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第九百七十七話 馨開放編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために天竺大雷音寺を目指しています。
西の龍王が通の心配に答えます。
「馨は本当は強いのだ。只、あれは優し過ぎた。そしてお前に頼り過ぎた」
「じゃあ、負けちまうのか?」
通は美津を押し退けて言いました。美津が殴ります。
「何するのよ!」
龍王は、
「いや、心配いらぬ。お前と霊体交換をした馨は眠っていた力を開放できる。今度は自分の力で勝てよう」
「そうなのか」
通は美津に殴られた頭を撫でながら言いました。
龍王の言葉通り、馨は力を開放していました。
「ぬう?」
軍荼利明王が焦ります。
(まずいぞ。何があったのだ? あの兄を上回る闘気だ)
「うおお!」
馨は人の姿に変化しました。イケメンです。
「付き合うわ、馨!」
蘭が叫ぶのを白い目で見る亜梨沙と孫左京です。
「そうなんですか」
樹里は相変わらず笑顔全開です。
「行くぜ、おっさん。後で謝っても許さねえぞ」
性格まで変わった馨です。