりました」


「気をつけろ、一人出て来たぞ、剣を持ってる注意しろ」


「何言ってやがる、いくらデカくたってこんなにビビってるガキが何できるんだってんだ」


 ミーシアのすぐ近くにいた威勢のよさそうな若者数人が、後ろから声をかけてきた仲間に向き直って馬鹿にしてるけど、敵の目の前で背を見せるとか馬鹿じゃないのか、攻撃してくれって言ってるようなもんだろ。


 まだ気づいてないのかな、ミーシアのほうを見てる連中の顔色が激変してるってのに。


「う、うしろ、うしろ」


 今の時間は八時じゃないよって、この世界には時計ないよな。まあ村人の大半は集合してるんだろうけど。


「あ、後ろがどうしたっていうんだよ」


 振り返った男の視界は多分、白一色だろうなー、ミーシアの獣態は最近また大きくなったから軽く二メートル超えてるもんね。


「ん、幌か、なんだよ馬車がこんな近くにあるくらいでビビりやがって」


 まあ人間、想定外の事態ってのはなかなか気づきにくいもんだもんね、でもねそれシロクマさんのお腹なんだよ。


「だ、だから、うしろだうしろ」


 そこは上を見ろって言った方が良いかもね、あ、また振り向いた。


「なんだよ、後ろがどうしたってんだよ」


「グルルル」


 お、ミーシアいいタイミングで唸り声上げたな、さすがにこれは気付いたか、ちょっと泣きそうな顔でゆっくり見上げだしたし、うんなんか、ギギギって効果音が入りそうな動きだなー


 あの角度だと目が合っただろうな、あっ、ミーシアの手が頭の上にポンって、うーん、自分の顔よりおっきい手に鋭い爪が何本も生えてるのは、間近で見たらもう恐怖だろうな。


「あ、ああああ」


 あー、洩らしながら崩れ落ちたか、そりゃそうだよな、俺も日本にいたころに同じ状況になったらと思うと……うん、しかたないよね。


「今だミーシア走れ、サミューは続け」


 はやっ、ミーシアはやっ、そういえば熊から走って逃げるのは無理って聞いた事が有ったっけ、でもこんなに速いんだ、馬車とほとんど同じ速さで走ってるよ。


 暴走トラックから逃げるような勢いで馬車の前にいた村人が散り散りに走って行くけど、でっかい熊が牙剥きながら突っ走ってきたらそりゃ誰だって逃げるよな。


 さて、このまま『軽速』で俺も逃げるのは簡単だけどさ、ここでこのままにして、別な冒険者にまた同じことしたら、今度こそこの人達は殺されちゃうだろうしなー


 俺が悪役になって少しビビらしておいた方が良いかな。


 それにうちの子達を襲撃しようとした事だけは、このままじゃ許せないし。


「さてと、うちの奴隷たちは逃がしたがこれからどうするんだ」


「こ、こいつだけでもやっちまえ」


 ああ、やっぱりそうなるのね、うわー刃物構えた集団が押し寄せて来るのって、覚悟してても怖いって。


 歯を食いしばって目を開き、必死で平然とした表情を保つぞー


 鎌が、ナイフが、鍬が、鉈が、大型フォークが、それぞれ全身に突き刺さっていくけど我慢、てか顔面に木槌は止めて、怖いから、迫って来てるから目を瞑りそうになるから、誰だよ後ろから肩に斧なんて振り落したのは、思いっきり食い込んでるじゃねえか、クソ、痛てえよ。


(これだけの攻撃を受けて、平然とした表情を保つとは、なかなか胆力が付いてきたではないか)


 いや思いっきりやせ我慢だよ、むちゃくちゃ痛いし怖いし、不死身さに自信が無きゃ絶対に出来ないって。今も悲鳴を上げそうになるのを必死にこらえてるんだから。


 まだか、まだなのか、もうそろそろ、お、やんだ。


 よし、何とか耐え抜けた。うん、ハッタリとしては上手く行ったかな、まあいくらなんでもおかしいと思うよね。これだけ滅多打ちにあっても、平然と立って周りを見回してるんだからさ。


「そろそろ気は済んだか」


 おお、引いてる引いてる、まあそうだよな、ほとんどゾンビみたいなもんだもんな。


「ど、どうなってやがるんだ、ば、ばけものか」


 化け物ってひどくない、まあ仕方ないか傷はどんどん回復してるし、刺さった物も肉に押し出されて抜けて行ってるし。


 これで俺を攻撃するのが無駄だって思ってくれただろ、実際はあと何回か同じ様に袋叩きにされたらアウトだけどね。まあ、その時は避ければいいし。


 さてと始めるか。


「それで、無関係な俺達をいきなり襲った落とし前は、誰がつけてくれるんだ」


 首を回して周囲を見回すだけで、村人たちが一歩下がる、なんかちょっと気持ちいいかも、暴力に走る連中ってこんな気持ちなのかな。


 いやいや危ない危ない、俺までそうなっちゃやばいって、あくまでもこれはこんな危ない事はもうするなって警告なんだから。


「た、ただ単に、怪我が治るだけじゃねえか、ふんじばって動けなくすりゃあ怖くねえ」


 そりゃ困るけど、俺をただ捕まえてどうするつもりなんだろ、まあ捕まる気はないけどね。


「俺が戻らなければ、うちの熊人が救出に来るだけだが」


 この一言だけで、大半の村人の動きが止まる。オーオー顔が引きつってるよ、てか当たり前だろう、俺が戻らなきゃ奴隷たちが来るなんて考えればわかるだろうに、まあさすがにミーシアを相手にする度胸は誰にもないよな。


「それにな」


 手を上げて『雷炎の指輪』を使い、大きめの火球を空の荷車に放つ、一瞬で燃え上がる荷車に村人たちがさらに後ずさる。


「俺自身、そう簡単に捕まえられると思うなよ」


 アイテムボックスから『ゴブリンズソード』を取り出して抜き身のまま肩に抱える、うん視覚効果だけは十分だよね、これでビビってくれればねー


「あ、うああああ」


 あらら、そんな呻いちゃって言葉になんないかな。


「お、終わりだ、もうこの村は……」

「あんな冒険者を怒らせちまうなんて、どうするんだよ」

「お、おれのせいじゃねえぞ、おまえが『小娘ばかりだから大丈夫だ』なんて言うから」

「い、命だけは」

「娘を奴隷に出しますので、村の者達はどうか、どうか」

 

 あれ、なんかおかしいな。これじゃあまるで山賊の親玉とかドラゴンとかみたいじゃないか俺。


(まあ、戦闘経験のない村人が、いきなりあのような攻撃魔法を見せられれば、こうなるじゃろうな)


 なんかこれ以上おかしなことにならないうちに退散した方が良いかな。


「こ、このぐらいにしといてやる」


 あれ、なんかやられたチンピラのセリフじゃねえかこれ、おかしいな。うん、もう一言くらい言っとくか。


「これに懲りたら、無関係な相手を二度と襲撃したりするな」


 あーあ、なんかすごい後味悪くなっちゃったなー

 


最近更新が遅くてすみません次は13日ごろになるかと……


H26年11月22日 誤字、句読点、三点リーダー、一部モノローグ修正しました。

H27年2月22日 リョー君の注文内容と、一部痛みの表現、改行を修正しました。

H27年2月26日 誤字修正しました。

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