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第九百六十五話 蘭の戦い編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるためにまた西を目指しています。
亜梨沙が見事に大威徳明王を倒したのを見て、蘭は焦りました。
(私は勝てるかしら?)
不安そうな蘭を見て、馨が、
「蘭さんなら勝てますよ!」
「ありがとう、馨」
蘭がニコッとして言ったので、馨は鼻血を垂らしました。
(蘭さん!)
さっきまで美津によろめいていたのが嘘のようです。
「余計な事言わないでください!」
馨は地の文に突っ込みました。
「結局俺はまた相手にされないのね」
拗ねる孫左京です。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開です。
「我は金剛夜叉明王だ。我の相手はお前か?」
金剛夜叉明王は蘭を睨みつけます。
「そうだ」
蘭は進み出ました。
「はあ!」
三つの顔に六本の腕になり、蘭に襲いかかります。
「蘭さん!」
馨の強い思いが蘭に宿りました。
「はああ!」
蘭が巻き起こした竜巻は当社比五倍で、明王を吹き飛ばしました。