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第九百八十八話 盛大なる出迎え編
御徒町樹里はありがたい経典を授かり、遂に帰国しました。
「皇帝陛下のお城が見えて来ました、お師匠様」
蘭が言いました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開で応じました。
(とうとう着いちまったか……)
孫左京はますます悲しそうな顔になり、美子もますます複雑な表情になります。
「左京さん」
いくら思いをぶつけても左京は一向に自分を見てくれない。
美子は悲しくなりました。
大型きんと雲は城の中庭に降りました。
国を挙げて樹里の帰還をお祝いしています。
たくさんの人々が樹里を出迎えてくれました。
「よくぞ戻った。朕は嬉しいぞ」
皇帝が直々に出迎え、樹里を労いました。
「ヒロミさんとデビット伊東さんは元気ですか?」
樹里が尋ねました。
「そのちんじゃねえよ!」
皇帝は切れました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。
皇帝は樹里に付き従った者達全員を城に招き盛大な宴を催しました。
それでも浮かない顔の左京です。