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第九百五十四話 不動明王現る編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるためにまた西を目指しています。
樹里達がしばらく進んで行くと、
「これより先は、最初の一行以外は入る事、まかりならぬ」
と声が聞こえました。
「どういう意味だ!?」
通がムッとして怒鳴りました。
「樹里、猿、豚、河童、馬以外は立ち入る事を許さぬ」
いきなり目の前に大きな明王が現れました。
「貴方は不動明王様!」
元天界人の蘭が言いました。
「私は関係者だ。入らせてもらう」
影が薄い河東真君が言いました。
「む? いたのか、河東真君?」
不動明王が言いました。項垂れる河東真君です。
「うるせえよ、俺に指図するな」
通が言います。不動明王は、
「西の龍王の長兄か? 貴様如きが私に楯突くつもりか?」
不動明王が通を睨みました。
「兄さん」
馨が焦って声をかけますが、
「うるせえよ、デカブツ。邪魔だ、どけ」
通は不動明王を睨み返して言いました。
「貴様こそ邪魔だ。消えろ、チビ」
その言葉を聞き、馨が蒼ざめました。