表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/694

12 奴隷店

ふう、無事にアップできた、やっとあらすじに追いつけた、ホントは五話くらいでここまで来るはずだったんですけど、ゴブリンとかアラとかが予想以上に頑張ってくれました。

 早朝、すぐに宿を出た俺はそのまま馬車に乗り込んだ、ちなみに馬車の中には十数名の冒険者を載せて小銭を稼がせてもらってます。同じ宿の連中は俺が馬車持ってるのに驚いてたなあ。


(この馬車なら明日の昼過ぎには着けるじゃろ)


(そんなに早く着けるのか、意外と近いんだな)


(徒歩ならば倍以上かかる道のりじゃぞ)


 ふーん意外と速いんだな馬車って、そんなスピード出てるように見えないけど、まあ自動車と比べるのが間違いか。


(ところで奴隷ってのはどういうことだ)


(ふむ、『大規模討伐』は領主や地方貴族、豪族等が主催する場合が多いがとにかく金がかかる、私兵を使うにも『迷宮』用の装備を用意せねばならぬし、通常はそれに加えて腕の立つ傭兵や冒険者を何十人も雇わねばならぬからの)


 うわー、やっぱり世の中金か。


(たいていの場合この資金は大商人などから借用することになるのじゃ)


 えー借金して魔物退治ですか、治安維持も大変だなー


(だが、討伐のたびに借金では、もたないだろ)


(『迷宮深層』まで行ければ、それなりの稼ぎにはなるのじゃ、魔物を何百、何千と狩って採集部位を集めれば、借金を返してもまだ余る上、『魔道具』を見つければ安くとも一つで金貨数百枚にはなろう)


 なるほど、そうだよな事業として成立してなきゃホイホイと金を貸してくれるわけないしな。


(地方貴族の中には定期的に『大規模討伐』を行って、それを主な資金源としておるところもあるのじゃが、攻略に失敗すればどうなる)


 ああー新規事業に失敗したようなもんかな、この世界に自己破産なんかはないだろうしな。


(高価な装備のほとんどは『迷宮』に持ち込まれて回収不可能な以上、土地、屋敷、家財等がまず差し押さえられることになりおるが、それで足らねば)


 そう言う事ね、ファンタジーというよりは、時代劇のお約束だよな。


(主君から貸し与えられた公邸や領地には手を付けられぬゆえに親族や使用人、所有奴隷などが差し押さえられるのじゃ。定期的に『迷宮攻略』を行っているような家ならば家人に戦えるものも多いのでな)


 奴隷か、異世界召喚とかだとちょくちょく出てくる設定だけど、今の話を聞いちゃうとなー、借金のカタか、まあ奴隷ってことはそうだよな、うーん、そんな人を金でモノにするってのは人としてどうなんだろ。

 

 でもな、他に方法はないし、俺が買わなくても別の誰かが買うんだろうし、でも人道的にどうなんだろ。うーん、って痛って。


「痛い、アラ痛いから髪を引っ張るのはやめろ」


 抜けたらどうするんだよ、三十代になると一気に減るって、まあ『勇者』の間は永遠の十八歳なんだしその心配は、いやいや痛いのは痛いしな。


「りゃー、おなかすいた」


 ああもうそんな時間か、馬も休めないとな。


 馬車を止めて昼食の用意を始めると、他の冒険者たちもそれぞれ食事を始め、その間をアラがパンを抱えながら走り回っておこぼれを貰っている。こうしている分には差別を感じないんだけどなー


 のどかだなー、まあ難しいことを考えるのは落ち着いてからでいいか、とりあえず『迷宮』を攻略できるだけの戦力を作らないとな。




 翌日、馬車を急がせた俺たちは無事に目的の町へと着いた、他の冒険者たちは直接『迷宮』に向かうとのことで途中下車している。


「さて、まずは宿屋に入るか」


(それは後でよいのではないか、奴隷が買えるかどうかで泊まる部屋も変わるであろう)


 それもそうか、なら食事も後にした方がいいかな、アラは。


 アイテムボックスからリンゴを一個取り出すと、見上げていたアラがうれしそうな表情を浮かべる。


「ちょっと用事があって、ごはん遅れるがリンゴで我慢できるな」


「うん、りゃー、りんごありあとう」


 満面の笑みだな~、さて奴隷商はどこかなっと。


 ここかでかいな、今まで見た中で一番でかい洋館じゃないかなこれ、奴隷売買で儲かってると考えるとちょっとなー、いやいや、今は戦力の増強だけを考えてな、よし。


「いらっしゃいませ、奴隷のお買い求めでしょうか、それとも売却ですか」


 受付の男がアラの方を見て嫌らしそうな笑みを浮かべる。この野郎ふざけてるな。いや奴隷商にこんな小さいかわいい子を連れてくるのが間違ってるか、それに奴隷を買いに来た俺が言えることじゃないし、でもやっぱり少し腹が立つな。


「すまないがこの子は売り物ではない、今日は奴隷を見に来た」


 ズボンのすそを掴むアラを抱き上げて睨み付けると、男は視線を手元の書類に向けながら返事をする。


「左様でございますか、それでどのような奴隷をお求めでしょうか」


「そうだな……」


 こういった時のお約束は若くて強くて美人なザ・ヒロインといった感じの子がお約束なんだが、俺の場合、恋愛フラグやエロハプニングは死亡フラグみたいなものだからな、ここは普通に考えて男だよな。


 うん、戦力的にもそっちの方がいいだろうし、男だけのパーティーの方がさっぱりして妙なゴタゴタもないだろ。


(念のために教えておくが、戦闘奴隷は女しか買えぬぞ)


 なぬ、そんなバカな。


(男の戦闘奴隷は軍隊や騎士団などが優先して購入していくからのう、入荷の段階で殆どが押さえられておるのじゃ)


 ぐ、なら年配のおばちゃんだ、それなら俺も変な気にはならないし。魔法使いなら年を取っても弱くならないだろう、よぼよぼの魔女みたいな婆ちゃんでも馬車で移動すれば問題ないだろうし。


 うんそうだな、それにアラの事もあるし、今は俺が世話をしているが間違って口や舌に触ってしまうかもしれない、おばちゃんならそういったことも任せられるだろうな。


「そうだな、魔法の使える戦闘奴隷、実戦経験の豊富な者がいいな」


 こういえばおばちゃんが来るだろ。


「申し訳ありません、魔法の使える奴隷を数名仕入れたのですが、ほとんどがここ数日で売れておりまして、残っているのは14歳と16歳で戦闘用としては見習い程度の能力しか」


 なぬ、なんだそのヒロイン一直線な年齢設定は、そんなに俺を追い込みたいのか、なあ、なあ、いや待て、まだ美少女と決まったわけじゃないし俺のストライクゾーンじゃなければな、うん、まだわからないよな。


「とは言え役立たずというわけではありません、今まで売れなかったのも、商品として問題があるのではなく、余りに良すぎて代金の折り合いがつかなかったというだけでして。若いだけでなく見た目もよく、もちろん未使用の処女です。戦闘用としてはともかく、愛玩用としてこれほど好条件の奴隷はそうそう出会えないかと思います」


 いや、俺にとっては悪条件がそろってる気がするんだけどな。


(お主としては悩むところであろうが仕方あるまい、魔法の使える奴隷の出物などそうそう有るものでないし、奴隷ならば魔法技術を秘密にされる事もあるまい)


 そうですか、どうしてもため息が出てくるな、あ、アラがむくれてる。


「りゃー、はー、はっ」


「解った取りあえず見せてもらおう」


「はい奥の部屋へどうぞ」


 通された部屋には大きなソファーとテーブル、俺とアラが腰かけると同時にテーブルに書類が置かれる。


「仕様書になります、名前、年齢、種族、スキル、経歴、体格など奴隷についてのことが記してあります。実物を見ながらご確認ください」


 開けられたドアから店員に連れられて入ってきたのは、俺と同じくらいの長身の人影と、俺の胸元よりも低いかなり小柄な人影だった。


「まずは、一人目、鴉族あぞくのハル16歳です。この娘は先日没落したシルマ家本家の末娘でございまして、地方貴族とはいえ名のある御家の元令嬢、礼儀作法や教養などは他の奴隷とは比べ物になりません」


 紹介と同時に前へ押し出された少女は口元を固く結び、視線を合わせないまま俺の背後を睨みつけている。

 

 彼女は信じられないほど整った顔立ちをしていた。


 背中の中ほどまでまっすぐ伸びる髪は癖一つなく、色は艶やかに光を弾く青みがかった漆黒。

 髪と同じ黒い瞳は切れ長でやや釣り目気味、髪と対照的な純白の肌、赤みの強い薄い唇、スラリとした体は細いが病的ではなく柳の枝のようにしなやかそうだ、それでいて胸元にはしっかりと解るふくらみがある。

 そして背中からは髪と同じ色をした大きな翼が一対。


 やせ形のモデル体型ってとこかな、しかし綺麗な髪だな、鴉の濡れ羽色ってのはこういう髪を言うのかな、鴉族、カラスってことか、ならあの翼は飛べるのかな。


「ご存じとは思いますが、シルマ家は魔導師の家でしてハルも幼いころより魔法の訓練を続けております、その成果は技能スキルを見ていただければわかるかと思いますし、冒険者としての基礎も出来ております」


 その言葉に合わせて、資料を見るふりをしながらラクナにハルを『鑑定』させる。商人を信じてないわけじゃないけどこっちの方が確実だからな、このての説明ってのは気を付けて読まないと失敗するけど、『鑑定』なら正確な情報しか出ないしね。


ハル 

奴隷魔法士 LV10

技能スキル 火魔法 水魔法 土魔法 風魔法 雷魔法 氷魔法 短剣 詠唱短縮 高速詠唱 魔法陣作成


身体スキル MP回復 MP消費軽減 魔力視認 魔力操作 浮遊・滑空 飛行(鳥態)



 おお、技能スキル多、身体スキルもすげえ、いや俺も魔法系は全部持ってるけどさ、熟練度もかなり高いしこれってかなりの掘り出し物じゃ。あれ戦闘スキルは。


戦闘スキル 小火玉 小水玉 小石玉 小風玉 小雷玉 小冷玉 嘴刺突(鳥態)


 あれ、これって全部一番威力低い魔法じゃ、てかこれだけか、今まで見てきた魔法士は一番少ないのでも一属性あたり三、四個は持ってたぞ、ステータスや他のスキルと釣り合ってないだろ。


(ふむ、おそらくは、あえて基礎能力のみを鍛えていたのじゃろ)


(どういう事だ)


 なーんでそんな勿体ない事させてるんだよ。


(考えてもみよ、物の分別のつかない子供が強力なスキルを持っていればどうなるかの)


 うーん、間違って使っちゃうかな、そうなったら大惨事だよね。


(そういったことを避けるために、ある程度成長するまで、基礎のみを伸ばし、後でまとめて戦闘スキルを教え込むのじゃ、技能の熟練度が高ければ戦闘スキルの覚えも速いでな)


 これだと、即戦力にはならないよな、魔法士なのはいいけど、ゴブリンメイジより攻撃魔法が弱いってのは……


 仕様書にはそのあたり書いて無いよな。


「実際にどんな魔法が使えるんだ、これにはそのあたりが書いてないがこれだけスキルがあるんだ、相当なものなんだろう」


「そ、それは……」


 言葉に詰まる店員に視線を向けていると、その隣でやや高めの声が発せられる。


「確かにわたくしは初歩魔法しか使えないですけれど、『魔導書』さえあれば幾らでも覚えて見せますわ」


 視線を向けるとこっちを睨んでいる視線とぶつかる、うわ思いっきり睨んでるよ。これは自分を売り込んでいるというよりは、低く評価されてプライドが刺激されたってところかな。


 まあそれよりも気になるのは。


(『魔導書』ってのはなんだ)


 なんとなーく予想は付くけどね、それだけで魔法が発動するアイテムってわけじゃなさそうだし。


(魔法の呪文と効果が記された書物じゃ、大抵の魔法士はこれで魔法系の戦闘スキルを学び増やしておる)


 やっぱりか、それなら何とかなるんじゃないかな、俺の頭には使えないとはいえほとんどすべての攻撃魔法が入っている、呪文も効果も意識すれば思い浮かぶから、教えれるんじゃ。


 それに基礎が十分できてるのなら、魔法のやり方を教えてもらうことも出来るんじゃないかな。


「二人目は白熊族はくゆうぞくのミーシアで14歳です。この娘はシルマ家の保有していた奴隷で、戦闘用にするべく鍛えていた途中でして、実際に『迷宮』に入ったこともあります」


 前へと押し出された少女は、それなりに肉付きのいい体形を丸めて俯きながら、上目使い気味にこちらを見ていたが、店員に注意されると一瞬びくりと身をすくませてから、こちらを向く。


 先ほどのハルを美しいと言うなら、次に出されてたこの少女は可愛らしいと表現すべきかな。

 丸みがかった顔、ややたれ目気味の大きな目は鮮やかな水色で、自信なさげに泳いでいて視線を合わせようとしない。

 鼻や口の作りは小さく目の動きに合わせて小さく動くのが見ていて愛らしい。

 

 肌はかなり白いが、その周囲を囲む肩までの髪はさらに白い。

 アニメなどでたまにある銀色ではなくて、文字通り新雪のような純白の髪。

 そしてその髪のスキマからは、丸に近い形をした獣人のイメージに比べると小さめな耳が髪と同じ色をした短い毛におおわれている。


 あの耳は、クマか。ハクユウ……白熊か。


 何ともレアな、ここは普通犬耳か猫耳だろう。いやそこじゃない問題はそこじゃないよな。


「ご存じとは思いますが、熊族は力も強く俊敏で戦力としては獅子族や虎族などと比べても遜色有りません。特に白熊は熊族の中でも大型で強く、人態はもちろん『獣態』でも十分役に立つでしょう」


(なあ、『獣態』ってなんだ)


(獣人族は、今お主が見ているような人に近い形態とは別に、基となる獣とほぼ同じ形態に変じることができるのじゃ、また個体によっては中間である『半獣態』という物をとれたりもするの)


 へ、変身だと、それはなかなかそそるな、そういえばハルのスキルにも『鳥態』とか有ったな、どんなんだろ見てみたいわ、と、とりあえず『鑑定』だよな。


ミーシア

奴隷盗賊 LV3 奴隷治療士 LV3 奴隷工兵 LV2 

奴隷剣士 LV2 奴隷重歩兵 LV2

  

技能スキル 罠発見・解除 索敵 開錠 回復魔法 掘削 野営 木工 長剣 重盾


戦闘スキル 盗み 止血・鎮痛の指先 強斬撃 引き寄せ 盾突撃 噛千切り(獣態時) 殺爪殴(獣態時)


身体スキル 視力・嗅覚・聴覚向上 腕力上昇 寒冷耐性 


生活スキル 料理 洗濯 掃除 生肉解体


 なんだこれ、この子もスキル多い、てか職業五つ、そんなことできるの、まあ俺も勇者と魔法士の二つだけど特別じゃないんだ。


 これは、まだレベルが低いけど上手くすれば万能キャラ作れるんじゃねえ、てか種族がらなのかな、所々にかわいい女の子に似合わない凶悪そうなスキルがあるんだけど。


(どこの阿呆じゃ、こんな子供に五つも職を付けるとは、基礎スキルしか覚えておらんではないか)


 珍しいなラクナが機嫌悪そうだ。


(何か問題があるのか)


(もちろんじゃ、経験値はその者の持つ職に均等に配分される、そのためにレベルが上がりにくいのじゃ)


 え、じゃあひょっとして。


(なら俺のレベルがアラに超えられたのは、子供の成長が速いのではなく)


(二つの職を持っているせいじゃ、更に言えば『勇者』は最もレベルの上がりにくい職種の一つじゃしの)


 うわ、また聞きたくなかった情報が増えたよ。


(さらに職に依存するスキルは、レベルにも依存する傾向があり、低レベルでは新たなスキルを覚え難い、また様々なスキルがあると、それぞれに手を出してしまうために、一つのスキルあたりの使用回数が減り熟練度が上がりにくく更にスキルを覚え難くなる、ある程度レベルの上がった熟練者が自分の幅を広めるためならばともかく、初心者に複数の職を付けても碌な事にはならん)


 という事は、成長しにくい器用貧乏ってことか、う、なんか他人事には思えないな、上手く誘導してあげて万能になったりしないかな。


「ずいぶん職が多いが、どう言う事だ」


 俺の言葉にミーシアがまたびくりと身をすくませる、あれ怖がらせちゃったかな。


「実は、この奴隷は何人かの冒険者や軍人の間を渡り歩いておりまして、主人の目的に合わせて職を覚えていたようでして」


「どの職種も満足にこなせない、役立たずのごく潰しなのよその子は」


 うっわ、ハル口悪いな、なんかテンプレな悪役お嬢様か。


「あ、あの、っとその……」


 うーん、ミーシアは見た目通り引っ込み思案なのかな、なんかかわいい幼馴染とか、目立たないクラスメイトみたいなキャラだな。


「それでは、どちらをお買い求めになられますか」


 戦闘とは関係ないことを考えている俺に対して、店員が選択を迫ってきていた。


ユニークアクセスが総合で1000を超えました、ありがとうございます。

お気に入り登録も12件、これからもがんばるぞー

次は明日アップを目標にしてますが、間に合わない場合、明々後日になりそうです。


H26年4月12 句読点、語尾を含む一部台詞の修正、魔道具の価値、借金の差し押さえ内容、アラへの周囲の態度、奴隷商への反応、追加しました。

H27年2月26日 『』の追加をしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ