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第九百六十七話 観音様の話編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるためにまた西を目指しています。
孫左京は観音様の難しい話が理解できないようです。
「うるせえ!」
早速地の文に突っ込む左京です。
「功徳とは良き事を為す事だ」
観音様が言いましたが、頭の中には樹里の事と悪知恵しか詰まっていない左京には無理です。
「重ねてうるせえ!」
左京は地の文に切れました。
「犬神家ですか?」
樹里が尋ねます。
「斧琴菊じゃねえよ!」
観音様は切れました。
「不動明王は馨の兄が倒してしまったが、後の四人の明王は其方達の力で倒したのだ」
観音様の言葉に後ろめたさが隠し切れない馨です。嫌な汗が出ます。
「これより先は煩悩に対する試練だ。心して進むが良い」
観音様は消えてしまいました。
「煩悩って何?」
亜梨沙が蘭に小声で尋ねます。
「あんたが煩悩そのものよ」
蘭が呆れ顔で言うと、
「煩悩って、美しいものなのね」
あくまで前向きな亜梨沙です。
蘭は項垂れました。