7月22日(水)
7月22日(水) 天気晴れ
今日近所の畑の方に向かったら、昨日の草むら様とポップコーンの怪異さんに会いました。突然バンバン音が鳴ってびっくりしました。流石に食べれなかったけど、食べたらどんな味だったんでしょう?
今日も今日とて暑いらしい。✿◯県の最高気温は38℃となっていた。40いかなければ良いわけではないと地球に文句を言いたかった。
昨日一昨日と丸一日遊んでいたため、今日はお昼過ぎくらいまで宿題を行った。早めにやっておかないと、後々後悔するのだ。
そういえば去年の夏休み終わりに"夏休みの宿題"なんていう怪異が出たと噂があった。そいつのせいで宿題が終わらなかったという子がいたため、言い訳だろうとスルーされていたが、もしかして本当にいるのだろうか。
予定の宿題を終わらせて飛翠は外に出る。天さんは宿題の怪異を知っているだろうか。
「宿題の怪異?私は知らないかな。まあ、いそうではあるけど。」
「いるかもしれないんだ。」
「怪異は人に知覚されなくては存在し続けられない。そして、人の思いがなければ、怪異は生まれない。誰かの願いや思いが集まって怪異になるんだ。」
「願いや思い。」
「特に怖いとか不気味とかそういう暗い感情は集まりやすいし残りやすいから、怪異も怖いやつや不気味なやつが多い。宿題は子どもたちに嫌なものだとおもわれるのだろう?その気持ちが集まって宿題の怪異が生まれるかもしれない。」
「そっかあ。」
宿題が嫌な気持ちはわかる。それで怪異になってしまうというなら仕方がないと思う。
とはいえ、自分の宿題が怪異になったら困りそうだし、今後も計画的に進めようと思った。
「そうだ、この道をまっすぐ行って信号のところを右に曲がると、畑があるだろう?ちょうどそこに昨日の怪異と別の怪異が言い争ってるみたいでね。行ってきてくれるかな?」
「草むら様が?わかりました、行ってきます!」
言われた道を進み、畑の横を通る。そうすると、草むら様と誰かの言い争いが聞こえた。
「だぁから俺らが弱かったわけじゃねぇって言ってんだろ。勝負で負けただけだってよ。」
「勝負に分けたんでしょ、じゃあ弱いじゃん。しかも人間なんかに負けるなんて、よわよわ怪異でしょ。」
草むら様が昨日の勝負のことで言い争っているようだった。それなら昨日勝負をした飛翠にも口を出す権利があるだろう。
「草むら様はよわよわ怪異などではありません。昨日は私が勝ちましたが、危ないことも多かったし、次はわからないです。」
飛翠の声に怪異らは振り向く。草むら様と、おそらくとうもろこしの怪異だった。飛翠の腕くらいあるとうもろこしで、とうもろこしを包む葉が半分くらい剥がれていた。何粒か粒がまわりに浮かんでおり、抜けた粒の部分が顔になっていた。
「君が中川飛翠?子どもじゃん。子供に負けたの?よわよわのよわじゃん。」
とうもろこしの怪異は煽るように続ける。
「そこまで言うんなら、てめえこいつに勝てんのかよ!」
草むら様はイライラして言い返す。
「そりゃあ、俺ってば強い怪異だし、人間のしかも子どもなんかす〜ぐ逃げ出すし、簡単に勝てちゃうけど。」
「えっと、じゃあ私が逃げなければ私の勝ちでいいですか?」
「いいよ。子どもならすぐに逃げちゃって、話にならないと思うけど。」
草むら様がの合図で始めることになった。とうもろこしの怪異を見るとさっきより浮かんでいる粒が増えた様子。
「んじゃあいくぜ。よーいどん!」
スタートの合図とともに飛翠の後ろで銃声のような音がした。驚いて振り返ると、後ろだけでなく飛翠を囲うように何かが連続して弾ける音がした。かなり大きな音で思わず耳を塞ぐ。
(とうもろこしの怪異、何かが弾ける音、それなら)
飛翠は下を見る。そこには少し大きなポップコーンの破片が落ちていた。
音はうるさいが、正体が分かれば恐れることはない。
「あなた、とうもろこしさんじゃなくて、ポップコーンさんだったんですね。」
ポップコーンの音にかき消されないように大きな声で伝える。ポップコーンの怪異は驚いた顔をして、音を止めた。
「そんな、子供のくせに逃げないなんて。」
「まあ、うるさいですけど、ポップコーンと分ければ怖くはないです。」
「怖くないだって?そんなぁ。」
ポップコーンの怪異はがっかりしていた。今までそれなりの数の人間をこの音でびびらせ、逃げ惑う姿を楽しんだというのに、目の前の子どもは怖くないという。
「ま、今回は飛翠の勝ちだな。んで、品減に負けるのは弱々の弱怪異なんだっけか?」
草むら様が煽り返していた。
「ふん!今回は負けってことでいいよ。勝負って形をとったから、心構えができてただけでしょ。そうじゃなかったら絶対ビビって逃げてたし。」
「まあ、突然さっきの音が鳴ったらもっとびっくりしたと思います。」
「そうでしょ!人間に合わせてあげたから、負けただけ。普通に怪異としてびびらせてたら、その子だって泣いて逃げてたし。じゃあ、俺もう行くね。」
そう言って、ポップコーンさんはさっさと畑の奥に消えて行った。
草むら様は言い訳ばかり言いやがってとぼやいていた。
「ま、あいつの情けない姿見られたから、いいってことにしてやる。じゃあな飛翠。」
そう言って草むら様も、ただの雑草に戻った。
怪異たちがいなくなり、飛翠はポツリとこぼす。
「ポップコーン食べたいなあ。」




