表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/14

008 朕、親衛メイドたちを強化合宿に招集す。

 総婦長そうふちょうたちを下がらせ、私は、改めて6名の親衛メイドたちと相対した。

 

 「さて、10日間の強化合宿の開始というところね。まぁ、リサには勝てると私は踏んでたんだけれど、残り5人の全員をには勝てるとは思ってはいないわ。だから、時間があるときにでも、サーベラのお相手と指南の方はよろしくね。」

 かつての記憶を戻したとはいえ、10年以上のちん生活気分が抜けきれてはいない私は、臣下に頭を下げるのはどこかダメな感じがして、親衛メイドたちに軽くウインクをしてお願いをした。

 

 強化合宿とは我ながらよく言ったもの。全力を持ってひとつになって合宿を行うと、皆驚くほど上達ができるものだ。全国を目指し部を率いた私はそのことを知っている。

 とはいえ、まずは打ち解けるところからだ。

 「まずは、お茶会としましょう。リサ、私が勝った罰ゲームのお使いとして、総婦長そうふちょうか誰かに、お茶会を準備させてきて。」

 『は~い。』と、リサはぶれずに答え、両手を上げて、石扉を開けてお使いに出ていった。

 

 「時間がないから、ええと、この世界的に時間がないらしいから先に進めちゃうね。」

 と、まんま中学の合宿の時のお嬢部長丸出しで、話を進めはじめる。まぁ、かつての女子剣道部部長より姫王閣下や姫武王の方が立場的に上なわけだしグイグイ引っ張っていっていいはずだ

 

 「私には前世がある。これは分かった。そして、おそらくは、あなた方、みんなもそんな感じの何か。あと、姫王閣下が、大抱っこ様と名付けている、超越者っぽいお方ともあった事がある。そのお方は、たぶん、超越者としての力を失いつつあって、この世界の未来を私に託した。姫王閣下だった頃の私は、このプシチャクを救おうと決意していた。私は実のところ、ただ前世がから飛ばされてきただけの者ではあるんだけどね。姫王閣下としての思いはよく分かるの。そして、姫王閣下に仕えることになっているあなたたちも、少なくてもある程度は分かっているんでしょ? 姫王閣下も私も、プシチャクをどう救っていいかは、実のところ、よく分かっていない。だから、まぁ、私の前世での、つたない経験の中から、今みたいに合宿して、お互いる全てをぶつけだすところからはじめるのがいいんじゃないかなって思ったの。なので、みんなの知っているところを、まずは教えて欲しいの。」

 部長というか武王の権威を出し、ここまでは間をはさませず、5人に話した。

 

 「なるほど。おっしゃりたいことは良く分かりました。私も、全てを出し合うというのが良いものと考えます。」

 と、予想通り、私に言葉を返すのは、メイド長のユリコだ。

 

 そこで、石扉を、しきたりとおり、ごぉんごっぉんと叩く音がした。

 「お入りを。」

 ユリコが私の手を煩わせないよう答えた。

 

 リサが、ギーっと軽々と石扉を開けた。総婦長そうふちょうと、後ろにティーポットやお茶菓子を抱えた戦闘メイドたちが、しとやかに立っていた。思ったよりも時間が早かったのは、総婦長そうふちょうが予め準備を進めていたためか。

 

 「お願いします。」

 と、ユリコが総婦長そうふちょうに伝えた。

 総婦長そうふちょうたちは深く礼をして、ゲンプの間の入り口に、ティーポットとお茶菓子とを置き、再度礼をすると去っていった

 親衛メイド長のユリコはその実力と姫王閣下との距離関係とが相まって、既に力関係としては総婦長そうふちょうと同等かそれ以上なのだろう。

 

 リサは気を聞かせて、完全に何もなくして空っぽの間化していたゲンプの間に、丸テーブルを持ってきてくれた。例によって力持ちさんらしく、結構大きなテーブルだ。そこに、親衛メイド達を座らせた。合宿の時とおなじように、最後に私が、久しぶりとなる、いわゆるペタン座りをして座る。

 「まぁ、久しぶりにみんなで、食べながら話そ。」、と私は言った。

 残念ながら、現代日本と比べると文明レベルが高くなこのプシチャクでは、おいしいスウィーツなんてものはない。総婦長そうふちょうが用意したのは、甘みもさほどではないお芋の黒砂糖まぶしのようなものだった。そこはいたしかたがない。

 

 真っ先にもぐもぐとお芋食べ始めてくれたのは、シズカ。本来ならば、時分で調理したいところなのかもしれない。ついでミカコがニカッと笑い、お芋をほうばった。

 

 そう、合宿は長期戦、兵糧は大切。

 着替えとかお菓子の用意とかそういうところは適当に省力化しつつ、短い期間で、濃ゆいコミュケーションを図る必要がある。中学は、地域の子たちとなじむようにという、おうちの方針で公立校に通っていたこともあって、他の強豪校とは異なり、合宿といっても、学校の指定は、皆、朝から晩まで剣道して、夜に家に帰ってまた朝から、という形式だった。けれども、本気で全国上位目指す今回の合宿では、やっぱ、みんなで泊まり込んだ方がいいよねといった話を副部長とした。結果、ちょっと遠かったけれども朝の庭園の眺めはいいホテルの、みんながちょっぴり余裕をもって泊まれそうなロイヤルスイートルームをおうちの執事に見繕ってもらい、合宿用に5日間用意してみたから、みんなで泊まり込まないと副部長と一緒に提案したのだった。お嬢治外法権とか後輩までにもやいやい言われながらも、結果、部活の顧問には秘密のまま部員の皆それぞれの家への根回しを成功させてくれ、女子部員17名、みんなできゃっきゃいいながらも、ひとつのお部屋に皆固まって有意義な時間を過ごすことができたのだった。皆で話すことはかくも大切なのだ。もちろん、時には1対1、ワン・オン・ワンも大事。合宿後に打ち上げするかも、予備日として念の為に取っておいたルームの5日目は、結局みんな帰ってしまったが、せっかくだからと副部長と二人きりで、過ごすことになった。私も副部長も合宿疲れでハイになりながら、二人的には剣道論など一番有意義な時間を過ごすことができた。夜も遅くには、なぜだかくつろごうぜぃ、とどちらかが言い出して、パンティ禁止ルールとかいって下の方をスースーさせながら、二人で眠ったりしたんだっけ。

 ...と何やら、何やら猥雑な思い出が。いや、私は全国制覇目指した熱血剣道少女。家名はまだない、っていうか思い出せていないけれども。そんなワイザツな事なんてなかったはずだ。

 

 「ええっと、ちんは下町のはずれの方、たしか、葛飾区か、足立区かそのあたりの家の出で、ね。」

 なぜだか、姫王閣下の方のちんが出てしまう。

 「みんなと比べて多分年下で、今の姫王閣下の見た目に近いというか、中学の女子剣道部長をしてた、というのが、今、蘇ってる記憶ね。」

 一気に話しながら、ちょっと頬を赤らんでしまった私は、何かにやりとした風のイープと目があった。

 

 私はお嬢育ち。家に変えると、家事を司る執事やメイドや、通いの家政婦さんなんて言う年上の人々がいて何事かをお願いをするなんてこともある。なので、この世界がおそらくはすんごく危機に瀕している中、親衛メイド全員が元々も年上に思えるにしても、構わずに今回の合宿をどんどん進めていこうと考えていた。まぁ、今は、私が絶対上司の姫王閣下・武王なわけだし。

 といったあたりを思っていた私だったけれども、ここにきて、ちょっと急いでる人たち向けに考えたつもりの合宿案内に疲れてきてしまっているらしい。昨日にかつての記憶と自在に動く身体を取り戻したことがうれしすぎて、姫王閣下ひめおうるーむで夜伽担当のシズカに思わせぶりなことをいろいろいって引き止めたあげく、その後は炬燵おこたにも入らずに、ヒュンヒュンとサーベラを振り回しつづけたあとに合宿プランを考えたせいかもしれない。

 私が仕切ったのではグダグダになりそうな気がしたので、後は、メイド長のユリコに初日の司会進行を託した。

 

 ユリコは安定の進行役っぷりでその後を進めてくれていった。けれども、私はやっぱり眠気がしばしば襲ってきてしまい、最後には皆に用意してもらった臨時炬燵りんじおこたで、先程対戦して打ち破ったばかりのリサに『久しぶりのだっこ~』とか言われ揶揄やゆされながら膝枕してらい、頭を撫でてもらいつつ、(なんか、私、部長というより新入部員みたい。)と無念に思いながら、ちんは眠りについたしまったのだっだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ