972/1000
第九百七十二話 煩悩の果て編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために天竺大雷音寺を目指しています。
「猿の小便の臭いが未だに消えんのだ」
お釈迦様はまるで魔王のような顔で言います。
お釈迦様の陰険さに観音様は驚愕しています。
(この方に嫌われないようにしないと)
中間管理職の悲しいサガです。
孫左京は樹里の幻を振り払い、何とか鼻血を止めました。
「大丈夫ですか、左京さん?」
馨が心配して声をかけました。
「ああ。何だか知らねえが、誰かに酷く疎まれてる気がする」
左京はお釈迦様の意地悪を感じ取ったようです。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開です。
「ふおお……」
後遺症なのか、たったそれだけの樹里の言葉にも左京は鼻血が止まりません。
(俺はこのまま死ぬのか?)
左京は思いました。
「頑張って、左京さん」
どこからか声がしました。
「もしかして、美子ちゃん?」
左京がニヤけます。
「そうだよ。そこに行けないけど、応援してるから」
美子の声が言いました。