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魔女の到来 

幼児体系と言うにはやや細い気がするものの、アルの体は健康体で問題なさそうだった。


「ゆっくり、回って貰っていいか?」

その場で回ってもらい、僕はじっくりと目を凝らす。魔女との契約の印。所謂烙印は、わざわざ目を凝らさずともあれば見えるのだが、何処にも見当たらなかった。


まさか、かぼちゃパンツの下に?


「し、下も脱いでみようか」

邪な気持ちなど皆無にも関わらず、噛んだせいで邪な感じになった。


【‼】

アルも置いたスケッチブックを手に取り驚いている。

「魔女の烙印がないか、見るだけだから」


【本当?】

「本当」


ジェミニス。嘘付かない。


【…】


アルは再び疑いの眼差しを向けてきたものの、スケッチブックを置き、かぼちゃパンツに手を掛けた。


「あっ」


アルがかぼちゃパンツを少しだけ降ろした所で、僕は魔女の烙印を確認した。


右の腰とお尻の間にある呪いの烙印。


烙印を確かめる事ができた僕は、それ以上かぼちゃパンツを下げる必要はないという理由で、アルに向かって手を伸ばした。


「!!」

瞬間、体を倒され腕を捻じりあげられた。

バリバリ。

ボキッ!!


「痛てぇっ」

腕からも指からも、聞こえちゃいけない音が聞こえたぞ今。


「お嬢様を食後のデザートにしようとするとは、中々良い度胸をしていますね。ジェミニス様」

「してねぇ」


「はい。私が未然に防ぎましたので、確かにしてはいません。ですので私も、しようとするだなんてと言いました」

「しようともしてない」


「お嬢様があまりにゆっくりとパンツを下すので、我慢出来なくなったジェミニス様は一気にずり下そうとした。この行動に弁明の余地はありません。汚らわしい」

「誤解だ」


確かに、後ろを向いてかぼちゃパンツを下そうとしているアルに手を伸ばしたが、まったくの誤解。冤罪もいい所だ。寧ろ止めようとした側だぞ。


「多くの生物は獲物を得る為、或いは敵から身を守る為に、擬態という方法を取ります。人も同じように獲物を取る為、或いは敵から身を守る為に擬態をしています。ただし人には、多くの生物と違う点があるのですが、それが何だかわかりますか?」


「分からん。てか、何の話だよ」

人の背中に乗り上げ、腕を捻り上げながら話す事なのだろうか?


「人にとっては獲物も敵も、同じ人であるという点です。そして、人は騙す為に言葉を多用する。政治家、詐欺師、弁護士などが良い例でしょう。わざわざ細かく分けずとも、男に女といった大まかな分類でも構いません。つまり、言葉というのは信用してはならないのです。どれほど聖人であっても嘘は付きますから。世の為人の為と言っている人達が、実は最も人々を苦しめていたというのは、よくある話です」


「つまり何が言いてぇ?」

全然さっぱり何も見えて来ない。


「私が言いたいのは、言葉ではなく行動にこそ真実があるという事です。世の為人の為と言いながら、暴利を貪っている。という行動こそ真実であり、別にあんたの為じゃないんだからね。と言いながら助けてくれるヒロインであれば、助けてくれたという行動こそ真実なわけです。つまり、何もしないよぐへへと言う、ジェミニス様の言葉に意味はなく、必死にパンツをずり下そうと襲い掛かった行動こそ、嘘偽りない真実という訳です」


「ぐへへなんて言ってねぇし、ずり下ろそうともしてねぇから。完全に誤解じゃねーか。冤罪だ」


「ジェミニス様。人は間違いを犯すものです。しかしこの手の間違いは例え冤罪であっても、世間は女性の味方です。それでも僕はやってないなどという言葉、誰も信じてはくれませんよ」


「それでも僕はやってない!」


「はい。やろうとする前に止めましたから。良かったですね。どんな罪であっても未遂は罰が軽くなります。幼女の監禁に洗脳。これに強姦未遂が加わるので、我が国の法律だと禁固50年といった所ですね」

「重っ。罪重っ」


しかも全部身に覚えがない。冤罪で断罪とか、漫才かYO!イエーイ。 あまりの理不尽さに、思わず韻を踏んでしまったZE。


「ちなみに私へのセクハラもあるので、禁固50年と1日は確定ですね」

「あんたへのセクハラ、罪軽っ」


というより、セクハラしてきたのは主にメルルの方な気がするんだが。


「ふふふふ。ジェミニス様は今、麻痺しましたね。セクハラ如きで禁固刑1日というのはそうとう重いですよ。実刑となれば経歴にも傷が付きます。今のジェミニス様は、うまー棒が銅貨10枚から11枚になった事には激高するくせに、銀貨30000枚の馬車が銀貨30100枚になった所で、大して変わらないと考えている位、愚かです」


「馬車高け~」

僕は町中を往来する馬車の姿を思い出し、驚きの声をあげた。


銀貨30000枚もするのかアレ。ていうか、分かりやすく金貨30枚でいいじゃん。まぁ、それだと例え話として成立しなさそうだけど。


「ジェミニス様は庶民の出でしたね。伝わり辛い例えをしてしまいました」

「うまーぼうの値段を知ってるあんたも、庶民の出だろ絶対」


「はい。奴隷商人に売られていた所を買われましたので、私は庶民よりももっと下賤な輩という事になります。うまー棒ですら御馳走でしたし、殆ど食べた事もありません」

「急に重い話やめて」


血液型を聞く位の、軽いノリで聞いたのに。


「重くもない普通の事です。ただ、安値で売られ、使用人になったにも関わらず、使用されなかった事は、奇跡ともいえそうです。私はこの通り、美しくてナイスバディですし、昔の私も相当可愛かったですから」

「あっ、そう」


「反応が鈍いですね」


メルルは更にジェミニスの腕を捻じり上げた。腕は既にボキッといったので、これ以上捻じり上げられた所で、痛みは変わらないのだが、腕を動かしてくれたお陰で、メルルの柔らかさをより堪能する事が出来た。ラインが出るようなメイド服ではない為、見た目からは分かりにくいものの、蜜着されると言葉の通りナイスバディである事は嫌でも伝わって来た。


いや、寧ろ伝わらせる為、腕に八割の集中と、乗られている背中に二割の集中力を分散させている位だった。


痛覚なんてもの、既にないのである。


既にお気付きかもしれないが、僕は腕を捻じり上げられ、押し倒された瞬間こそ痛いとは言ったものの、やめろとか離せとか、そういう言葉は一切口にしていなかった。そして抵抗もしていなかった。なされるがまま、馬鹿な質問をして時間を稼いでいたに過ぎないのだ。


メルルが長々と語ってくれて、僕は超ハッピーだった。


「反応がないかと思いましたが、ジェミニス様から、邪な汚らわしい波動を感じます」

「それはない」


大いにある。


しかし、人が嘘を付く生き物である事は、先ほどメルルが力説した通りだった。行動こそ真実も、今まさに体現している最中だった。痛いフリをしてちょっとだけ腕を動かしてみよう。


【ジェミーパンツ脱いだ】

邪に支配された所で目の前に、すっぽんぽんになったアルが現れた。


メイドにおっぱいとお尻を擦り付けられながら、裸の幼女を見上げるという特殊な現場。


こういう時、僕は何が起きるのか、経験から理解していた。


『君は本当に、色にまみれるのが好きだね』


魔女の、襲来である。


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