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第九百七十一話 左京朦朧とする編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために天竺大雷音寺を目指しています。
孫左京は樹里の大漁祭で失血死しそうです。
「どうしたのよ、左京?」
亜梨沙や蘭には遊女の樹里は見えていません。
(くそう、俺の煩悩がお師匠様を見せているのか……)
自分の煩悩の強さに項垂れる左京です。
「そうなんですか」
でも樹里は笑顔全開です。
「お猿さん、大丈夫ですか?」
樹里が声をかけました。
「大丈夫です」
ふと顔を上げると水着姿のたくさんの樹里が目の前にいました。
「ぶぶー!」
左京の鼻から噴水のように鼻血が噴き出しました。
「どうしたんですか、左京さん?」
馨が心配して声をかけます。
「うう……」
意識が朦朧として来る左京です。
お釈迦様はそんな左京の様子を大雷音寺から眺めていました。
「お釈迦様、猿だけ試練がきついですね」
観音様が言いました。するとお釈迦様は、
「当然だ。奴は私の指に小便をかけたのだからな」
大昔の事を根に持っているお釈迦様です。