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第九百六十一話 馨の戦い編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるためにまた西を目指しています。
軍荼利明王は孫左京達を見渡し、
「さて、我の相手は誰がするのだ?」
「今度こそ……」
左京が前に出ようとすると、
「私がします!」
馨が龍に戻って言いました。
「ほう。西の龍王の次兄か。良かろう」
軍荼利明王はにやりとすると本来の姿になりました。
四つの顔と四本の腕です。
「うひ!」
思わずビビる馨ですが、
「しっかりしなさいよ!」
蘭の一言で踏み止まります。
(私だって、兄さんのように……)
兄である通のように強くありたいと思う馨です。
その通は幼馴染みで許嫁の美津の登場でビビっていました。
美津は樹里に対抗できるくらいの美少女です。
「通、私が女ではないとはどういう事?」
美津が通ににじり寄ります。
「近いって、美津!」
通は美津が怖いのではなく、好き過ぎて苦手なのです。
「酷い、通……」
今度は泣き出す美津です。
「おい……」
通は項垂れました。