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第九百二十七話 黄姫、叫ぶ編
御徒町樹里は西を目指していましたが、第六天魔王を追って第六天に来ました。
嘲笑う魔王を完全に無視して、
「黄姫様、九霊元聖さんを呼んでください」
樹里は黄姫に言いました。黄姫はキョトンとして、
「でも樹里様、おじい様は……」
「九霊元聖さんは貴女が呼んでくれるのを待っているのですよ」
樹里は笑顔全開で言いました。黄姫が何かに気づきました。
「わかりました、樹里様」
それを見ていた魔王が、
「何を言うておるか、愚か者共。九霊元聖はすでに我の一部。呼んでも応えぬ」
黄姫は魔王の言葉に反応せず、
「おじい様! 貴方はこの世で一番強いお方ではなかったのですか!?」
その言葉が辺りに響いた瞬間、魔王が乗っ取っていた元聖の身体がビクッとしました。
「何!?」
魔王は仰天しました。
(まさか!? 元聖の精神も肉体も我が封じたはず……)
「む?」
異変に気づいた仙人達が、魔王から離れました。
「ぐおお!」
元聖の両手が魔王の首をグッと掴みました。