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第10話ー苛立ちー

第1章ー神隠し編ー

第10話ー苛立ちー

ーーーーーーーーーーーーーーーー


四天連合主要四カ国の中で、暴君の異名を持つ国家が存在する。その国の象徴は軍事力であり、武力であった。


彼の国の名は…暴君【帝政・ツンドラ】。


20の属国を保有する過激派軍事国家である。



*********

○帝政・ツンドラ○

○王宮○



「報告致します」



軍服姿の若い将校が、王座に座る久島に報告を行う。



「ーーー白蓮連合王国に、ジスロード内戦へ介入の動きあり、との事」

「…ちっ」



報告を聞いた久島はその場で舌打ちする。



「もうしばらくは荒らせると思ったが、なかなか上手くいかないな。どの程度の介入が見込まれる?」

「本格的参戦はないと思われますが、8から10万程度の軍勢の派兵が見込まれるかと…」

「列強の名前に偽りなしというわけか。ボヤはボヤのうちに片付ける気のようだな」

「この義勇軍がジスロード残党と合流した場合、新女王軍の勝率は…」

「絶望的」

「…はっ」



久島は王座の手すりを、指先で突く。



「これで白蓮の動きを阻害できたと思うか?」

「…難しいところかと。はっきり申し上げますと、せいぜい裾を引っ張った程度でしょう」

「ふむ」



久島は片手で顎をさすり、少し考え込む。



「調査隊が白蓮連合王国のワラキオ介入の情報を掴んでから、慌てて阻害の手を打ったものの…ムーンが地盤を固めるまでの足止めにならんか」

「何とか、租借地が安定するまでは大丈夫かと思いますが」

「ワラキオもムーンも今が大事だ。何としても白蓮の足を引っ張れ。妨害するのだ」



そう、"白蓮連合王国が、混乱の最中のワラキオに手を出そうとしている"という情報を掴んだ久島は、白蓮連合王国の足元であり、古くからの同盟国ジスロードで内乱を起こした。


内乱を起こした事により、白蓮連合王国はジスロードへの対応にまわざるおえなくなっていた。



「それでは、追加の義勇軍を派兵するのは如何でしょうか?すでに獣人王国の第一第二第三から10万程度の兵は引き抜けます」

「…致し方あるまい。その10万と支援物資と支援金を送ってやれ。勝てないまでももうしばらくの時間は稼いでもらわねば困る」

「はっ‼︎」



久島は一つため息を吐き出すと、派兵する義勇軍の編成を考える。



「(獣人系の属国はそのほとんどが低技術国家。技術レベル文明レベルではこの世界より多少上程度だが、しかしその身体能力は破格だ)」



つまり何が言いたいかと言えば、ジスロード残党程度であれば無双できるという事であった。



「…最悪、あれを使ってみるか?」

「あれ…とはもしや」

「そうだ。【奇跡】だ」



"奇跡"。それは国家を運営するプレイヤーのみに使えるプレイヤースキルである。その効果は様々であり、その中には軍事関係のものもあった。



「(そういえば、この世界に来てから奇跡を使ってなかったな)」



勿論プレイヤースキルとはいえども、タダで行使できるものではない。ゲーム内で溜め込めるポイント【DP】を消費する必要があった。そのため、久島は勿論のこと、他の3人も使用を控えていた。



「何とか敵を会戦に引き込まないか?引き込めれば≪超戦士の奇跡≫を使える」



奇跡≪超戦士の奇跡≫とは、自軍に対して身体能力の120%向上及び士気が50%向上するという、破格の戦闘時用軍事奇跡である。DPの消費も大きいが、久島にとっては気にならない量であった。



「それは難しいかと。ジスロードの内乱はあまりにも戦線が広すぎます。戦力が各地に分散しているせいで、会戦をしようとすれば、戦線を突破されかねない」



そう、それこそジスロード内戦の特徴であった。ジスロード内戦は大部隊の運用はなく、その代わりに小さな部隊を戦線全体に散らすという運用を、両軍双方が行なっていた。それは大部隊を組織する時間的余裕が双方に無かったせいであった。



「ならば、送り込む獣人兵10万による一点突破を行うのはどうだ?」

「可能かと思われますが、それでは内乱が早期に終結してしまい、白蓮連合王国がワラキオに手を伸ばす可能性が…」

「ジスロードの王族を()()()()()()意味が無くなるか」



久島は苛立った様子で、王座の手すりを指で突く。



「今まで勝ったり負けたりしたが、戦争状態を継続させるなんてことをやったことがなかった。案外と難しいものだな」

「いっそのこと、暴君から謀君とでも名乗りを変えますか?意外とうまくいくかもしれません」

「ふっ、ツンドラに策謀は似合わんさ」



少し機嫌を直した久島は、別件を将校に問いかける。



「そういえば、ペストの大陸はどうなった?」

「ペスト…シード大陸ですか?」

「そうだ。病魔の魔王とやらは討伐されたのか?」

「いえ、討伐はまだのようです。それどころか他にも魔王が現れたらしく…」

「は?」



まさかの報告に久島は唖然とする。



「えー、新たに現れた魔王は3体。【蝗害の魔王】【寒波の魔王】【海難の魔王】との事です」

「勇者がいただろ?どうなってる?」

「最後の報告ですと、8人目の勇者が選定され、合計8名の勇者が活動中との事」

「あー、勇者が何人もいるタイプか」



なるほどなぁと久島がうんうんと頷く。



「さてはて、サード大陸の強さってのを見せてもらうとしようか…」



*********

*********



ジスロード王国という国は良くも悪くも軍事国家である。おまけに軍事力は、小国に収まらない程には強大であった。


そして、そのジスロードを傘下としていた白蓮連合王国は、まさか自分達の足元と言えるべき国で、国を二分する内乱が起きるなどカケラも思って無かった。正に"寝耳に水"である。


ジスロードには全力で密偵が放たれた。ワラキオへの工作など、密偵担当者の頭から吹き飛んだ。


内乱の情報はすぐに王宮へと伝えられた。



*********

○白蓮連合王国○

○王宮○



「…この時期に、ジスロードで内乱ですか」



王座に腰掛ける豪華な純白のドレス姿の女性は、頭に乗せていたはずの王冠をいじりながら、ボソリと呟く。



「はっ、反乱の首謀者は第5王女アンナ・ベアトリーチェ」

「ああ、覚えていますよ。あの儚げな雰囲気に反して、ドロドロした瞳をした少女でしたね」

「ジスロード国王と多くの王族は殺害され、今現在は、逃走に成功した王族と国軍の残党に地方貴族が加わった連合が、反乱軍…自称新女王軍と対峙しております」

「個人的には女王が増えるのは嬉しいことなのですが、このような増え方はごめん被りたいです」



リアブロ大陸において、女系の国王は白蓮連合王国とジュエルシード女王国のみであった。しかも、白蓮連合王国とジュエルシード女王国はあまりいい関係とは言えなかった。そのため、白蓮連合王国の女王としては、同じ女系国王の誕生…それも傘下の国というのは、嬉しいものであった。


…まあ、こんな状況でなければではあるが。



「主力は獣人と傭兵。民兵も日々練度を上げてきています」

「その獣人というのが問題です」



女王は頭に王冠を乗せる。



「獣人族はこの大陸の北の果て…【ラグナ連山】のさらに先にいる国すら持たない種族…戦争で運用できるほどの数がジスロードにいるというのは、()()()()()

「はっ、その通りでありますが、確かにジスロードでは多くの獣人兵が暴れております」

「ーーー海、ですな」



軍服姿のスキンヘッドの老人が、女王へ意見する。



「船でしょうねぇ…」



その隣に立つ軍服姿の妙齢の女が、その意見に同意する。



「はっ、両元帥閣下のおっしゃられる通りかと」

「海から船で輸送したというのですか?わざわざラグナ連山の先から?」

「いや、そうとも限りませんぞ」

「ムーンとかいう国かしら?」



妙齢の女の意見に、老人がニヤリと笑みを浮かべる。



「陸軍元帥は知らぬらしいから教えるが、ムーンだけでなく、いくつかの国があるらしい。その国の一か国が手を出してきた…そうは考えられませぬかな?女王陛下」

「大陸外の国家ですか」



女王は少し考え込む。



「未開の国程度が?」

「その未開の国家のお仲間であるムーンは、ワラキオを再軍備化から僅かな日々で、ワラキオをドラニア公国との戦争に勝利させたが?」

「確かに…私が間違ってたわ」



老人と妙齢の女が女王を見る。



「ふむ、ムーンという国と接触は可能ですか?反乱軍の背後に控えている国の影だけでも、なんとか掴んでおきたいので」

「難しいですな。ワラキオは未だ戦争の混乱の最中。その中に潜むムーンと接触するのは…密偵の骨が折れますのぉ」

「我が国の密偵は優秀です。が、今は全力でジスロードに投入していますから、そちらへ回す余力はありませんね」



白蓮連合王国の密偵は、ジスロードでの内乱の全貌を掴むために、防諜以外の全力を尽くしていた。そこに余力はなかった。



「そういえば、風の噂で黒曜帝国とワラキオが会談を行うと聞いたわ。そこに女王陛下が乱入するのはいかがでしょう?」

「おい、陸の‼︎」

「構いません。しかし乱入…案外悪くないかもしれませんね」

「女王陛下⁉︎」

「流石に会談に乱入するわけではありませんよ?」



勘違いしそうな老人を嗜めつつ、女王は自分の提案を行う。



「黒曜とワラキオの会談。ワラキオ国内はざわつき、ムーンはムーンで気が気ではないはずです。我々との友好関係から乗り換えるつもりかと、ね」

「成程。となれば会談を妨害しようとするはず」

「そこに協力をすることで、我々は黒曜帝国の影響力を弱め、さらにはムーンと接触できる…どうでしょうか?」

「会談を妨害する上に、ムーンと関係を築く…ふむ、私は悪くないかと思うが…陸のはどうだ?」

「ふふっ、あくまで妨害するのはムーン。我々はその補助というのも気に入りましたわ♪しかし」



妙齢の女は言い淀む。



「その補助をする人員ですが…」

「密偵は出せません。人員に心当たりはありませんか?」

「海軍と陸軍双方に1人づつ密偵の出身者がおります。そやつらを出しましょうぞ」

「そうね。そうするしかないわ」



こうして、密偵が放たれた。


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エンド





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