313.
体勢を立て直そうともがく宝石獣へ、俺は冷酷な視線を向けたまま静かに歩み寄る。
「グァルルル……!」
宝石獣が必死に威嚇の声を上げるが、俺の歩みは止まらない。
拳に力を込め、俺は再びスキルを発動させた。
敵の放つ呪いだけではない。俺の【無】は、相手の防御力すらも『無』に帰すことができるのだ。
「防御力無効化」
俺の右拳が、淡い光を帯びる。
そのまま鋭く踏み込み、宝石獣の堅牢なボディに渾身の一撃を叩き込んだ。
ドゴォォォォォンッ!
「ギャアアアアアアッ!?」
周囲に凄まじい衝撃波が巻き起こる。
絶対的な硬度を誇っていたはずの宝石獣の体が、まるで脆いガラス細工のようにあっけなく粉砕された。
無数の宝石の破片がキラキラと宙を舞い、凶悪な魔物は完全に消滅したのだった。
「す、すごすぎる……」
エリンは腰を抜かしたまま、信じられないものを見るような目で俺を見上げていた。
「あんなSランク級の魔物を、たった一撃で粉砕するなんて……」
「兄貴、やっぱり最強だぜ!」
ぷちが大興奮で俺の周囲を飛び回り、短い腕をバタバタと振って無邪気に歓声を上げる。
俺は軽く拳を握り直し、舞い散る光の粒子を静かに見つめた。
こんなところで立ち止まっている暇はない。
俺が現実世界からこの異世界へと戻ってきた最大の理由は、ただ一つなのだから。
【おしらせ】
※5/6(水)
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