大切な気持ち
【注】視点がころころ変わります。
ヒロイン視点
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ヒーロー視点
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ヒロイン視点
途中の*を目安にして下さい。
その後、
伊織さんはドイツに帰り、
私も彼も毎日仕事にせいをだして働いている。
1月下旬、休みが重なるように冬季休暇をとった。
結納を行ったり、久しぶりにゆっくりと過ごす計画だった。
デートの日、朝早く迎えに来てもらい築地に連れてってもらう。
私は初めての築地だった。
一まわりして欲しいものの目星をつける。その後、朝ご飯として某カレー屋さんでキャベツのどっさり乗ったカレーを食べる。
お腹が一杯になった所で、買い物スタート。
彼のマンションに帰り、一緒にご飯を作っていく。
彼は、魚介類を使ってちゃんこ鍋を。私は、刺身を切り分け皿に盛る。そしてデザートに取り掛かる。寒天や、白玉を作る。正月に余ったきな粉を入れたクリームあんみつを用意をする。
居間のテーブルに、携帯コンロと鍋をセットして出来上がり。
夕飯には早いが、昼を食べていないので二人でご飯を楽しむ。
デザートは、もう少し時間がかかるので、小腹が空いた時に出そう。
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お茶を飲んでいると、会話が伊織の話になる。
「伊織さん素敵な人だね!」
貴美子は、その後ちゃんと男の恰好した伊織と対面したが、普通だったな。
「うん。あと、実は、これうちの問題なんだけど、伊織と父親や伯父さん達 喧嘩中なんだ。」
「あの恰好のせいで?」
「そう。喧嘩は大学辞めて、パリに行った時からなんだけど。その時はもう、『勘当だ!!』って本当に深刻だった。俺は、メールやスカイプで時々連絡はとっていたんだけど、あの恰好は知らなくて。段々、伊織がキャリア積んで、周りから評価されてくうちに、母がとうとう『実家に顔出しなさい』って。
それで、帰ってきたんだけど・・・。あの姿見て、うちの親父はおさまっていたはずの怒りが、再爆発。まあ、お互い意地張ってる所もあるけど・・・。」
それから、結婚式に伊織にも出席して貰いたいと考えていることなどを話した。彼女は、とても理解してくれて、何パターンか作戦を考えよう、と言ってくれた。
と、ここで、気になることを聞いてみよう。
「伊織に靡かなかったから、ホッとした」
「ああ!伊織さんと武人さん、兄弟で凄くもてたでしょ」
「いや、伊織は他校でも有名になるくらいだったけど。俺は全然―――。
貴美子は、俺の何処が好きなの?」
「え?」
「俺の何処が良かったの?」
「どこだろう・・・」
と、腕を組み、考え込んでいる。
「どこかな?
でも、武人さんがゲイでも、ネクロフィリアでも、アンドロメダ星雲から来た宇宙人でも、好きなの。まあ、そうじゃない事はありがたいと思うけれど。」
ほらね。
彼女はその独特のユーモアで、俺の斜め上の答えを出して
いとも簡単に俺を捕らえるんだ。
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「あの時、大好きって言ってくれてありがとう」
彼が微笑んだ。
真近で見るのは、まだ照れてしまう。
「伊織が浮気相手だと思ったんだろうけど、俺不安にさせていたかな?」
「いや、違うの。そうじゃないの。何ていえばいいんだろう。
私とは、つまり、私には、武人さん触れてこないからっていうか、その、つまり」
「・・・他の女性で解消していると思っていたの?」
あ、武人さん、顔 強張った。
嗚呼私は本当に語彙が足らない。
なんて、言えば良いんだろう?私があまりに、セックスを意識しすぎなのかな?
とは言え、自分から行動起こすのは、はしたないと考えてしまう。
「うん。でも、そうじゃなくて。
私が、つまり、先に進みたいと、思っている・・・んです」
は・・・恥ずかしい!顔があげられない。
早すぎるかな?でも、気持ちはそうなのだ。凄く凄く切望している。
そういえば、武人さんと伊織さんと3人で、食事に行った時のこと。
食事の前に、買い物がしたいと伊織さんが言い、物凄い量と金額で買い物しているのを見たとき、正直クラリとした。
身分差を思い知った。
そういえば、と隣に佇む武人さんを見る。
彼と買い物をしていて、居た堪れない思いをしたことは無かったな。
武人さんは、慎重な性格で、気に入ったものは気前良く購入する。
だけど、迷っている時は買わないで2週間位考えて、それでもやっぱり欲しいと思えば購入するタイプだ。
他の人にとっては、煩わしい慎重さかもしれないけど、私はそうじゃなかった。
彼の、そういう考え方が好きだ、と思った。
穏やかで、慎重で、楽しく一緒にご飯を食べてくれるのが、とても好きだ。
「思うだけじゃ無くって、行動で示して欲しいな」
はっ、と武人さんを見る。
「おいで」
手がさし伸ばされる。
私も手を伸ばして、腕を絡ませ、少しずつ身体を移動させる。彼の顔に、追い被さる様に私の顔を近づける。
恐る恐る、唇を合わせる。彼の唇の感覚をもっと知りたくて、角度を変えたり、舐めたり、啄んだり、吸ったり、甘噛みしてみる。
その間、膝立ちで屈んでいる私の腰や背中に彼の腕がまわり、がっちり抱きしめられる。
彼は、私のキスを受け入れてくれて、私に同じことを繰り返してくれる。
夢中になってしまったキスをセーブしてくれたのは、やはり、彼の方だった。
お互いに、息が切れていることが、唯一の慰めだ。
離れたく無くて、私は彼の首に腕をまわし、膝の上に座り、身体を押しつけた。
「もっと」
「もっと進んでいいの?」
「もっと。もおっと、先」
気付いたときは、抱きかかえられており、お姫様だっこのまま彼のベッドまで運ばれた。
恥ずかしくもあり、初めての不安もあったけれど、
もう心は決まっている。
それから、私たちは
心を込めて愛し合いました。
問題は、穏やかだと思っていた彼が、
べッドの上では意地悪で、散々泣かされた事
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
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