14 奴隷少女たち
ついつい長くなっちゃいました。
代金を支払い二人の首輪に俺の血を吸わせて、取引は完了した。
「お、お待ちください猊下」
ゲイカって確か聖職者向けの尊称だっけ、でも確かかなり高位の相手に使ってたような。
「猊下はやめてくれ、そこまで偉くはない」
「し、失礼いたしました、こ、この者がお客様のお役にたちたいと申しておりますので……」
店員Bの後ろにいるのはどう見ても奴隷だよな、二十歳くらいの美人さん、パツキン碧眼で彫りの深いそれでいて優しげな顔、スタイルもいいし、でもな完全にそっち用の人だよね、スキルに家事関係の他に性奉仕と名器って……
ハルとミーシアだけでも自制心が問われてるっていうのに、こんな美人さんが居たら確実に魔力回路が乱れまくるよ、いやいやそれは破滅だって、でもさ目の前にウェルカム美女がいて我慢って、これどんな苦行だよ。
それに戦闘についてこれないだろう奴隷を養うのも大変だよな。
そもそも奴隷が自分の意思で付いて来たいって、それ自体が無茶苦茶だろ、どう考えても店の都合だよね、俺の機嫌を取ってるだけだよね。
「この二人の戦闘奴隷が居れば、他を買うつもりはない」
「で、ではこちらを、神殿への喜捨でございます」
店員が差し出したお盆の上には大量の金貨、いやいやこれに手を出したら権力使った恐喝だよ、ヤクザとやってる事が一緒じゃん。
まあ、さっきの値切り自体がそうかもしれないけど、あれは店側が悪いんだし。でもこれ以上は超えちゃいけない一線の気がするし。
「そんな金は必要ない」
ちょいちょい、店員Bの顔色がまた悪くなってきたんだけど、俺そんな悪いこと言ったか。
(後で全部奪い取るから受け取る必要はない、と取ったのかもしれぬの)
え、そうなるの、受け取るべきだったか、いやでも別にこいつら安心させる必要ないよな……
「わ、私は破門になろうと、処断されようとかまいませんが、どうか店や親族たちは、いえせめて妻子だけでも」
ちょちょ、また土下座とかまじやめてー、罪悪感が罪悪感が~~~
(受け取ってやればどうじゃ、こ奴が哀れに見えてきおったわ)
おいラクナさん、誰のせいだと思ってるんですか。
「解った、受け取ろうそれで貸し借りなしでいいだろ」
「あ、ありがとうございます」
値切られたうえに金までとられてありがとうはないよな、うん。
奴隷商を後にした俺たちはそのまま宿屋に入った。
カウンターの親父が好色そうな笑みを浮かべてやがる、ち、違うぞやましいことは何ひとつ。
「五人だな、大人は銀貨五枚、子供と奴隷は一人二枚で八枚、計十三枚」
ん、ごにん、おかしいな俺だろ、アラ、ハル、ミーシア、あとは……
「あ」
名器さんいやいやいやいや、金髪さんが居ました、付いて来ちゃったんだこの子、お金だけ受け取ったつもりだったんだけど、これは返す訳にも行かないのかな。
(追い返せばまた新しい奴隷が来るであろうな、この娘は処罰されるやもしれぬの)
そ、そうなの、いやちょっと名器さんもとい金髪さん、そんなうるんだ瞳でこっちを見つめないで、ああ波打つ金髪が揺れている、か、肩を震わさないで。
「ご、五人分で頼む」
「大部屋と個室のどっちにする、個室は一部屋で銀貨五枚追加だ、今なら二階が一つ空いている」
「その一部屋を借りよう」
ん、ハルとミーシアが一瞬ビクリとしたけどなんだ。
「ベッドはどうする、一つ銀貨一枚だが」
ん、こんなこと初めて言われたな、なんだ。
(個室ベッドの追加料金じゃ、支払えば組み立て式のベッドが用意される、まあ奴隷の場合は床で寝せたり添い寝させる場合が多いがのう)
そうなんだ、今まではアラと一緒に寝てたからな、そりゃもちろんこの子らを床で眠らせる訳には行かないよな。
「大人分頼む」
「あ、すまねえ、今日は殆ど出払っててダブルがひとつしかのこってねえ」
申し訳無さそうな親父の言葉に、またハルたちが反応したけど、なんなんだ。
「仕方ないなそれで頼む」
銀貨を数えながら親父の前に置いて行くと、背後でかわいらしい小さな音が、ん、なんだこの音。
「あ、ご、ごめんなさい大丈夫です」
あ、ミーシアのおなかの音か、本物の腹の虫なんて初めて聞いたよ、顔真っ赤にしておなか押さえちゃって、これはかわいいな~
「飯か、悪いが食堂は掃除中だ、一割増しでいいのなら部屋に運ぶがどうする」
「そうだな頼む、俺は朝から何も食べてないから多めに頼むが、お前たちはどうする」
「ふ、普通で大丈夫です……」
赤い顔したミーシアが答え、他の二人も異論はなさそうだ。
(ラクナ、種族的に彼女たちが食べられない物はなにかあるか)
知らずに食べさせて中毒とかになったら大変だもんな。
(鴉も白熊も雑食じゃ大抵のものは食べれるが、肉類を好むのう)
「パンを六人分、肉のシチューと豆のスープを三つづつ、大盛りサラダと肉炒めも三皿づつ、後は果物を適当に二皿たのむ」
「豆スープとサラダですって」
「お肉良いな……」
なんだ、よく聞き取れなかったけど、どうしたんだ。まあいいか食事ができるまで部屋で話し合いかな。
さてと、まずは自己紹介だよな。
「俺は坂木良、リョーだ、とある縁で僧侶の資格があるが本業は冒険者で奴隷を買った理由も迷宮探索のためだ、これからよろしく頼む」
こんなものかな、ああアラの紹介もしとかないとな。
「この子はアラ・フォティ、見ての通りダークエルフだが、訳が有って俺が保護している、こう見えて風や闇の魔法が使えるんで助かっている、それで順番に皆の話を聞いていきたいんだが」
まずは、名器さんじゃなくて金髪さんからかな、ん、差し出してきてるのは仕様書か。
「サミューです、戦闘職ではありませんが、ご主人様が行かれるのなら迷宮の中もお供させていただきます」
いやそれは、出来れば安全な所で待っててほしいんだけどな。
(うむ、仕方あるまいな、容貌の優れた女奴隷は宝石と同じじゃ、一人にすればどうなるかわからぬしの、この様子では身を守る手段もなさそうじゃし)
げ、そうなの、うーん仕方ないか、俺の代わりにアラをおんぶしてもらって移動力を上げるか、あ、とりあえず鑑定鑑定。
サミュー
奴隷侍女 LV8
技能スキル 鞭
戦闘スキル 手加減
生活スキル 料理 掃除 洗濯 裁縫 茶 菓子作成 子守 身支度 食材鑑別 性奉仕
奴隷侍女ってなんかなー、侍女ってメイドさんだよな、奴隷メイド、ちょっと怪しい想像をしちゃうなこれは。
奉仕ってあるし、そんなどっかのエロゲーみたいな感じのエロメイド、て。
いやいや、奴隷だもんな、本人の同意があったかわからないし、この点は触れないようにしないとな、うん、気をつけないと。
しかし、生活スキルはかなり優秀だよなさすが侍女、家事全般出来る万能メイドさんかいいなー、子守もあるしアラの事も任せられるな。
武器はムチが使えるか、戦闘スキルが手加減てのが微妙だけど戦えないことないかな、後は身体スキルか、最初に名器が来てるのはどうにかなんないかな、これに驚いてさっきは他を見れなかったんだよな。
身体スキル 名器 毒耐性 熱耐性 火耐性 水耐性 寒冷耐性 電撃耐性 窒息耐性 縊首耐性 拘束耐性 打撃耐性 斬撃耐性 刺突耐性 痛覚鈍化 恐怖鈍化 関節強化 皮膚強化 HP自動回復
うぁああ、なんだこれ、SMかSMなのか、ちょっとムチと手加減ってそう言う事ですか、昼は淑女で夜は娼婦とかいうけどさ、そんなレベルじゃないだろうこれ、どんだけだよ。
いや落ち着け、これはどう考えても絶対おかしいだろ、耐性や回復ってのはその属性攻撃やHP全損直前の大ダメージを何十回も受けないと獲得できないはずだよな。
ならこの子は今までどんな目にあってきたんだ。
だめだ、意識するのはやめとこう、これを意識したら、たぶん俺は変な目で彼女を見てしまう、普通にただの女性の部下と話すみたいに対応しないと。
しかし、この仕様書は、ムチの事は書いてあるのに耐性には全く触れていないんだよな、あの奴隷店はやっぱり信用できないな。
「武器はムチが使えるのか、子守も出来るなら迷宮ではアラと一緒に後衛にいてもらう事になるがいいか」
「私は前衛でも大丈夫ですが、耐性能力もありますし痛みにも強いですし」
うん、やっぱり駄目だな、痛みに強いってことはダメージを受けても無理する可能性があるってことだし、万が一のことがあったら大変だもんな。
「それなら、その能力でアラをかばってあげてくれ、何かあればすぐに駆けつける」
「承知いたしました、よろしくねアラちゃん、私はサミューよ」
「さみゅ」
うーん首をかしげながら復唱するのが可愛いな、こっちの名前はきちんと憶えれるんだなー
「そう、サミューよ」
お昼食べたら装備を買いに行くか、ムチとかって売ってるかな。
さて次は、サミューの隣にいる黒髪の少女に視線を向けると、鼻で笑われた、俺なんかした。
「ハルよ、貴方に言って置きたい事が有るのだけれどいいかしら」
「なんだ、聞くだけは聞いておこう」
そんなに、睨まないでほしいなー
「今でこそ奴隷に身をやつしているけれど、わたくしは地方貴族の娘、それに見合った待遇を保証して頂戴」
んー、テンプレお嬢様だなー、気持ちは解るんだけど、さすがにそれはね。
「無理だ、俺にそれほどの経済力はない」
お嬢様がどのくらい金を使うかわからないけど、一日、金貨一枚とか言われたら洒落にならないもんな。
「そんなことはないでしょう、あなたは上級僧侶なのですから、現にあれだけのお金もあるのに」
「僧侶の資格は縁があって取れたもので実際には何の権限もないし、よほどのことがない限り周りに知らせるつもりもない、金にしても、たまたま手に入った金で残りは迷宮攻略の資金に充てる予定だ」
「そんな……」
あれ、なんか予想以上にガクッとしてるような、そんなにショックだったのかな。
(金のある上級僧侶となれば、奴隷の主としてはそれなりであろうからな、期待していたのじゃろう)
そう言う事か、アタリの主だと思ったらそんなこと無かったって事ね、でもまあ変態に買われるよりはマシと考えてもらうしかないかな、とりあえずメリットがあるってことを示すか。
「魔導書があれば、いくらでも魔法を覚えて見せると言っていたな」
「そ、そうよ、貧乏人だという貴方が、わたくしに魔導書を買ってくれるというのかしら」
(確かに魔法関係の書物は高額じゃからのう)
「魔導書はないが、呪文や効果がわかれば魔法を覚えられるか」
「わたくしを誰だと思っているの、魔導師の名門シルマ家のハルよ、それさえ解れば十分よ、でもどこにそれが有ると言うのかしら」
よしよし、それならこっちとしても助かる、俺は自分の頭を指さして見せる。
「ここに有る」
「はあ、何を言ってるの貴方は」
そんな、かわいそうな人を見るような眼をしなくてもいいだろ。
「以前、大量の魔導書を読む機会があってな、その内容ははっきりと覚えている、お前に才能があるなら百冊分でも二百冊分でも好きなだけ教えてやる」
ちょっと嘘吐いちゃったけど、このくらいいいよね、なんかこんな設定をラノベで読んだ気がするけど、気にしない気にしない。それよりもハルの反応はどうかな。
「馬鹿にしないでちょうだい、二百冊分なんてすぐにでも覚えて見せるわ、見てなさい貴方の覚えている内容なんて軽く超えてさしあげるわ」
よしよし、この手のタイプは挑発したら燃え上がると思ったが、予想通りだね。
さて最後は。
「ミ、ミーシアです、何もできないですけど、よ、よろしくお願いします」
うーん緊張してるな、店員Bとのやり取りで怖がらせちゃったかな。
「ミーシアは回復役のほかに前衛での直接攻撃もできるそうだが」
「は、はい短剣、長剣、斧、槍は使った事が有ります、どれも苦手ですけど」
いろいろあるな、あれでもスキルがついてたのは長剣と盾しかなかったような。
(それぞれの職種の主武器じゃな、幾つも手を出したせいで、一つもモノに成らなかった様じゃな)
(そうか、一つの武器に絞れば、成長が期待できるか?)
(複数職種の為にレベルは難しいが、熟練度だけでもそれなりに変わるじゃろうな、お主の『闘気術』もそうであろう)
うん確かにそうだな、『闘気術』の熟練度が上がったから何とかやってられるところはあるもんな。
(攻撃以外のスキルはどうだ、それぞれ使う場所が重複しないだろう)
上手くすれば、ほんとに万能キャラが出来るかも、これは掘り出し物か。
(ふむしっかりと管理して、熟練度をいくつかに絞って上げて行けばあるいは)
それだけ聞ければとりあえず十分か。
「ならこれからは、盾と長剣を使って前衛役をしてもらう。きつい役回りだが頑張ってくれ」
「は、はい、いっしょうけんめい頑張ります」
両手握って前のめりとか、しぐさの一つ一つが可愛いなークマさん良いなー、おっきいけど。
「それと、罠対策や回復役もしっかりとやってもらう事になる、負担をかけてすまないな」
「え、えっと……」
あれ赤くなっちゃった、どうしたのかな。
(奴隷にすまないなどと言う主はそうそう居らんからのう)
頭に響くラクナの声に被るように、ノックの音が響く。
「食事を持ってきたぞ、どこに置けばいい」
「そこのテーブルで頼む」
「全部か、豆スープなんかもテーブルの上でいいのか」
この親父は何を言ってるんだ、他にどこに置くっていうんだよ。
「全部そこに置いてくれ、それと椅子を人数分、子供用のがあればそれも頼む」
「ああ、解った」
なんか変な顔してたな、なんだろ、なんかデジャビュがある気がするけど。
親父が、椅子を運び込むと、サミューがアラを子供用椅子に座らせる、俺も椅子に座るが目の前には空席が三つ、はて、視線を上げると少し離れたところに立っている三人の奴隷娘たち。
「どうした、座らないのか」
あれこのセリフ聞き覚えがあるような。
「主と同じ卓に奴隷がつくわけにはいかないので」
おお、このパターンはあれか、ハーレム物なんかで出会ったばかりの奴隷との間によく有るやり取りではないですか、ここで返すセリフはお約束だよね。
「他がどうかは知らないが、俺達しかいないときは気にすることはない、せっかく五人もいるのに二人だけ座っていてもつまらないだろう」
俺の言葉におずおずと三人が席に着くのを確認しながらサラダとスープを自分の方に引き寄せる、こっちのパンは固いからスープに漬けないと食べにくいんだよな。
「えっ」「嘘でしょ」「そんな……」
ん、どうしたんだ、急に表情が陰ったような。
「豆スープやサラダも、ですの……」
なんだ、どうしたってんだ、アラは食べ始めたのに三人はそのまま。
「早く食べないと冷めるぞ」
「ご主人様の後で残りを頂きます、ですので、出来ればこの子たちの分だけでも残していただけないでしょうか」
ん、なんかサミューと話がかみ合ってない気がするんだけどな。
(まだ解っておらぬのか)
(さっぱりだ)
(この食卓ならお主とアラがシチューと肉炒め、果物を食べ、奴隷娘たちに豆のスープとサラダを食べさせるつもりだと考えるじゃろう、でありながらお主がスープとサラダをとればどうなるか)
てことは、あれか、俺は奴隷たちの食事までいやしく独占してるように思われてるってことか……
「俺は理由があってなまぐさと酒類は食べられないんだ、アラも野菜や果物が好きだしな」
「ご、ご主人様、それでは、まさか」
「早くしないとシチューも肉も冷めてしまうぞ」
なんかみんなすごい顔してるな、贅沢を訴えてきたハルまで……
「わたくしたちが食べても、いいんですの」
「ほ、ほんとにいいんですか……」
「ああ、果物と肉をアラの分だけすこし分けてくれればいい」
食べれない訳じゃないんだよな、小さいうちに好き嫌いはきちんと無くしておかないと、大きくなれないもんね。
恐る恐る料理に手を伸ばす三人を見ながら、パンとサラダをスープで流し込む、慣れたとは言えやっぱり味気ないな。
(そういえばお主は、奴隷の事を知っておるのかの)
知っているかって、奴隷は奴隷だろ、何言ってんだこの首飾りさんは。
(解っておらぬようじゃな、『隷属の首輪』の事じゃ)
おお、なんかよく聞く名前だぞ、さっき俺の血を吸わせた首輪だよな、あれか主の命令は魔法効果で絶対服従ってやつか、くそ魔力回路の一件さえなければ、あれさえ無ければ、ってどんだけ飢えてるんだよ俺、やりたい盛りの小僧じゃあるまいし。
第一ハルやミーシアなんて娘だっておかしくない歳だぞ、サミューだっていくつ離れてるんだよ、それより説明を聞かないとな。
(奴隷にはいくつかの禁止事項が定められておっての、それに抵触すると度合いに応じて首輪が締め付けるようになっておるのじゃ、それで奴隷が行動を改めぬ時は絞め殺す場合もあるでの)
ちょっと、それは結構きつくないか。
(禁止事項は三つある、ひとつ、奴隷は主の命令を可能な限り達成できるよう努める)
ん、なんか、ずいぶんあいまいだな。
(ふたつ、奴隷は主を殺傷したり危機にさらしてはならず、主の危機を全力で防がなければならない)
なんか、ロボット三原則みたいだな、ここらへんもよく有る御約束ってとこかな。
(みっつ、一つ目および二つ目に該当しない限り、奴隷は主の敵以外を殺傷してはならない)
そこは、身を守らなければならない、じゃないのか。
(たいていの勇者は、一つ目の項目が気になるようじゃの)
(確かにな、これは努力目標だろう、軽くないか)
(強制にすると柔軟性が取れぬのじゃ、たとえば毎日アラを広場に連れて行くようサミューに命じたとしよう、強制の場合じゃと嵐が来ようと、街が魔獣に襲われようと、広場が無くなってしまおうが、広場に連れて行かねば懲罰が発動する)
それは理不尽だよな。
(そういった不可能な命令や、命令に反した方が結果的に主の為になる事態などを奴隷に判断させるのじゃ)
(なるほどな、だがそれをうまく使えば奴隷が主の命令に逆らったり、サボったりするんじゃないのか)
(無理じゃな、首輪は奴隷の行動ではなく心を監視しておる、利己的な理由で禁止規定に触れれば確実に懲罰が発動する、本人がどう考えても不可能、あるいはすれば主の為にならないと本心で思っておらねば、首輪は見逃さぬ)
なら絞殺された方がましって思うような命令なら、従わないってこともあるのかな、そんな命令する気はないけどね。
「りんぎょ、りんぎょ」
「アラちゃんおいしかった」
「うん、サミューありあと」
ん、もうみんな食べ終えたのか、さて食器を片づけるかな。
(二つ目と三つ目の規定も基本は奴隷の意思を監視しておる、これの問題点は……)
「あ、わたしが、か、片づけます、っきゃ」
慌てて食器を片づけようとしたミーシアの手が滑り数枚の皿が宙を舞う、うん、これは直撃コースだな、ミーシアはドジッ子だったんだなー
そんな馬鹿なことを考えている間に皿が頭を直撃する、痛っ。
(おいラクナ、奴隷は主人を傷つけないんじゃなかったのか)
(言ったであろうが、意思を監視しておると、害意や悪意等が無ければ懲罰は発動せぬ、今のはただの事故じゃろう)
なるほどね、って結構痛いな、あれっ血が出てる、まあこんなのすぐ塞がるけど。
「あ、あ、ご、ごめんなさい」
(い、いかんすぐにミーシアに許しを与えるのじゃ)
何言ってるんだこんなことで、いちいち責めたりしないって。
(このままでは懲罰が発動してしまうぞ、主を傷付けたと本人が認識してしまった、首輪が罪悪感を捕えてしまうぞ)
「かはっ、けっふ」
おいおいおいおいおい、やばいやばい。
「ミーシア、俺は大丈夫だ、何も問題ない、気にする必要はない」
首輪が目に見えて緩くなっていき、青くなりかけていたミーシアの頬に赤みが戻っていく。
(危なかったのう、懲罰の発動は奴隷の性格で差が出やすい、主人を叩いたぐらいでは平気な者もおれば、思わず暴言を吐こうとしただけで懲罰が発動する者もおる、気を付けるのじゃぞ)
これはかなり注意しないといろいろ大変そうだな~
今回もちょっと説明くさい気がするな~
H26年4月12日 誤字、句読点、一部説明を修正しました。
H26年12月11日 誤字修正しました。
R2年7月7日 誤字修正しました。




