309.
深い森の中を進む。
湿った土の匂いと、鬱蒼と茂る木々の葉擦れの音が周囲を包んでいた。
「あんたが強いのはまぁわかった。けど、あの宝石獣を倒せるくらい強いわけ?」
エリンが不満げに頬を膨らませ、疑いの眼差しを向けてくる。
手合わせの際に俺が手加減をしたせいで、このエルフの少女は俺の異次元のパワーを全く理解していないらしい。
「あにきは強いんだぞ!」
足元を歩いていたぷちが、プンプンと短い腕を振り回して怒った。
ぽっちゃりとした体を揺らし、短い尻尾をパタパタと激しく振っている。
「どうだか」
エリンは鼻で笑い、ツンとそっぽを向いた。
その直後だった。
ガサガサッ!
草むらが大きく揺れ、獣の生臭い息遣いと共に、普通に強そうな四つ足の魔物が飛び出してきた。
「ひっ!?」
鋭い牙を剥き出しにして襲いかかってくる魔物に、エリンが悲鳴を上げてのけぞる。
だが、魔物の動きは空中でびたぁ! と不自然に停止した。
「えっ? なんで?」
魔物は俺から放たれる圧倒的な覇気にあてられ、ガタガタと震えながら地面に平伏していた。
エリンは目を丸くし、ポカンと口を開けている。
『なんてことだ。このプレッシャーは尋常ではないぞ』
「って! ええええええっ!?」
エリンが突如、素っ頓狂な悲鳴を上げてガックリと膝から崩れ落ちた。
信じられないものを見るような目で、俺の腰元を指差している。
「ぶ、武器が喋ってる!?」
「お前、頼むから急に喋るなよ、妖刀」
俺はため息をつき、腰に差した相棒を軽く叩いた。
『ははは。いいではないか。面白いし』
「ちっとも面白くねえよ」
妖刀が柄を震わせて愉快そうに笑う。
『我は面白い玩具が大好きなのだよ』
「だれが玩具だ!」
どうやらこの妖刀にとって、いちいち大げさなリアクションを取るエリンは、格好のからかい甲斐のある玩具らしい。
エリンは涙目で地面をドタバタと叩き、コミカルに抗議の声を上げるのだった。
【おしらせ】
※2/25(水)
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