310.
エリンは俺の腰にある妖刀を指差し、あからさまに怯えた顔をした。
「そんなばっちいの、よく持てるわねあんた……」
『ばっちいって……』
妖刀は心外だと言わんばかりに柄を震わせたが、その声音はどこか愉快そうだ。
一方、ぷちは全く怖がる様子もなく、興味津々で妖刀の周囲を嗅ぎ回っている。
「口はどこについてるんすかね? ふんふん」
「ちょっとぷち、やめなさいよ。ばっちいわよ」
『だから、ばっちいって……』
俺は基本的にクールなタイプだ。だから、ペラペラと喋り続ける騒がしい女と一匹、そして一本の妖刀を尻目に、黙々と森の奥へと足を進めていく。
宝石獣の手がかりがないかと周囲を見渡していると、足元の草むらにキラリと光るものが落ちていた。
透き通るような美しい宝石だ。
「ふわわ! あにきっ。あっちこっちに宝石が落ちてるぞー!」
「ぷち、不用意に触るな。気をつけろ、近くに敵がいる」
俺が低く警告すると、ぷちは「ふわー! まじですか!」と慌てて俺の足元に隠れた。
「ああ……。よく気づいたわね」
エリンが腕を組み、得意げに解説を始める。
「これは宝石獣の定番の罠よ。宝石を撒き餌にして、それを拾っているバカを食うっていう寸法ね。こんな見え透いたものに引っかかる間抜けは、相当な間抜けだけよ」
「……」
そう言い切ったエリンだったが、なぜかスッと視線を泳がせ、不自然なほど気まずそうに冷や汗を流し始めた。
「……お前、過去に引っかかったことがあるんだな」
「は、ばっ!? な、ないわよ! そんな間抜けな罠に引っかかったことなんて、一度もないんだからねっ!」
顔を真っ赤にして全力で首を横に振り、早口で否定するエリン。
その必死すぎる反応が何よりの証拠だった。俺はやれやれと深いため息をつき、見事なまでにわかりやすいエルフの少女から視線を外すのだった。
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※3/1(日)
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