入学させられる模様
短いです。
最近、師匠の奥さん(外見年齢20代)がこんなことを言い出した。
「一応とはいえ貴族の娘が同年代の子と交流がないのはアレよね」
『この家業を継ぐのだから別になくても…』
「それでも多少なりと交流は必要よ。ほら、私孫見たいし」
『…あの俺男なんd』
「女の子でしょう?それなりの容姿をしているのだから引く手数多のはずよ」
なんとも言えない威圧を放ちながら話してくるのだが、顔はとても笑顔である。
…魔力コントロールがうまくいってないせいで師匠から継いだ眼は蒼の魔力を微量ながら発するのでそれを隠すための眼帯を付けた女を好き好む人間がいるのだろうか。
と言うか、精神上は男なのだ。
ベーコンでレタスな展開には進む気はない。
「ねえ、アナタ。シファちゃんを王立エリクター学園高等部に進学させようと思っているのだけれどいいかしら」
「修行がまだ」
「ん?レキが既に一通りその手の事を済ませてるわよね。つい最近眼が覚醒したらしいし」
…この眼って継承物じゃなくて遺伝物だったのか?
師匠の片目は俺に継承されてるけど何故にもう片目は違う色なのだろうか。
「だ、だが座学やマナーが」
「シファちゃん三大貴族出身よ。それにこの前試験したけど何の問題もなかったわよ」
…この前の唐突に開始されたペーパーテストはその関係ですか。
「それにシファちゃんはシファちゃんでお得意様を付けないと仕事がなくなるわ。それに加えて愚息はすでにそれなりの人脈を築いているみたいじゃない」
「…」
「それにあの子、色恋沙汰の“い”の字もないのよ。できれば早めに私は孫が見たいの。50前には孫が見たいの!孫と娘とのんびりと料理作ったり刺繍したりするのが夢なの!」
本音ぶっちゃけましたこの方。
だから、俺最近色々な料理仕込まれてたんですね。
「異論はないわね、アナタ?」
「はい」
「まぁ、シファちゃんが卒業までに恋人を連れてこなかったら諦めるわよ私も」
そうしたら息子をどうにかするから。
と不穏なことを付け足す師匠妻。
…大丈夫だよな、俺。恋人出来る可能性なんてゼロに近いんだから。
- ○ -
『お、お母様?何故俺はこのような目に?』
「採寸よ採寸」
例の牢屋で身ぐるみを剥され、身体測定をされる俺。
下着の下は最近までごねていてトランクスタイプだったが、ついに女性用のショーツを装備させられた。
後この人に何故敬語を使っているかと言えばそうしないといけない気がしたから。一人称が俺なのはせめてもの抵抗である。
「…それにしてもスタイル良いわよね」
『よ、よくわかりません』
「胸のサイズはそこまで大きいわけではないのだけれど形がいいのかしら」
そう言って背後から胸を持ち上げられるのだが、ちょっとくすぐったい。
…何故だろう、最近声帯が元に戻ってきたらしく普通に声を出せるようになったのだが、この人の前で声を出すととても危険な気がする。
胸部、腹、脇腹、臀部、太腿へと細い指でなぞられるのが酷くくすぐったい。
「我娘ながら恐ろしいわっ!」
「ひゃう!?」
急に臀部を鷲掴みされ変な声が出てしまう。
そんな声が出ると師妻の動きが止まった。
「…」
すると急に指先の動きが激しくなり---
--情けなく猥声を上げてしまった。
しばらく遊ばれた後、息絶え絶えで師妻を見るとドSの目をしていた。
後、男の前でそんな声を上げないようにと注意をされたが、もとよりそんなつもりはない。
-△-
その後、髪を整えられたり、うっすらと化粧をされたり、左目を覆ってきた黒い布も外され、学園の制服を着せられ、鏡の前に立たされた。
…数年ぶりに自分の姿を見た気がするが、客観的に見るとまぁ、平均よりは上にいっているだろうと思われる容姿をしていた。
そしてそれを行った師妻は満足げな表情を浮かべている。
「あの」
「なに?シファちゃん」
「念話の腕輪を返して下さい、会話に困るのですが」
…どうにも自身の魔改造で制作した体から漏れる微量な魔力を吸収し一方的に意思を飛ばす魔法を行うための魔法陣を刻んだ腕輪を取り上げらてた。
「いやよ」
「…っ!」
「ちょと、涙目にならないでよ、シファちゃん!?」
…それとこれがないと自分は随分とメンタルが低下するらしい。




