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第九百八十四話 正解の理由編
御徒町樹里は遂に天竺大雷音寺に着き、経典を授かりました。
「どうして大きい葛籠が正解なんですか?」
蘭が涙ぐんで尋ねました。するとお釈迦様は、
「経典は六百五十七巻あるのだ。小さい葛籠には入り切らん」
と答えました。固まる蘭です。孫左京もあまりにとんでもない理由なので唖然としています。
馨はショックのあまり気絶し、亜梨沙は腰が抜けました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開です。
「名残惜しいが、私には時間がない。帰りの道は楽ができる故、楽しむが良い」
お釈迦様はそう言うと去って行きます。
「弁天、吉祥天、待たせたな」
往年の芸人の物真似をするお釈迦様に更に唖然とする左京達です。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開です。
「気をつけてな」
観音様に見送られて、樹里達は大雷音寺を出ました。
「無事国に帰れるかな、樹里よ」
お釈迦様が呟きました。
「待っておったぞ」
山門の外にいたのは鴻均道人でした。